真のチームが持つ力 ―“Power of We” とオーガニックリーダーシップのしなやかな強さ―

真のチームが持つ力 ―“Power of We” とオーガニックリーダーシップのしなやかな強さ―

私たちは日々、「チーム」という言葉を使います。しかし、本当の意味で「チーム」と呼べる組織に出会うことは、実はそれほど多くないのではないでしょうか。

形式的なチームは、単に個々のメンバーの力を足し合わせただけの集合体です。1 + 1 + 1 = 3。これは数式としては正しいものの、本来のチームの可能性を十分に引き出せているとは言えません。では、この足し算を掛け算に変えるためには何が必要なのでしょうか。さらには、チームの力を致命的に低下させる「0」や「マイナス」の要素を、いかにして排除できるのでしょうか。

真のチームには、この問いに対する答えがあります。それは「私たちは最高なんだ!」と、心から言い合える関係性から生まれる力―“Power of We”です。この力は、チームメンバーが本気で取り組むことから生まれます。それは単なる熱意や情熱以上の、より深い次元での関与を意味します。本気であるからこそ、困難も楽しみに変わり、互いの成長を心から喜べる関係が築かれていくのです。

真のチームでは、状況に応じて自然にリーダーシップが発揮されます。これを私は「オーガニックリーダーシップ」と呼んでいます。それは固定的な役割や階層ではなく、各メンバーの専門性と状況に応じて、柔軟に形を変えていく特性を持ちます。この柔軟性こそが、チームの力を掛け算的に高め、潜在的な「0」や「マイナス」の要素を防ぐ鍵となるのです。

Power of We の本質

足し算から掛け算へ。この変化を生み出すのが、“Power of We”です。では、この力はどこから生まれるのでしょうか。

私の経験から、それは三人のプロフェッショナルによる小さなチームの中で見出すことができました。営業、マーケティング、プロモーションと、それぞれ異なる専門性を持つメンバーが集まったチームです。一見すると、単なる機能の寄せ集めに過ぎないように思えるかもしれません。しかし、このチームには特別な何かがありました。

それは、得意先のビジョンに対する純粋な共感でした。しかし、それは単に与えられたビジョンに従うということではありません。私たちは積極的に得意先の持つ可能性を見出し、時にはその魅力を得意先自身も気づいていない場合もありました。得意先を深く理解し、その価値を愛する気持ちがあったからこそ、新しい価値を共に創造することができたのです。

私たちは常に「得意先の中にある素晴らしさを見出そう」という姿勢を持ち続けました。それは単なるビジネス上の関係を超えた、真摯な関わり合いでした。得意先の新しい可能性を発見するたびに、チーム全体が大きな喜びを感じ、それがさらなる創造的な提案への原動力となっていきました。

このプロセスの中で、私たちは単なる「協力関係」を超えた、より深い次元での結びつきを見出していきました。

「私たちは最高なんだ!」という言葉は、決して誇張でも自惚れでもありません。それは、互いを信頼し、高め合える関係の中で、そして何より、得意先と共に価値を創造できているという確信から自然と生まれてきた言葉でした。

Power of We は、こうした深い信頼関係と、目的に対する本気の取り組みから生まれます。それは・・・、

  • 互いの可能性を信じ合える関係性
  • 専門性の違いを活かした創造的な協働
  • 困難を共に乗り越える強さ
  • 成長を喜び合える純粋な絆
  • 得意先の価値を見出し、共に創造する喜び

を生み出します。

そして最も重要なのは、この力が「0」や「マイナス」の要素を自然と排除していくという点です。なぜなら、本気で取り組む姿勢と深い信頼関係の中では、消極的な態度や破壊的な行動が入り込む余地がないからです。

オーガニックリーダーシップの実践

チームの力を掛け算に変えるもう一つの要素が、オーガニックリーダーシップです。これは、固定的な役割や階層に縛られない、状況に応じて自然に生まれるリーダーシップのあり方です。

私たちのチームでは、それぞれのメンバーが持つ専門性―営業、マーケティング、プロモーションという異なる視点が、状況に応じて主役となりました。

例えば、戦略的なアプローチが必要な場面ではマーケティングの視点が、顧客との深い関係構築が求められる場面では営業の経験が、そして効果的な価値訴求が必要な時にはプロモーションのノウハウが、自然とリーダーシップを発揮する契機となりました。

しかし、より重要なのは、このリーダーシップの交代が、得意先への深い理解と愛情に基づいて行われたということです。誰かが「ここは私の専門分野だから」と主張するのではなく、「この状況で得意先に最高の価値を提供するために」という視点から、自然と役割が決まっていきました。

このような有機的な関係性の中では、「0」や「マイナス」の要素が入り込む余地はありません。なぜなら、

  • 各メンバーが自分の専門性を活かせる瞬間を待ち望んでいる
  • 他のメンバーの専門性発揮を心から応援できる
  • 得意先への価値提供という共通の目的が常にある
  • 失敗を恐れずに挑戦できる信頼関係がある

からです。

オーガニックリーダーシップは、チームメンバー一人ひとりの中に存在する創造性と可能性を最大限に引き出します。それは、個々の専門性という「点」を、チームという「線」でつなぎ、そして得意先との関係性という「面」へと発展させていく力となるのです。

真のチームの形成プロセス

ここまで、Power of We とオーガニックリーダーシップという、真のチームを特徴づける二つの要素について見てきました。では、このような真のチームは、どのようにして形成されていくのでしょうか。

最も重要なのは、この形成プロセスそのものが、直線的な足し算ではなく、有機的な掛け算として展開されるという点です。私たちのチームの経験から、以下のような重要な要素が見えてきました。

まず、全ての出発点となるのは、得意先の価値を見出し、その可能性に共感する姿勢です。これは単なるビジネス上の関係性を超えた、より深い次元での関わりを意味します。得意先のビジョンや価値観に共鳴することで、チームメンバー間の結びつきも自然と強くなっていきます。

次に、異なる専門性の有機的な結合が生まれます。それぞれの得意分野を活かしながら、同時に他のメンバーの専門性からも積極的に学び合う。この過程で、個々の知識やスキルは単なる足し算を超えた、新しい価値を生み出す源泉となっていきます。

そして、これらの要素が相互に作用し合う中で、深い信頼関係が醸成されていきます。失敗を恐れない挑戦的な姿勢、互いの成長を心から喜べる関係性、そして何より、得意先への価値提供という共通の目的に向かって全力で取り組む姿勢が、チームの結束力を強めていきます。

このプロセスには、決して「0」や「マイナス」の要素を生み出さない、重要な特徴があります。

  • 常に得意先を中心に据えた視点
  • 互いの専門性を尊重し、学び合う姿勢
  • 失敗を次の成長につなげる建設的な対話
  • 成功体験の共有による信頼関係の深化

真のチームの形成は、一朝一夕には実現しません。しかし、このプロセス自体が、メンバー一人ひとりの成長と、チーム全体の進化を同時にもたらす、かけがえのない経験となるのです。

真のチームがもたらすフィードバック効果

これまで見てきた真のチームの経験は、組織と個人の両方に対して、深い影響をもたらします。

組織へのフィードバック

真のチームの存在は、組織全体に新しい可能性を示唆します。Power of We とオーガニックリーダーシップの実践は、他のチームにも波及し、組織全体の文化を変革していく力を持っています。

それは、

  • チーム間の有機的な連携モデルの提示
  • 新しいリーダーシップ文化の醸成
  • 創造性と柔軟性を重視する組織風土の形成
  • 得意先を中心に据えた価値創造の促進

につながっていきます。

個人へのフィードバック

真のチームでの経験は、個人の中に深い学びと成長をもたらします。特に重要なのは、自分自身に対するリーダーシップの確立です。チームの中で経験する「本気の協働」は、自己理解と自己管理の能力を高めていきます。

具体的には、

  • 自分の強みと可能性への深い理解
  • 状況に応じた主体的な行動力
  • 他者との建設的な関係構築力
  • 自己成長への飽くなき探求心
  • 自分自身をリードする力

が培われていきます。

自分自身へのリーダーシップは、単なるセルフマネジメントを超えた、より深い意味を持ちます。

それは、自分の可能性を信じ、挑戦を続ける勇気、そして自分の成長が他者や組織に貢献できるという確信から生まれる、前向きな自己変革の力となるのです。

これからのチーム作りへの示唆

真のチームの経験は、次なる挑戦への大きな示唆を与えてくれます。

以下のような特徴を持ちます。

  • Power of We を基盤とした関係性の構築
  • 状況に応じた柔軟なリーダーシップの発揮
  • 互いの成長を支え合う文化の創造
  • 得意先と共に価値を創造する喜びの共有

私たちは、このような真のチームの形成を通じて、組織と個人の新しい可能性を切り拓いていくことができるのです。そして、その過程で得られる学びと成長は、それぞれの人生における貴重な財産となっていくことでしょう。

チームのあり方については、こちらの投稿「【大切なのは、“パーパス”のすり合わせ?】成果が出るチームをつくる方法|知念くにこ」やこちら「【“心地よさ”が最強の戦略!?】コンフォート・ゾーン|クリステン・バトラー,長澤あかね」もおすすめです。ぜひご覧ください。

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