時間と調和する人は、習慣をデザインしている――この目まぐるしい時代を生きる知恵

時間と調和する人は、習慣をデザインしている――この目まぐるしい時代を生きる知恵の手描きアイキャッチ

増田みはらし書店・店主の増田浩一です。

経営者として多くの人と出会う中で、いつも感じることがあります。
それは――成功する人には、静かな習慣があるということ。

派手さではなく、静けさの中にこそ、その秘密がある。
大きな契約、華々しいプレゼン、劇的な成長曲線。
でも本当にうまくいっている人たちは、意外なほど静かなんですよね。
その静けさの中に、確かな力が宿っている。

朝、身体を整える。
夜、思考を整える。

その繰り返しが、いつのまにか人と仕事を支える基盤になっていく。

管理よりも調律を?

先日、沖縄でのイベントに参加させていただく機会がありました。
そこで何日も時間を共にさせていただいたのが、私が心から尊敬する経営者の方です。

ビジネスセンスに優れていながら、
社会のために本質的に必要なことを、自分の役割を通じて人と共に提供している。
そんな生き方をされている方です。

何日も寝食を共にする中で、不思議なことに気づいたんです。
その方には、はっきりとした“リズム”がある。

毎朝、ストレッチから1日を始める。
午前の4時間で、全ての企画を終える。
昼からはミーティングと調整の時間。
そして夜は、その日の気づきを手書きの日記に綴る。

最初は、ただのスケジュール管理だと思っていました。
でも違ったんです。

それは、管理ではなく、調律でした。
毎朝、自分という楽器を少しずつ整えるように。
その音色が、日々の仕事を支えていたのです。

その姿を間近で見ていると、こちらまで呼吸が整っていくような感覚がありました。

寝食を共にするということ。

それは、単に同じ場所にいるということではありません。

朝の空気を共に吸い、同じ食卓を囲み、夜の静けさを共有する。
その中で、相手のリズムが少しずつ見えてくる。

急いでいるように見えて、実は焦っていない。
たくさん話しているようで、実はよく聴いている。
働いているようで、実は遊んでいる。

その方のリズムに触れていると、自分の時間の使い方も自然と変わっていく。
シンクロするという言葉が、ぴったりかもしれません。

相手のリズムを感じることで、自分のリズムも整っていく。
時間を整えることは、実は人とつながることでもあるんだと気づかされました。

この貴重な気づきを与えてくださったことに、心から感謝しています。

自分コンサルテーション

沖縄への行き帰りの飛行機の中で、エドガー・シャインの『謙虚なコンサルティング』を読んでいました。
その中で、シャインはこう説いています。

クライアントと深く個人的に、パーソナライズされたつながりを持つこと。
表面的な情報交換ではなく、相手の世界に入り込み、共に時間を過ごすこと。
それが、本当の意味での支援の始まりである。

沖縄での体験は、まさにそれでした。

経営者の方の習慣を、ただ聞くのではなく、共に過ごすことで体感する。
その時間の中でしか見えないものがある。

習慣とは、単なる行動の繰り返しではない。
それは、その人が時間をどう捉え、どう生きているかの表れ
だから習慣を知ることは、その人の世界を知ることなんですよね。

このような貴重な時間を共有させていただけたこと。
ご一緒させていただいた法人の皆さんにも、深く感謝しています。

時間のデザイン、その可能性

帰りの飛行機で、インタビューの内容を振り返りながら、改めて気づいたことがありました。
習慣とは、時間をデザインすることなんだと。

時間は誰にでも平等に流れているようで、実際にはそうじゃない。
同じ一日でも、ある人にとっては濃密で、ある人にとっては曖昧に過ぎていく。
違いを生むのは、「時間をどう設計しているか」です。

成功している人は、時間を“線”ではなく“リズム”として扱っています。
管理するのではなく、呼吸を合わせている。
そこにあるのは、制御ではなく共生の感覚

「時間を使う」のではなく、「時間とともに在る」。
そんな生き方をしている人たちは、不思議と時間に追われている感じがしないんですよね。

リズムを作ること。自分らしいリズムとは?

本当の調和は、他者に合わせることからは始まりません。
自分のリズムを整えることから生まれます。

朝の静けさの中で、体を起こす。
夜の余白の中で、心を静める。
その繰り返しの中に、自分という“時間の器”が形づくられていく。

器が小さければ、少しの水で溢れてしまう。
器が歪んでいれば、水はうまく留まらない。
でも器が整っていれば、たくさんの水を静かに受け止められる。

時間も同じです。
自分という器が整っていれば、忙しさの中にも余白が生まれる。
その余白が、次の創造を生む場所になっていく。

そして、自分の器が整っているからこそ、相手の器とも響き合うことができる。
沖縄で感じたシンクロは、相手が時間を整えているからこそ生まれたものでした。
整った器は、他の器とも調和するのです。

日常にマイ・儀式を

習慣とは、未来に向けた生産活動ではなく、現在を生きるための儀式
意識の奥に静かに沈みながら、自分と世界のあいだに見えない橋をかけてくれる。

毎朝同じ時間に起きること。
毎晩同じように振り返ること。
その単調さの中に、実は深い意味がある。

繰り返しは、意識を解放してくれる。
「次は何をしようか」と考える必要がなくなると、心は別のことに集中できるようになる。
だからこそ、習慣には美しさがある。
それは効率化のためではなく、自分を生きるための技術なのだと思います。

量よりも、リズムによる心地よい豊かさを

忙しさを誇る時代にあって、
成功とは「どれだけ多くをこなしたか」ではなく、
「どんなリズムで生きたか」ではないでしょうか。

時間を味方につける人は、いつも穏やかです。
走っているように見えて、実は流れている。
焦ることなく、立ち止まることなく、時間の中をすべるように進んでいく。

そして気づけば、そのリズムが人を惹きつけ、信頼を育み、
やがて循環する世界をつくっていく。

周りの人も、そのリズムに引き寄せられるように集まってくる。
急かされることなく、でも確実に前に進んでいる。
そんな人のそばにいると、自分も落ち着いてくるから不思議です。

自分の時間を生きること。その技術。

習慣とは、時間と生きる技術
時間と調和する人は、世界とも調和していく。

沖縄から帰ってきて、自分の時間の使い方を少し変えてみました。
朝の5分、夜の5分。
ただそれだけのことですが、確かに何かが変わり始めている。

それが、持続可能な成功のかたちだと思います。
派手さはないかもしれません。
でも、静かな強さがある。

それは、自分の時間を、自分の手でデザインした人だけが持てる強さ。
静かに、確かに、未来を動かしていく力です。

それでは、また来週お会いしましょう。

習慣の力・科学については、こちらの1冊「ありがとうを言おう!?『10000人を60年間追跡調査してわかった 健康な人の小さな習慣』大平哲也」もぜひご覧ください。おすすめです。

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