打ち合わせを冒険に変える!?:「地図」と「ファシリテーション」の力を信じよう!

打ち合わせを冒険に変える!?:「地図」と「ファシリテーション」の力を信じよう!

「15分で終わる打ち合わせ」

ユニクロを世界的アパレルブランドへと成長させた柳井正氏は、基本的に打ち合わせを15分、長くても30分で終えるそうです。そして、早ければ15時には仕事を切り上げるとも。

この話を聞いて、あなたはどう感じるでしょうか? 「うちでは無理だ!」「どうやってそんなに短く終われるんだ!?」「もっと時間をかけて議論すべきでは?」・・・。

しかし、少し視点を変えてみましょう。

世界を切り拓くリーダーにとって、すべての打ち合わせは新しい地図を描く冒険なのかもしれません。15分という時間は、その冒険をより鮮やかに、より本質的なものにする。それは効率化というより、むしろ創造の時間なのです。

彼らは見えているのでしょう。まだ誰も見たことのない景色が。そして、その景色に向かってチーム全員で航海していく航路が。

打ち合わせを「やらなければならない業務」から、「ワクワクする冒険」に変えること。実は、それこそが生産性を高める最大の秘訣なのかもしれません。

「地図」がないから迷子になる

よくある光景かもしれません。会議室で行われる打ち合わせ。議題は決まっているはずなのに、気がつけば話が枝分かれ、本筋を見失い、結局「また来週」で終わる・・・。

参加者の表情にも疲れが見えます。「今日も結論出なかったな」「自分の時間を無駄にしている気がする」。こんな思いを抱えながら退室する姿を、あなたも見たことがあるのではないでしょうか?

実はこれ、「地図」がないことが最大の原因なのです。

船出する前の船長はまず航海図を確認します。目的地はどこか、今どこにいるのか、そしてどのルートを通るべきか。これがなければ、いくら優秀な乗組員が揃っていても、目的地にたどり着くことは難しいでしょう。

打ち合わせも同じです。進むべき方向(To Be)と現在地(As Is)、そしてその間にある論点という航路。これらを示す「地図」がなければ、参加者は迷子になってしまいます。

いかに「地図」を準備するべきか?

では、この「地図」をどのように描けばよいのでしょうか。それは、3つのレイヤーを考えることから始まります。

1)まず「目的地」を明確にします。 私たちはどこを目指しているのか。現状とのギャップは何か。この航海で何を成し遂げたいのか。・・・【ディスカッションをする目的の共有】

2)次に「主要な航路」を考えます。 目的地に向かうためには、どんな課題を解決する必要があるのか。どのような選択肢があるのか。予想されるリスクは何か。・・・【見出したい解決策の共有】

3)そして「具体的な進路」を定めます。誰が、いつまでに、何をするのか。必要なリソースは何か。どのように進捗を確認するのか。・・・【ネクストステップの確認】

この3つの地図があれば、議論が脇道にそれても、すぐに本筋に戻ることができます。

実は、打ち合わせに地図があるだけでは十分ではありません。その地図を率先して読み解き、時には風向きを見極め、見えない星を頼りに航路を修正できる優れた航海士、すなわちファシリテーターの存在が不可欠なのです。

よきファシリテーターのあり方とは?

ここで重要なのは、ファシリテーターの役割は単に「意見を平等に引き出すこと」ではない(!)ということ。実は、もっと創造的な仕事が求められています。

それは、「まだ言語化されていない目的地を感じ取り、全体をそこへ導いていく」という“航海術”です。

例えば、ある製品開発の打ち合わせで、参加者それぞれが異なる意見を述べているとします。一見バラバラに見えるその意見の中に、実は全員が無意識に目指している「理想の製品像」が隠れているかもしれません。優れたファシリテーターは、その見えない理想を感じ取り、徐々に形にしていきます。

この「見えないものを見る力」こそが、生産性の高い打ち合わせを実現するキーとなります。それは単なるスキルではなく、その場の空気を読み、参加者の言葉の奥にある思いを感じ取り、全体の方向性を見極めるという、いわば「ライブ感」のある実践なのです。

ファシリテーターは、海図を頼りにしながらも、風の音を聞き、波の動きを感じ、時には星を見上げて進むべき方向を定める航海士のように、場の空気や参加者の反応、議論の流れを絶えず感じ取りながら、打ち合わせという船を導いていくのです。

準備とライブの両立して、場の可能性を信じよう!

優れた航海には、必ず入念な準備があります。

まず、航海に出る前に確認すべきことがあります。参加者それぞれが持つ知識や経験は何か。どんな視点や意見を持っているのか。期待していることは何か。

そして、実際の打ち合わせという航海の中には、明確なリズムとライブ感、そして見えないベクトルを言語化して見出すファシリテーターの感じる視野が欠かせません。

こうして進む打ち合わせは、きっと創発のちからみなぎる、短くも濃い時間になるでしょう。

ここで大切なのは、全員が航海の仲間だという意識です。単なる会議の参加者ではありません。言ってしまえば、新しい景色を見つけようとする冒険者です。その意識が、打ち合わせの質を大きく変えていきます。

限られた時間の中で、楽しみや喜びを見出しながら、舵取りをしていくためには、やはり準備が不可欠です。でも完璧に準備をこなすことはできません。なぜなら、参加者すべての言動が予測できるわけではないから。

それよりもむしろ、その場のノリや勢いを大切にしながら、その場でひとつのものをつくっちゃおう!という心構えを持っておくことが大切です。

そのためには、自分自身にファシリテーションできる!という自信が必要です。そのためには、場数を経験しているということ、また、業界や状況やファシリテーションに関する基礎的な知識のアップデート、そして、なにより、参加する場をよりよくしたいという想いが大切なのかも知れません。

航海士として、クルーのモチベーションに気をかけるのは当然です。参加者の目が輝いていたら、それは素晴らしい冒険の始まりの証です。

風向きを絶えず読みながら、荒波を避けたり、順風を味方につけたりしながら、よりよいビジョンを目指していきましょう。

ファシリテーションについて実践的な学びや、必ずしもフラットな意見を尊重するのではなく、方向づけ(ディレクション)も必要だよ、という論点を知るにはこちらの1冊「【ファシリテーションこそ最強スキル!?】「超実践型」神ファシリ|神宮つかさ」も大変おすすめです。ぜひご覧下さい。

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