- なぜ、一生懸命頑張っているのに、心が満たされないのでしょうか?
- 実は、うまくいく人が大切にしているのは、「頑張ること」ではなく「楽しむこと」なんです。
- なぜなら、人は自分で「やりたい」と思って動くとき、一番エネルギーが湧き、成長するからです。
- 本書は、「楽しむ」というシンプルな習慣が、人生を根底から変える力を持っていることを教えてくれます。
- 本書を通じて、私たちは「経済の限界」という物語を超えて、「人の可能性」という新しい地平に立つことができるのです。
横山直宏さんは、Catch the Webグループの創業者であり、国内外8社を経営する経営者です。
経営者コミュニティ「YCS」を主宰し、600名以上の経営者・起業家が在籍しています。
一般社団法人価値マーケティング協会の代表理事でもあります。
横山さんの人生は、9歳で父を突然亡くした経験から始まります。「このまま死んだら、絶対後悔する」という思いから、一度きりの人生を自分らしく生きると決め、26歳で独立・起業しました。
しかし起業当初、売上拡大を追い求めた結果、スタッフは疲弊し、経営も危機的状況に陥りました。社員にボーナスが払えず、「いったい何のために働いているのか」と駅のホームで涙を流したこともあったそうです。
この経験から、横山さんは「自分の価値観で、楽しみながら、本当にやりたいビジネスをやる」という信念に転換しました。
この決断で会社がV字回復し、13年間で累計100億円の売上を達成しました。
現在は沖縄の古宇利島でリトリート施設「Totonou Space」を運営しながら、岡山の吉備中央町でエコビレッジ「ととのうファーム」で農業にも挑戦しています。
妻と2人の娘と共に沖縄で暮らしながら、世界中を飛びまわり、「自分の価値観に合った生き方」を広めています。
意志という資産――人的資本の本質とは何か
最近、私は「意志こそが相対的に大切な資産なのではないか」と感じることが増えました。
人が動くことが経済を循環させます。
もちろんお金も大切ですが、お金は交換しないと価値を発揮できません。
一方、意志は自分の中から湧き出るものです。
交換する必要がない、かけがえのない資産なんです。
そのときにかけがえのない活動が人間の労働だとしたときに、そこには意味がないといけない。
そして、その意味というのは、誰かから与えられるというよりも、やはり最後には自分で感じるものだと思うんです。
人的資本経営という言葉が注目されていますが、本質は何でしょうか?
私は、一人ひとりの魂の叫びというか、「今なぜ生きているのか」「これからどうしたいのか」ということに対して、答えはなくていいので、でも向かっていくぞという意気込みではないかと思うんです。
本書が提唱する「楽しむこと」という習慣は、まさにこの意気込みを生み出す源泉です。
「人は自分で『やりたい』と思って動くとき一番エネルギーが湧き、成長する」というのが、自己決定理論の核となる結論です。
これはNASAの清掃員の有名なエピソードからも明らかです。
「あなたは何をしているのか?」と問われた清掃員が、「私は人類を月に送る手伝いをしている」と答えた。
掃除という仕事に、自分なりの意味を見出していたんです。
自分から「楽しい」と思って仕事ができるようになれば、毎日の幸福度も、結果も、人生の充実度もまったく違ったものになる。
これは仕事だけの話ではありません。
人生全体に言えることなんです。
本書では、「楽しむ」と「楽しめる人」を区別しています。
本気で楽しんでいる人は「がんばっている」という感覚すらありません。心から楽しいので、がんばるというよりも、目標とやり続けられる力が備わる「1つの習慣」である理由です。無理してがんばっている人は、時間もそれで楽しんでやっている人にはかないません。「がんばる」は「楽しむ」に勝てないのです。
そして、本気で楽しむ人は、世界から祝福を受けるとも言います。
本気で楽しむ人は、世界から祝福を受ける
(中略)
本気で楽しむ人には、応援と祝福が集まるのです。
なぜか?
それは、楽しんでいる人のエネルギーが周囲を巻き込み、自然と応援したくなるからです。
義務感で動いている人と、楽しみながら動いている人。
どちらを応援したいか、答えは明白ですよね。
意志という資産を最大化する方法、それが「楽しむ」という習慣なんです。
「拡大・成長」から「楽しむ・調和」へ――価値観の転換
本書が描く世界観は、従来の経済成長モデルとは一線を画しています。
横山さん自身、起業当初は売上拡大を追い求めた結果、スタッフは疲弊し、経営も危機的状況に陥りました。
駅のホームで涙を流したこともあったそうです。
でも、その経験から「自分の価値観で、楽しみながら、本当にやりたいビジネスをやる」という信念に転換し、会社はV字回復しました。
これは個人的な成功物語ではなく、時代の転換点を示しています。
1つめは「無理に拡大・成長を目指さない」こと。何かに執着して、他人の価値観で拡大成長を追い求めることが、必ずしも幸せにつながるわけではありません。いまを楽しむことが大切です。2つめは「環境や周囲との調和を大切にする」のではなく、よりマクロ(大きな)な視点で、社会や地球全体が幸せになる選択を意識しましょう。これは、結果的に自分の幸福感にもつながり、より豊かな人生を送れる。3つめは「自分のための価値観や意味を持つ選択をする」こと。ムダな競争や無意味な消費から離れ、自分が心から価値を感じられることに時間やお金を使いましょう。
これは「経済の限界」という物語を超えて、「人の可能性」という新しい地平に立つことを意味しています。
拡大・成長を無理に追い求めない。
減速する素晴らしき世界を面白がる。
これは諦めではなく、むしろ積極的な選択なんです。
鍵となるのは、自分の価値観に従って楽しく生きること。「減速する素晴らしき世界」を面白がりながら自分らしく生きていくのが、これから世界で幸せに生きる秘訣なのです。
そして、価値観に合わないことを手放す勇気を持つこと。
資源をムダにしないこと、自然との調和を保ちながら生きること、そして無理なく持続できるライフスタイルを選ぶことが、次の時代に必要な価値観になっていくでしょう。
具体的には、3つのステップがあります。
① 価値観に合わないことを手放す:
まず、自分の価値観にそぐわない行動や選択を少しずつやめてみましょう。たとえば「人に合わせるために無理をしている人生」や「見栄でつくる人間関係」を見直すことで、エネルギーが奪われなくなります。
② 価値観を周囲に伝える:
他者や友人に話してみましょう。他者と共有することで、サポートを得やすくなり、使命感を持って行動できるようになります。
③ 定期的に価値観を見直す:
定期的に価値観が進化しないか確認しましょう。人生のステージが変わると、価値観が進化することがあります。定期的な見直しは、常に自分らしく生きるためのヒントです。
仕事を「楽しめる人」と「楽しめない人」の違いは、どこにあるのでしょうか?
本書では、その違いを「痛み」と「快楽」という2つの動機で説明しています。
「痛み」を避けるために働く人は、上司から怒られないように、取引先からクレームを言われないように、競合の脅威を意識しながら、売上が下がらないように働きます。
この動機はネガティブで、どうしても義務感や恐怖が先に立ってしまいます。
一方、「快楽」を得るために働く人は、お客さまに喜んでもらうために、目標を達成するために、世の中に価値を提供するために、同僚や仲間と一緒に世界をよくするために働きます。
この動機はポジティブで、自然と楽しみながら行動できるんです。
人は「痛みを避ける」か「快楽を得る」かのどちらかで行動します。でも、痛みを避けるための行動では、いつまでたっても心が満たされません。快楽を得るための行動、つまり「楽しむ」ことを動機にすることで、人生の質が根底から変わるんです。
マクロな視点で社会や地球全体の幸せを考えることは、結果的に自分の幸福感にもつながります。
それは、自分の行動に意味を感じられるからです。
自分のための価値観を持つ――意味を自分でつくる生き方
意味は、誰かから与えられるものではありません。
最後には、自分で感じるものなんです。
他人の価値観で生きていては、いつまでたっても満たされません。
本気で楽しむことで得られる無限の可能性を、心から伝えたいと思っています。なぜなら「楽しむ」ことこそが、人生をうまく進めるための最強の習慣であり、攻略法だからです。
本書が繰り返し強調するのは、「自分のための価値観を持つ」ことの重要性です。
お金のためだけに働いていても、楽しくありません。
そして、どのように時間を使っていくかについても工夫が必要です。
「自分がやりたいと思うことを、楽しみながらやる」 これが結論です。
ここで重要なのは、「自分がやりたいと思うこと」を見つけることです。
本書では、3つのコツを挙げています。
① 「楽しみ」を意識的に探す
日常の中で、何が自分を楽しませているのか、意識的に探してみる。
小さな楽しみを見つけることから始まります。
② 「やらされている」から「やりたい」に変える
同じ仕事でも、視点を変えることで「やりたい」に変えることができます。
NASAの清掃員のように、自分なりの意味を見出すんです。
③ 小さな成功体験を積み重ねる
仕事が楽しくなると、成功する確率が上がりますね。好きこそものの上手なれですから。そして、そのことでポジティブにものごとを捉えることができるようになります。
すると、人間関係が良好になり、ともに成長する仲間が増えていくことになるでしょう。結果的に、チームとして社会に対して提供できる価値が増大していくことで、多くの人と満ち足りた感覚を共有することが可能になるでしょう。
楽しむことで、成功体験が増え、さらに楽しくなる。
この好循環が、人生を根底から変えていくんです。
そして、本書が最も重要なこととして挙げているのが、「目に見えないもの」を大切にすることです。
人生を楽しむポイント「目に見えないもの」を信じることができたとき、毎日は楽しくなる
目に見えないもの、それは意味、価値観、そして意志です。
これらは測定できないし、交換もできません。
でも、これこそが人生を豊かにする本質なんです。
過去の意味は変えられる 世の中には、自分ではコントロールできないことも、変えられないこともあります。過去のできごとは変えられませんが、過去のできごとへの「意味づけ」は変えられます。そのできごとがあなたに与えた「意味づけ」は変えられます。
過去の出来事は変えられないけれど、その意味は変えられる。
これは深いインサイトです。
意味は、自分でつくるものだから。
何かネガティブなできごとがあったときに「○○のせいで」と考えてしまい、マイナスな理由ばかりが出てくるのは、そのネガティブなできごとの「マイナスな意味」が根付いているからです。でも「○○のせいで」と考えてしまうところを「○○のおかげで」に言い換えると、ネガティブなできごとがプラスなできごとに変わります。
「○○のせいで」から「○○のおかげで」へ。
この視点の転換こそが、人生を変える鍵なんです。
横山さんは、自分ではどうしようもないことを経験したとき、「○○のせいで」ではなく「○○のおかげで」に変えることで、「一度きりの人生を自分らしく生きる」という発想を持つことができると説きます。
意味を自分でつくる。
価値観を自分で持つ。
そして、楽しみながら生きる。
これこそが、うまくいく人が大切にしている「1つの習慣」なんですね。
習慣の作り方に関しては、こちらの1冊「習慣は、“技術”である!!『科学的に証明された すごい習慣大百科』堀田秀吾」、「自己と他者の間に感謝して生きる!!『科学的に証明された すごい習慣大百科』堀田秀吾」もぜひご覧ください。おすすめです。


まとめ
- 意志という資産――人的資本の本質とは何か――お金は交換が必要ですが、意志は自分の中から湧き出る資産です。人は「やりたい」と思って動くとき、一番エネルギーが湧き、成長します。人的資本経営の本質は、一人ひとりの魂の叫びに向き合い、答えはなくても向かっていく意気込みを持つことです。
- 「拡大・成長」から「楽しむ・調和」へ――価値観の転換――無理に拡大・成長を目指さず、減速する素晴らしき世界を面白がる。価値観に合わないことを手放し、マクロな視点で社会や地球全体の幸せを考える。これは「経済の限界」を超えて「人の可能性」という新しい地平に立つことです。
- 自分のための価値観を持つ――意味を自分でつくる生き方――意味は誰かから与えられるものではなく、自分で感じるものです。「楽しみ」を意識的に探し、「やらされている」を「やりたい」に変え、小さな成功体験を積み重ねる。「○○のせいで」から「○○のおかげで」への視点転換が、人生を根底から変えます。
