子育ても経営も、ビジョンが大切 ―2024年に読んだ子育て本 おすすめ5選―

子育ても経営も、ビジョンが大切 ―2024年に読んだ子育て本 おすすめ5選―

「あっち!」「こっち!」「あっこ!(娘の言葉で「だっこ!」のこと)」

もうすぐ2歳の娘の矢継ぎ早な要求に、私は今日も翻弄されています。力強い声と大きな瞳で、娘は全力で意思表示をしてきます。

増田みはらし書店の店主として、日々たくさんの本と向き合い、経営のビジョンについて楽しく一生懸命に考え、お客さまの皆様方と対話させていただく私ですが、我が家では(も?・・・)小さな娘相手に全力でぶつかり稽古をさせていただいております(!)

しかし、ある日、子育ての本を手に取りながら、ふと気づきました。

もしかすると、子育ても経営も、本質的には同じではないかと。

どちらも「将来どうありたいか」というビジョンが重要で、かつ日々の小さな積み重ねが未来を作っていく。そして何より、相手の潜在的な力を信じ、その成長を支援することが求められる――。

この気づきをきっかけに、2024年に読んだ子育ての本5冊を、あらためて丁寧に読み返してみました。すると、それぞれの本が異なる角度から、子育ての本質的な意味を教えてくれることに気づきました。

本レビューは、書店店主であり、ビジョン思考を専門とする経営コンサルタントであり、そして何より2歳児の父親として日々奮闘している私が、これらの本から学んだ気づきをお伝えするものです。

子育ての悩みや不安を抱える親御さんの、何かのヒントになれば幸いです。

子育ての在り方全般に迷いを感じている方におすすめしたい1冊

パメラ・ドラッカーマン
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コアメッセージ:子育てとは、子どもの持つ力を信じ、その成長を見守ること=フランスの親たちは、この信念をもとに子どもと向き合い、その自然な成長のリズムを尊重しています。

印象に残ったポイント:「待つ」という選択の持つ力=フランスの親たちが実践する「観察」という手法に、私は深く感銘を受けました。彼らは子どもを一つの人格として尊重し、その行動の背景にある理由を理解しようと努めます。

特に印象的だったのは、即座の解決を求めるのではなく、子どもの自然なリズムを尊重する姿勢です。これは私たちの子育ての在り方に大きな示唆を与えてくれます。

実践のヒント

  • 子どものリズムをよく観察する
  • すぐに介入せず、子どもの様子を見守る
  • 否定的な言葉を避け、建設的な対話を心がける

過去の投稿はこちら「【子どもは、自ら育つ!?】フランスの子どもは夜泣きをしない ―パリ発「子育て」の秘密―|パメラ・ドラッカーマン」からどうぞ。

子どもを叱ってしまう自分に悩んでいる方におすすめしたい1冊

村中直人
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コアメッセージ:叱ることの本質的な問題点=短期的な行動変容は得られても、真の学びや成長には結びつかず、むしろそれを阻害してしまう可能性があります。

印象に残ったポイント:脳科学から見る叱ることの弊害=子どもを叱ると、脳は「防衛モード」に入り、学習能力が著しく低下します。本当の学びには「冒険システム」が必要だという指摘は、子育ての本質を考え直すきっかけとなりました。

さらに重要なのは、叱る側も知らず知らずのうちにその行為に依存してしまう危険性があるという警告です。これは私たち親自身の在り方を問い直す重要な示唆となっています。

実践のヒント

  • 危機介入以外での叱責を避ける
  • 子どもの主体的な学びを支援する
  • 自身の感情をコントロールする

過去の投稿はこちら「【「叱る」から人は、まったく学ばない!?】〈叱る依存〉がとまらない|村中直人」からどうぞ。

テストの点数だけが気になってしまう方におすすめしたい1冊

ボーク重子
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コアメッセージ:子どもの真の生きる力=数値化できない能力こそが、将来の幸せと成功を支える重要な要素となります。

印象に残ったポイント:家庭での対話の重要性=保護者が話す言葉は、子どもにとって最も価値のあるものです。特に印象的だったのは、努力を褒めることの大切さです。

「頭がいいね」ではなく「よく頑張ったね」という声かけが、子どもの挑戦する力を育むという研究結果には、深い納得を覚えました。

実践のヒント

  • 子どもと積極的に対話する時間を作る
  • 結果ではなく、プロセスを認める
  • 子どもの感情表現を大切にする

過去の投稿はこちら「【親の言葉は、最も価値あるもの!?】「非認知能力」の育て方:心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育|ボーク重子」からどうぞ。

子どもの将来が気になる方におすすめしたい1冊

ミシェル・ウォルター,柴田裕之
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コアメッセージ:自己制御力の育成=人生の成功を左右する重要な能力であり、幼児期から意識的に育むことができます。

印象に残ったポイント:脳の二重システムの発見=感情的な「ホットシステム」と理性的な「クールシステム」のバランスが、子どもの成長において重要な役割を果たします。

特に印象的だったのは、この能力が生まれつきの才能ではなく、適切な環境と関わりによって育てられるという希望に満ちた発見です。

実践のヒント

  • 長期的な視点を持つことを褒める
  • 感情のコントロール方法を一緒に考える
  • 過度な制御を求めすぎない

過去の投稿はこちら「【自制は時制!?】マシュマロ・テスト 成功する子、しない子|ウォルター・ミシェル,柴田裕之」からどうぞ。

完璧な親でありたいと思い悩む方におすすめしたい1冊

島田潤一郎
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コアメッセージ:子育ての本質的な意味=子どもの成長を支援することは、同時に親自身が成長する貴重な機会となります。

印象に残ったポイント:親としての気づきの連鎖=子どもの日々の成長に寄り添うことで、私たち自身も昔は何もできなかったことを思い出し、人生における成長の普遍性に気づかされます。

特に印象的だったのは「親は身体を張って子どもを守ることしかできない」という産婦人科医の言葉です。これは、子育ての本質と限界を端的に表現しています。

実践のヒント

  • 子どもの存在そのものを喜ぶ
  • 完璧を目指さず、ありのままを受け入れる
  • 親子での成長を楽しむ

過去の投稿はこちら「【子育ては、子どもだけではなく、「自分自身」と向き合うこと!?】父と子の絆|島田潤一郎」からどうぞ。

おわりに

この5冊の本を読み返しながら、ある大きな気づきを得ました。

子育て、そして子どもたちは、私たち自身の生き方を映し出す鏡なのだと。

2歳の娘は、毎日全力で生きています。「あっち!」「こっち!」「あっこ!」という声には、人生への真摯な探求心と、純粋な喜びが溢れています。

その全力の生に、私たち大人はどう向き合えているでしょうか。

実は、子育ての難しさは、この「全力」にどこか後ろめたさを感じてしまうことにあるのかもしれません。

自分自身が人生を全力で、そして楽しく生きていないとき、子どもの全力な姿に正面から向き合うことができなくなってしまうのです。

この気づきは、私の経営コンサルタントとしての経験とも重なります。

企業のトップマネジメントとの対話でも、同じような構図を見ることがあります。

経営者が自身の生き方に確信を持てないとき、組織の成長にも何か影が差してしまう。

そして、その影は必ず従業員の方々の目に映ります。

子育ても経営も、結局は「一人の人間としていかに誠実に生きているか」という問いに行き着くのだと思います。全力で生きる子どもたちは、私たちにその問いを投げかけ続けています。

5冊の本から学んだ子育ての知恵は、確かに重要です。でも、それ以上に大切なのは、子どもたちと向き合う中で、私たち自身が「人生を全力で生きる勇気」を取り戻せることなのかもしれません。

日々、全力で生きる我が子に教えられ、成長させていただいていることに、心からの感謝を感じています。これは、一人の親として、そして経営の伴走者として、何物にも代えがたい贈り物です。

最後に、読者の皆様へ。完璧な親などいません。完璧な経営者もいません。

でも、だからこそ、子どもたちや従業員の皆さんと共に、全力で、そして楽しみながら成長していける――そんな希望と勇気を、この5冊の本から得ることができました。皆様の子育てや組織づくりのヒントになれば幸いです。

私もこれからも自分を(娘を含む)周囲の方との対話の中で、見出しながら、少しずつでも精進していきたいと考えています。

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