ブランドの新しい姿~ブランドは、協働のコンセプト!?~

ブランドの新しい姿~ブランドは、協働のコンセプト!?~

いつも、「増田みはらし書店」をご利用いただき誠にありがとうございます。当店では、約3年間さまざまな書籍を拝読しながら、毎日1冊を絵と文で紹介しております。

もともと、忙しい経営者の方のために、企業のビジョンを見つめるためにご参考になるすてきな1冊をご紹介し続けたい!という思いからはじめた書店ですが、おかげさまで、ほぼ1,000冊をご紹介できたことになります。

これもひとえに、いつも応援してくださるみなさまあってのことです。本当にありがとうございます!!

また、私は広告会社のプロデューサーとして、また、中小企業診断士としてさまざまな会社の社長や担当者の方と一緒になって、会社経営の根幹となるミッション・ビジョン・バリューや、あるいはその実体であるブランドづくりについて、考えさせて頂く機会を得ております。

そうした活動の中で、考え方ことや、見えてきた視点について「#考えるノート」として新しい企画の中でまとめていきたいと思います。

まず1回目は、ブランドについてのお話から始めてみたいと思います。

かつて、ブランドは、企業の所有物であると考えられていました。しかし、昨今、その考え方や捉え方は変化し続けています。現代のブランドは、企業だけでなく、その周囲を取り巻く、ステークホルダーの方々と共有している考え方であると捉えるほうが自然のような気がしています。

ブランドは「所有」から「共有」へ?

従来、ブランドは企業のアイデンティティを表すものであり、企業からステークホルダー(特に、顧客・見込み客)へと一方的に発信されるものでした。

しかし、情報化の流れ、特にSNSの登場によって、生活者が情報を取得し、加工し、発信する力を得てから、ブランドの立ち位置も少し状況が変わってきました。

生活者が、ブランドについてSNSなどで言及できることになり、企業側もそうした発言を無視することが許されなくなってきたのです。

現在では、生活者はブランドの単なる受け手であるだけでなく、自分が関心のあるブランドの活動について言及したり、あるいはブランドメッセージの代弁者として参画することも選ぶことができます。

ここで、生活者といっても、いまを生きる人全員のことを捉えられる概念であることに気づきます。つまり、従業員、取引先、地域社会に暮らすどんな人でも、特定のブランドについて、共に考えて、共に情報を発信したり関係を持ったりできるようになったということでしょう。

ブランドとは、つまり企業とステークホルダーの協働の結果としてたち現れてくるものであり、企業だけが考えて発信するものではもはやないのかも知れないということに気づきます。

生活者の参加をブランディングに役立ている事例は?

実はブランドづくりにおいて、あえて、ステークホルダーを積極的に参加してもらえう仕組みを自分で積極的に作っている事例があります。下記で、レゴの事例を一緒に見ていきましょう。

LEGO Ideasとは?

LEGO Idesとは、デンマークの玩具メーカー、レゴ社が運営するクラウドソーシングプラットフォームです。ぜひサイトをご覧いただきたいのですが、さまざまなテーマがレゴで3次元化されていて、バリエーションも幅広く、それぞれの人のレゴ愛を感じる仕上がりになっています。

ポイントは、ユーザー同士で投票できる仕組みを持っていることです。ユーザーがオリジナルのレゴセットのアイデアを提案し、それに対して他のユーザーが投票を行います。1万票を獲得したアイデアは、実際の商品化が検討されるというものです。

つまり、この仕組みは、レゴ社にとってのファンの見える化ツールであり、かつ、ファン同士のコミュニティツールであり、かつ、商品化のアイデアノートでもあることに気づきます。

これはすごいことです。レゴで遊んでいる人が、レゴの魅力を最もよく知っている人だと、同社の担当者はよく知っているのです。そしてレゴというブロックの無限の可能性を体現するものとして、ユーザー参加型のコミュニティを上手に機能させています。

LEGO Ideasは、レゴのミッションを体現する?

ちなみにレゴのミッション、ご存知でしょうか?

Inspire and develop the builders of tomorrow
(未来のつくり手にインスピレーションを与え、育む)

まさに、ブランドを体現するコミュニティを運営しているのです。

レゴはレゴでものを3Dで立ち上げていく人のことを「ビルダー」としてとくに名前をつけています。この名称をつけているのがまたいいですね。特別な存在であると、認識しているよ、というメッセージを帯びます。

ブランド共有時代の企業の役割とは?

ブランドを協働のコンセプトとして捉えることは大切ですが、だからと言って企業の役割が小さくなるわけではありません。むしろ、企業にはブランドの「コアバリュー」を定義し、守り続ける重要な責務があるのです。

なぜなら、ブランドの骨子がしっかりしていなければ、アイデアのスクリーニングもできないし、あるいはもっと前のアイデアを共に作ろう!と思ってもらうことも難しいからです。

だからこそ、企業は率先して、ブランドの「ありたい姿」を仮説でもいいので、率先して見える化・言語化していく役割が相対的に強くなっていると言えるでしょう。

コアバリューの維持

企業は、自社のブランドが何を大切にし、どのような価値を提供するのかを明確にしなければなりません。このコアバリューこそが、ブランドの求心力の源泉となるからです。ステークホルダーとの協働を進める中でも、このコアバリューは揺るぎないものとして維持されるべきでしょう。

例えば、先に紹介したLEGO Ideasは、ユーザーのアイデアを商品化に活かす取り組みです。しかし、レゴ社は「創造性の喚起」というコアバリューに合致するアイデアのみを採用しています。同社は、ステークホルダーとの協働を進めながらも、ブランドのアイデンティティを守る姿勢を貫いています。

しかし、「ありたい姿」を確固たる不動のものとして定義するのではなく、柔軟性をいかに担保するのかということも同時に求められます。

バランス感覚の重要性

企業には「守るべきもの」と「変えていくべきもの」を見極める判断力が求められているのです。このバランス感覚を磨くことで、企業はブランドの求心力を高め続けることができるはずです。

具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

  • ブランドのコアバリューをブランドの担当者で互いにディスカッションできるような場を設定する。
  • その過程で、得られた内容を元に意思決定の基準を絶えず改める機会を作る。
  • その上で、ステークホルダーとの対話の場を設け、ブランドへの期待や要望を積極的に聴く。
  • 寄せられたアイデアを、コアバリューに照らして慎重に評価し、採用の可否を判断する。
  • ブランドの変化の過程を、ステークホルダーに対して透明性を持って伝えていく。

このようなプロセスを通じて、企業はブランドの求心力を高めながら、協働のブランドづくりを推進していくことができるでしょう。

寄せられたアイデアや意見に対して、積極的に公表し、適切な対応をしていくことが理想でしょう。より良いコミュニケーションを成り立たせていくのに重要なのは、応答する責任を互いに感じている状態です。

ブランドとは、協働のコンセプトである?

ブランドとは、もはや企業の所有物ではありません。それは、企業とステークホルダーが協働で創り上げていく「コンセプト」なのです。しかし同時に、企業にはブランドのコアバリューを守り、ステークホルダーとの協働とのバランスを取る重要な役割があります。

ブランドを取り巻く環境は常に変化し続けています。

しかし、だからこそ企業には、ブランドの本質を見極め、守るべきものは守り、変えるべきものは変えていく柔軟性が求められているのです。この難しくも やりがいのある課題に真摯に向き合うこと。それが、これからのブランドづくりに欠かせない企業の姿勢なのではないでしょうか。

協働のブランドづくりを通じて、より豊かで満足度の高い社会を実現する。そんな未来を、私たちは目指していきたいと思います。ブランドの新しい姿を作るのは、いまを生きる人一人ひとりなのかも知れません。

今回の投稿に関する書籍のご紹介です。特にブランドを根幹を設計するためには、ミッション・ビジョン・バリューを重視することを検討してみても良いかも知れません。こちらの1冊「【MVV理解の解像度上げられる!?】理念経営2.0 ── 会社の「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ|佐宗邦威」やこちら「【「考える人」こそが資産!?】ニッチ企業は理念で生き残る|大塚雅之」もぜひご覧下さい。

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