みなさん、こんにちは。増田みはらし書店・店主の増田浩一です。 私は、広告会社でマーケティングプランナー(マネジャー)の役割をいただきながら、中小企業診断士としても活動しております。
近年、従来の生活様式や働き方に代わる新しい選択肢として、BOBOSとFIREという2つの生き方・考え方が注目を集めています。
これらの生き方は、単なるトレンドを超えて、私たちの人生や社会のあり方に新しい視点を提供してくれます。
生き方を考えるということは、社会の過渡期にある私たちの宿題だと思います。
過去の哲学者たちがそうであったように、私たちは、考え、行動していく責務があるように思います。
いま、考えて、実践していることは、いつか、人の、あるいは社会の資産として、これからの時代の人に希望や勇気を提供できるものになると信じることができます。
新しい生き方との出会い
新しい生き方・考え方を詳しく見ていくことから、はじめてみましょう。
BOBOSとは
BOBOSは、「Buy Once, Buy Once Smart」(せっかく買うなら賢く買う)の略で、長期的な視点で質の良いものを選んで購入する生活スタイルです。例えば、良質な無水鍋を選ぶことで長年使え、調理の質も向上し、結果的にコストも抑えられる──そんな選択の積み重ねです。
日本には「もったいない」という考え方や、職人による質の高いものづくりの伝統があります。
BOBOSは、そうした日本の価値観とも深く響き合います。良質な包丁を大切に使い続ける、木製家具を手入れしながら長く愛用する、といった実践は、多くの日本人にとって理解しやすいものだと思います。
BOBOSという生き方の解像度を上げるためには、“Once”の意味合いを捉えていく必要があります。
1.一度だけ(回数としての「一度」)
- 「一度買えば、それで終わり」 という意味。「何度も買い替える必要がない、長く使えるものを選ぼう」というメッセージ。
- 「Buy Once(最初の買い物で満足できるように)」と続く「Buy Once Smart(賢く一度で最適な選択をしよう)」が補完し合う形。
2.適切なタイミングで(機会としての「一度」)
- 「一度きりのチャンスを逃さず、賢く選ぼう」という解釈。
- 「買うべきタイミングでしっかり考えて買おう」というアドバイス。
3.人生で一度の投資としての「一度」
- 高品質で長持ちするものに投資すれば、買い直す手間や無駄な出費を防げるという考え。
- 例:「一生モノの家具や時計、家電を選ぶ」ような購買スタイル。
このフレーズ全体として、「安易に買って失敗せず、一回の買い物を賢くしよう」という意図が込められているのです。
例えば、こうしたBOBOS的な価値観を落とし込めているブランドとしては、以下があげられるかもしれません。
- BEAMS:特にBEAMS JAPANは、伝統的な日本の工芸品と現代的なデザインを融合させ、文化的価値を重視する姿勢がBOBOSの価値観と合致しています。
- journal standard:アーティスティックな要素とプラクティカルな要素をバランスよく取り入れ、知的で洗練された商品展開をしています。
FIREとは
FIREは、「Financial Independence, Retire Early」(経済的自立、早期退職)の略で、若いうちから計画的な貯蓄と投資を行い、経済的な自由を得ることを目指すライフスタイルです。
ただし、日本での実践は、欧米の事例をそのまま当てはめるのではなく、日本の社会制度や文化に合わせた解釈が必要です。例えば、終身雇用のメリットを活かしながら副業で収入を多様化する、テレワークを活用して地方移住を実現する、といったアプローチが現実的でしょう。年金制度や税制も考慮に入れた、日本らしい実践が望まれます。
いずれにしても、最近は、新NISAやiDeCoなどの導入において、資産運用への興味関心が高まっていると見られています。
そして、それに呼応するように資産形成に関するYouTuberも登場しているのも事実です。
例えば、以下のようなチャンネルです。
- S&P500最強伝説:主にS&P500への投資に関する情報を提供しています。動画を通じて、視聴者は投資に関する知識を得ることができます。
- ちーのゆるFIREな日々:FIRE(経済的自立と早期退職)を目指す過程や達成後の生活に関する情報を提供しています。視聴者はFIREの実践的な知識や生活の工夫を学ぶことができます。
自分を「大切にする」人生設計
これら2つの生き方の本質は、「自分の“軸”を大切にする」という点に集約されます。
BOBOSは単なる「物の選び方」ではありません。
質の良い道具や環境を選ぶことは、自分の時間、健康、そして人生の質への投資なのです。
良い包丁は料理の時間を豊かにし、心地よい家具は日々の暮らしに安らぎを与えます。
同様に、FIREも単なる「早期退職」が目的ではありません。
経済的な自由度を高めることで、自分らしい生き方を選択できる余地を広げていくのです。
時間とお金の関係を見直し、人生の可能性を広げていく道筋と言えるでしょう。
実際に、これらの生き方を実践する人々が増えています。
例えば、YouTubeでは質の良い道具を活用しながら、投資や副業で経済的自由度を高めていく過程を共有する方々が注目を集めています。
彼らの特徴的なのは、ひとつの行動が「複数の価値」を生み出していくことです。ここがポイントです。
- 質の良い道具の使用方法を発信することで、新たな知識や人とのつながりを得ることができる。
- 投資の学びをコミュニティで共有し、互いの成長を促進することができる。
- 持続可能な生活様式の実践が、環境保護にも貢献することができる。
つまり、一挙両得どころか、1つの行動が、いくつもの分野やカテゴリー、視点において、よりよい効果を生みながら、さらに、その行動を強化するという「ポジティブ・スパイラル」を構築することができると思われます。
より良い生き方へのヒント
私たちが、持つ最も貴重な資源は「時間」であるといえるでしょう。
もちろん、スキルセット・マインドセット、お金や資産、人脈なども重要な資産ですが、どれも「時間」が元手になって構成される資産であることに気づきます。
BOBOSとFIREの考え方は、この限られた時間を「投資」として捉え直すことから始まります。
ここでの投資とは、単なる消費でも浪費でもなく、自分自身と将来の可能性に対する意識的な資源配分を意味します。
良質な道具への投資は日々の時間の質を高め、知識やスキルへの投資は新しい可能性を開き、人間関係への投資は人生の豊かさを育みます。そして、これらの投資は互いに関連し合い、相乗効果を生み出していきます。
このような時間の投資という観点から、これらの生き方は、急激な変化ではなく、段階的な実践が鍵となります。
1)どうやって始める??
まずは身近なものの日用品について、丁寧な投資として捉えて、心がけてみることが大切です。
・毎日使うものについて、質の良いものを選択することを楽しんでみる。
・長期的な使用価値を念頭において、必要か、不必要かのジャッジをしてみる。
こうした行為によって、自分にとって本当に大切なものは、なにか?という問いを繰り返し考えてみることです。
結局、そうした自分という判断基準が養われることが、よりよい人生につながっていくからです。
そのうえで、投資をスタートしてみましょう。
・積立NISAなどの制度を知り、活用してみる。
・堅実な方法、とくに長期的な視点での投資を開始する。
・あとは、放って置く。
さらに、そうした実践をコミュニティに広げるように、情報を作り、発信してみることです。
どんな方法でも構いません。実践した内容と、感じたことを、形にして、同じ価値観を持つ人と交流してみるのです。
与えた分だけ、あなたがえられることが増えていくでしょう。
この過程で得られた知識や経験はかけがえのないものになっていきます。
2)継続のためのポイントは?
何事も、一朝一夕には、良くなりません。大切なのは、大きな方向感を持ちながら、日々の実践を楽しむことです。
そのためには以下のような視点を持って、途中で辞めない、退場しないということがキーです。
- 急激な変化を避け、自分のペースを守ること!
- 小さな成功体験を大切にすること!
- 定期的な振り返りと軌道修正を行うこと!
成長する旅としての人生
最後に強調したいのは、これが「旅」のような性質を持つということです。
しかし、それは単なる漫然とした放浪ではありません。
この旅には、上述の通り、自分が目指したいベクトル─つまり、ビジョンが必要です。
このビジョンを見つけ、育てていく過程は、以下のような螺旋的な成長として描けます。
1.自己理解からの出発:まず、自分自身を知ることから始まります。何を大切にしたいのか、どんな人生を送りたいのか。これらの問いと向き合うことで、最初のビジョンが形作られていきます。
2.行動の繰り返し:ビジョンは机上の空論ではなく、実際の行動を通じて磨かれていきます。BOBOSやFIREの実践は、そのための具体的な手段となります。日々の選択や決断を通じて、自分の価値観はより明確になっていきます。
そして、この成長の過程で、当初のビジョンも進化していきます。
より深く、より広く、より豊かなものへと発展していくのです。それは、単なる「物の選び方」や「資産形成」を超えて、自分らしい幸せを探求し、持続可能な形で実現していく道筋となります。
この旅に「正解」はありません。
それぞれが自分なりのペースで、自分らしい道を見つけ、育てていけばよいのです。その歩みが、少しずつ、でも確実に、私たちの人生と社会をより良い方向に導いていくことでしょう。
そして、その過程で得られる学びや気づき、出会いそのものが、かけがえのない人生の財産となっていくのです。
大きな生きる物語(国家、会社とか)が崩壊していく中で、一人ひとりが、自分と向き合いながら、どういう人生を作っていきたいか?を考える時代において、実践を楽しむことはとても大切ですね。
こうしたことを悩める!という境遇こそ、楽しんで色々試しちゃいましょう。
生き方については、こちらの1冊「どうする人生!?『人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』山口周」やこちら「ハックされるな!ハックせよ!『不条理な会社人生から自由になる方法 働き方2.0vs4.0』橘玲」をおすすめさせていただきます。ぜひ御覧ください。


#考えるノート、また来週お楽しみに~!いつもごらんいただきありがとうございます。