1%(1日14分)を積み重ねよ!?『仕事ができる人がキリの悪い時間にやっていること』本山裕輔

『仕事ができる人がキリの悪い時間にやっていること』本山裕輔の書影と手描きアイキャッチ
  • 隙間時間を有効活用できていますか?
  • 時間管理の本を読むと、よく「隙間時間を活用しよう」と言われます。でも、実は、すべての隙間時間が同じように使えるわけじゃないんです。
  • 会議の合間の15分、電車での移動時間、次の予定までの30分。同じように「空いている時間」でも、その質はまったく違います。なぜなら、集中できる時もあれば、落ち着かない時もあるからです。
  • 本書は、この「隙間時間の質」を見極めて、自分の状態に合った使い方を選ぶという発想を教えてくれます。
  • 本書を通じて、時間に流されるのではなく、時間を主体的に使う姿勢を手に入れることができるはずです。
本山裕輔
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本山裕輔さんは、1992年生まれ、佐賀県出身で現在は福岡県在住の方です。慶應義塾大学商学部を卒業後、グロービス経営大学院でMBAを取得されています。

キャリアのスタートは、2016年に新卒で入社したPwCコンサルティング。ここで大企業の業務改革や営業・マーケティング強化の支援、システム導入のプロジェクトマネジメントなど、幅広い経験を積まれました。

その後2019年に株式会社グロービスへ転職し、業務改革やデータマネジメント、DX推進を主導されています。現在は論理思考のコンテンツ開発および講師として活躍される一方、株式会社Shikumuの代表取締役として、マーケティング、データ活用、業務効率化に関するコンサルティングも行っています。

本山さんの魅力は、その発信力にもあります。Xやnoteでマイペースに働くための仕事術やオススメ本を発信し、多くの支持を集めています。著書には『投資としての読書』(フォレスト出版)があり、本書『仕事ができる人がキリの悪い時間にやっていること』は、そうした実践的な仕事術の集大成とも言える一冊です。

コンサルタントとしての現場経験と、自らの効率的な働き方の実践から生まれた知見が、この本には詰まっています。

隙間時間にも「質」がある──4つのパターンで見極める

時間管理の本を読むと、よく「隙間時間を活用しよう」という話が出てきます。でも、正直なところ、すべての隙間時間が同じように使えるわけじゃないんですよね。

本書で面白いと思ったのは、隙間時間を単に「空いている時間」として一括りにせず、その質によって4つのパターンに分類している点です。

キリの悪い隙間時間には、先の例のように物事が手につかない「集中しにくい時間」だけでなく、「突然生まれる時間」もあります。

この指摘、すごく的を射ていると思うんです。つまり、隙間時間には「集中できるかどうか」と「突発的か予測可能か」という2つの軸があって、それによって使い方が変わってくるということ。

具体的には、本書では以下の4パターンに分類されています。

  • パターン①:突発型×集中しやすい時間
  • パターン②:突発型×集中しにくい時間
  • パターン③:予測型×集中しやすい時間
  • パターン④:予測型×集中しにくい時間

この分類が実践的だと思うのは、自分の状態と時間の性質の両方を考慮している点です。

たとえば、パターン①の「突発型×集中しやすい時間」。これは急に予定が空いたけど、心理的には落ち着いている状態です。

突発的に生じた隙間時間を有効活用するには、タスクを絞り込んで一点集中で取り組むことが効果的です。やるべきことが明確に決まっていれば、速やかに取り組むべてしょう。最も適しているのは、以前から取り組みたかったものの、なかなか着手できずにいた作業です。

この「以前から取り組みたかったけど着手できていなかった作業」というのがポイントで、突然時間ができたときこそ、そういう溜まっていた仕事に取り組むチャンスなんですよね。

一方で、パターン②の「突発型×集中しにくい時間」は、予定が急に空いたけど心理的には落ち着かない状態。

こうした細切れでキリの悪い隙間時間は、集中力を特に低下させやすいものです。心理学の研究では、『注意の切り替え(タスクスイッチング)』に伴って生じる認知コストが大きいことが知られています。人間の脳は注意の対象を切り替えるたびに、余分なエネルギーを消費するからです。

ここで大事なのは、あえて深い集中を必要とする作業を行おうとしないこと。むしろ、雑多なタスクの整理や、簡単なToDoの消化、資料の軽い確認など、「心的負荷の低い作業」が賢明です。

そして、私が特に共感したのがパターン③の「予測型×集中しやすい時間」。これは、時間の長さが予測できて、かつ集中できる環境にある時間です。

この不確実性を逆手に取るには、時間の長さが限定なことを前提として、柔軟に中断・再開できる作業を選ぶことが大切です。

本書では、移動時間を「ゴールデンタイム」として活用することが推奨されています。新幹線や飛行機での移動は、確かに集中できる環境が整っているし、時間の区切りも明確です

出張で新幹線や飛行機を利用する際、私は必ず紙の本を3冊携帯する

この「3冊携帯する」という具体性が本山さんらしいと思います。移動時間は、新しい刺激を得られるという意味でも効果的で、だからこそ移動って大事だったりするんですよね。

ちなみに移動に関する1冊はぜひこちら「【環境を変えれば、ポジティブな変化になる!?】移動する人はうまくいく|長倉顕太」もご覧ください!!おすすめですよ。

最後にパターン④の「予測型×集中しにくい時間」は、予定の開始時刻が近づいていて落ち着かない状態。

注意力に関する研究によれば、人間の脳は重要な出来事を意識しすぎると、目の前の作業に集中して注意を『固定』してしまい、他の作業へ集中力を向けてしまうのです。

つまり、次の予定が迫っている時は、無理に重要な仕事をしようとせず、軽いメールのチェックや机の整理、書類の整頓など、「心的負荷の低い作業」に徹するべきなんです。

このタイプの隙間時間では、集中力が低い状態でも行える『軽いタスク』を選ぶことが最適な戦略となるのです。

この4つのパターン分類を完璧に使い分けるのは正直難しいと思います。でも、「今、自分は集中できる状態なのか?」という問いかけは、時間の質を見極める上で決定的に重要です。

なぜなら、それこそが時間の質を左右するし、自分と正しく向き合うことでこそ、時間に流されずに使う覚悟を持つことができるからです。

1日の1%、約14分の積み重ねが人生を変える

隙間時間の活用を語る上で、もう1つ忘れてはいけない視点があります。それは、小さな時間の積み重ねが、長期的にどれほど大きな変化を生み出すかということです。

1日の1%とは、わずか約14分のこと。

この数字を見て、「たった14分!?」と思う人もいるかもしれません。でも、この14分が積み重なると、どうなるか。

1日20分の待ち時間でも、1年間で計算すると約120時間、丸々5日分に相当します。この時間で本を読んだり、副業に取り組んだことで、処理した連絡、それらが積み重なって、気がつくと「ある、前より情報に敏感になった気がする」「レスポンスが早く、言われる前に言われるようになった」という変化を実感できるはずです。

1年で120時間。これは約5日分、つまり丸5日間もの時間です。

もし毎日20分、読書に充てたら、年間で相当な量の本が読めます。もし副業に充てたら、新しいスキルが身につくかもしれません。

本書では、この「小さな積み重ね」の力を象徴する素晴らしい例が紹介されています。

あるシングルマザーの女性は、公園で娘を乳母車に乗せながら、彼女が眠る夢を見ていた彼女に駆け込みました。娘が起きるまでの短い時間を使って、彼女は原稿を書き続けたのです。そうして出来上がった小説が取りも直さず『ハリー・ポッター』シリーズを生み出したのです。その女性こそが、J・K・ローリング氏だったのです。

J・K・ローリングの例は、隙間時間の可能性を示す最高の物語です。彼女は、娘が眠っている間のわずかな時間を使って、世界的ベストセラー『ハリー・ポッター』を書き上げたのです。

全世界2000万部を突破している習慣術の名著『ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣』(パンローリング)も、短い時間での小さな行動の積み重ねが、やがて大きな自己変革につながることを明らかにしています。

『ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣』で語られているのは、まさに「複利効果」です。小さな改善を毎日続けることで、時間が経つにつれて指数関数的に成長していく。この考え方は、隙間時間の活用とも深く結びついています。

こちら「【習慣は作れる!?】ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣|ジェームズ・クリアー,牛原眞弓」ぜひご覧ください。

でも、ここで重要なのは、ただ「時間を埋める」ことではないんです。

「たかが待ち時間でしょ?」と思われるかもしれませんが、1日20分の待ち時間でも、1年間で計算すると約120時間、丸々5日分に相当します。

この言葉が示しているのは、隙間時間を「たかが」と侮らない姿勢です。たしかに、1回1回の隙間時間は短い。でも、それを積み重ねることで、人生が変わるほどの時間になる。

だからこそ、私たちは隙間時間を「何となく過ごす時間」ではなく、「意図的に使う時間」として捉え直す必要があるんです。そして、そのためには、先ほど述べたような「自分の状態を見極める力」が不可欠になってきます。

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時間に流されず「使う覚悟」を持つ──主体性の獲得

ここまで、隙間時間の質の見極め方と、小さな時間の積み重ねの力について考えてきました。でも、最も大切なのは、時間に対する姿勢そのものなんじゃないかと思うんです。

本書を読んで強く感じたのは、時間に流されるのではなく、時間を主体的に使うという覚悟の重要性です。

多くの人は、隙間時間が生まれると、何となくスマホを開いてSNSを見たり、ニュースアプリを眺めたりします。それ自体が悪いわけではありません。でも、それが「何となく」の行動だとしたら、時間に流されているだけです。

本書で提案されているのは、隙間時間を事前に設計しておくという発想です。

読書メモの手法が、『要点=問いx答えx根拠』という公式で表現できるシンプルながら効果的な方法なのです。

この読書メモの手法は、移動時間などの「予測型×集中しやすい時間」で実践できる具体的な方法です。でも、もっと本質的なのは、「この時間をどう使うか」を事前に決めておくという姿勢そのものです。

この「事前に決めておく」という行為こそが、時間を主体的に使う第一歩なんです。なぜなら、時間が突然生まれた瞬間に「何をしようか」と考え始めると、結局何もできずに終わってしまうことが多いからです。

本書の4つのパターン分類も、まさにこの「事前設計」を助けるためのフレームワークです。

「突発的に時間ができたら、この作業をしよう」 「次の予定まで15分あるけど集中できないから、軽いタスクを片付けよう」

こうした判断を瞬時にできるようになるためには、自分の仕事やタスクを整理し、時間の質に応じた「引き出し」を用意しておく必要があります。

そして、もう1つ重要なのが、自分自身と向き合うことです。

「今、自分は集中できる状態なのか?」 「この時間で、本当にやりたいことは何なのか?」

こうした問いかけを習慣化することで、時間の使い方が劇的に変わってきます。なぜなら、時間の質を決めるのは、結局のところ自分自身の状態だからです。

本書を読んで、私が最も共感したのは、この「自分と向き合う」という視点です。隙間時間の活用法は、単なるテクニックではなく、自分自身をどれだけ理解しているかという自己認識の問題でもあるんです。

たとえば、次の予定が迫っている時に無理に集中しようとしても、結局身が入らない。それなら、素直に「今は集中できない」と認めて、軽いタスクに切り替える。この柔軟性が、時間を味方につける秘訣です。

そして、こうした柔軟性を持つためには、時間に対する「余白」の意識も大切だと思います。すべての時間を完璧に埋めようとするのではなく、時には何もしない時間があってもいい。大事なのは、その選択が意図的なものであるということです。

本書が教えてくれるのは、隙間時間の活用法だけでなく、時間という資源に対する主体性の持ち方そのものです。時間に流されるのではなく、時間を使う覚悟を持つ。そのためには、自分の状態を見極め、適切な判断を下し、小さな積み重ねを信じる。

この姿勢があれば、たとえ忙しい日々の中でも、確実に前に進んでいけるはずです。

まとめ

  • 隙間時間にも「質」がある──4つのパターンで見極める――質を見極めることは、時間に使われるのではなく、時間を使うという発想を持つことができます。
  • 1日の1%、約14分の積み重ねが人生を変える――1%の積み重ねを継続すると、莫大な効果をもたらすのです。
  • 時間に流されず「使う覚悟」を持つ──主体性の獲得――本当にやりたいこと、本当に求められていることを考え続けることが、時間を捉える視点として最も重要なのではないでしょうか。
本山裕輔
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