【繋がりの中で生きることを見つめよ！？】店はお客さまのためにある―倉本長治商訓五十抄｜倉本初夫

損得よりも大切なこととは！？

商売において、ついつい大切にしてしまいがちなのが、利益です。いくら儲かるか、を忘れる日はないかもしれません。特に経営者や店長など一定の責任を持つ人にとっては、数字はいつも悩みのタネだったり、少なくとも関心事であることは否定されることではないでしょう。

しかし、商売の原点の店舗やお客様との接点を考えた時、利益ばかりに焦点を当てては、長続きする事業やビジネスにはなり得ません。

どんなに自分が儲かっても、それが悪いことなら、その設けから遠ざかるような商人こそ正しいのである。

１　損得より善悪が先

大切なことは、損得よりも、善悪を見極めることです。

お店もそうですが、ビジネスも、人と人のつながりによってもたらされるものごとです。拡大解釈をすれば、世の中全体が繋がっていると見ても良いと思います。そうしたつながりは、ご縁といって、善いご縁のもとには、善い雰囲気がただよい、反対はそのようになります。

つながりには同じものを呼び込む作用と、自浄作用があるので、よりいいビジネスを末永く運用したいと望むのであれば、それは自ずと善いものごとを選択肢、善い思想を持ち、善い言葉を使い、善い行動を継続するよりほかないということになります。

この点をまず、忘れてはなりません。

商売は損得より善悪の方が大切である。

１　損得より善悪が先

かつて封建社会では、取引（商売）とは「だますこと」と隣り合わせだったといいます。ドイツ語の「Tasushen（公益商）」は「Tauschen（だます）」と語源が一緒です。日本でも、近江商人も、伊勢商人も、江戸の商人も、成功者は信用を第一として、大衆社会のための商売を貫いてきた方々でした。

商いは高利を取らず、正直に、良きものを売れ、末は繁盛」

大村彦太郎（江戸商人の商訓）

商売・ビジネスを考えるには、上述のとおり人と人のつながり、この社会の仕組みについて触れることも大切だと思います。そんな時に、こちらの投稿「【仏教の教えを一言でいうと！？】完全版 仏教「超」入門｜白取春彦」の仏教の教えがヒントになります。ぜひご覧ください。

普遍的なインサイトをつかもう！？

大切なことは「お客のための店」という経営精神が店の隅々までにじみ出ていることである。

３　商人の道、人間の美しさ

住みづらいこの世の中にあって、よりよい明日を望む生活者は、常に真摯に向き合い、正直にものごとを教え、そして愛を持って接してくれる、店員・従業員を求めています。ただでさえ、生きづらい社会なのに、商売やビジネスでも嫌な思いをすることなど、最悪の経験になってしまいますからね。

完璧でない社会をひとりひとりが良くするために、あくまでフラットな関係でつながり、求め続けるのがビジネスの現場なのかも知れません。そこには誠実さと愛が欠かせません。

商売は、世の中の人々に役立つためにあるのであって、自分が利益を得られても得られなくても、お金があってもなくても、人間の生活や文化を豊かで楽しいものにするために存在しているのです。

この点をよりよく理解し、意識することからはじめてみましょう。

人間というものは、社会のために尽くす仕事をして居ればこそ、その報酬をとる権利があるのである。

２５　商売はなんのためにあるのか

お客様は、親友であるべきです。そうすれば、互いに信頼が得られ、長続きする関係性を作ることができます。親友に対して接するべき、愛と真実をもって接し、頻繁に意見を交換し、よりよい世界を共に目指していくそんな考え方が大切なのです。

３つの大切なこととは！？

大切なことは、愛と真実と利益の三位一体です。商人（ビジネスマン）として、ものごとを考えるのであれば、次の３つのポイントを知り、深く見つめてみましょう。

１）自分のやっていることが、仕入れも販売も真実に徹しているかどうか。
２）世の中の人々に公平であり、正直親切で、友愛をふかめることかどうか。
３）お客にも、自分にも、社員にも、それが満足で心温まるものかどうか。

愛で仕入れよ、さらば真実で売ることができる
――愛と真実ほど人を動かすものはないのである。

４　愛と真実と利益の三位一体

まとめ