私たちは普段、「重力」を意識することはありません。しかし、この目に見えない力が、実は地球上のすべての営みを支えています。
不思議なことに、この重力という力は、現代科学をもってしても、その本質はまだ完全には解明されていません。
それでも私たちは、この見えない力を信じ、その存在を前提に生きています。
そして、発想を広げてみると、実は、人との関係性やあるいは、企業同士の関係性も同じなのかもしれません。
目には見えないけれど、確かにそこにある力。惑星と衛星のように、互いを引き寄せ合い、時には適度な距離を保ちながら、調和のとれた軌道を描いていく・・・。
天体が教えてくれる関係性の真実とは?
実は、私は、もう少し若い頃には、関係性というのは、もっとインスタントに「つながる」か「つながらないか」という二者択一の中にあると思っていました。そして、引き合い過程ということについて、あまり意識が向かうことがなかったように感じます。
例えば、仕事は、対価でバランシングが整っていれば、どんなときでも成立すると思っていたんです。(青いですね・・!)
しかし、広告会社のプランナーとしてもそうですが、さらに中小企業診断士としてさまざまな出会いを重ねる中で、少しずつ違う景色が見えてきました。
その景色というのは、惑星と衛星の関係に似ています。
安定した軌道に乗るまでには、慎重な距離の取り方と、絶妙な力加減が必要です。
急激な接近は、かえって軌道を乱し、時には衝突や離脱を引き起こしてしまう。人間関係だって、そうなんですね。
そして、一度バランスが取れれば、引き合いながら、互いの存在を含めた状況を維持する慣性が働くようになります。
枯山水が語る「間(ま)」の世界へ?
もうひとつ印象的な風景を想像してみましょう。それは、枯山水です。
一見、何もないように見える枯山水の空間。しかし、石や砂、植物といった要素の間には、目には見えない「引き合い」が満ちています。
それは、まるで天体間に働く重力のよう。存在と存在の間の空間は、決して「空虚」ではないのです。
なにもない空間に満たされているのは、オブジェクト同士がもたらす一定の引き合いという緊張感です。それぞれの石や植物の関係性が感じられるからこそ、そこに無限の想像力を掻き立てるような力が宿ります。
人と人が連携をしながら何かを目指している時に、その風景はもしかしたらシンクロしているのかも知れません。
ある意味、空間を考えるということは、地と図の関係を考えるということで、共通していて、枯山水も宇宙も同じ関係なのだと思います。
映画が描く、重力と愛の物語
2014年に公開されたクリストファー・ノーラン監督の映画『インターステラー』は、この「見えない力」の本質について、深い示唆を与えてくれます。
作中で重力は、単なる物理現象を超えた、「時空を超える愛の物理的な現れ」として描かれます。
「愛は、私たちが理解できる唯一の、時間と空間を超越する次元なのかもしれない」
このセリフが象徴するように、重力も愛も、目には見えないけれど確かに存在し、時空を超えて働き続ける力なのです。
映画の中で主人公は、重力という物理現象を通じて、愛する娘とコミュニケーションを取ります。科学的な力と感情的な力が、見事に調和する瞬間です。
関係性を紡ぐことを考える
ビジネスの世界でも、人間関係でも、この「見えない力」を感じ取る感性がこれからますます重要になっていくでしょう。
それは、惑星の軌道のように相手の動きを観察し、適切な距離を保ちながら、少しずつ安定した関係性を築いていくこと。また、枯山水の空間のように、一見の空白に見える「間」にも、豊かな意味を見出していくこと。
そして何より、目に見えない「引き合う力」を信じ、その力をより良い方向へと導いていくこと。
変化の時代だからこそ、確かな関係性を確認して、信じて、意識を向けていくことが大切なのではないでしょうか。
私は最近、ひとりの広告会社プランナー&中小企業診断士として社会の中でオープンに活動する中で、この「見えない力」の存在をより強く実感するようになりました。
関係性は、一朝一夕には築けません。しかし、惑星と衛星のように、一度安定した軌道に乗れば、そこには大きな可能性が広がります。
ただし、それを維持していくためには互いの変化も必要です。なぜなら、外部環境も内部環境も絶えず変化し続けているからです。
映画『インターステラー』が教えてくれたように、時には科学的な理解と感情的な直感の両方が必要になるでしょう。
そして、日本の庭園が何世紀もの間見る者の心を癒してきたように、適切な「間」を持った関係性は、時を超えて価値を持ち続けるはずです。
見えないけれど、確かにそこにある力。私たちは、その存在を信じることから始めてみてはどうでしょう・・!
それこそが、豊かな関係性を考え、築くことになると想像して。