- 年収、フォロワー数、体重、偏差値——私たちは、いつから「数字」で自分の価値を測るようになったのでしょうか?
- 実は、この「数」に振り回される生き方こそが、現代人が「ありのまま」でいられない最大の原因なんです。
- なぜなら、私たちは常に比較し、競争し、「もっと良くならなければ」というプレッシャーの中で生きているから。
- 本書は、そんな息苦しい現代社会に対して、東洋哲学の視点から「ありのままの自分で幸せになれる扉」を開いてくれる一冊です。
- 本書を通じて、条件なく存在しているだけで価値がある、という本質的な真理に気づくことができるんです。
筬島正夫さんは、1970年に長崎県でお生まれになりました。
幼稚園の頃から、戦争などの争いが絶えない世界に絶望感と無力感を覚え、「みんなが幸せになれる道はないのか」と探し始めたそうです。
さらに高校時代、後輩の死という衝撃的な出来事を通して、良い学校を出て良い就職をしてお金持ちになれば幸せになれるという、当時の一般的な幸福観に大きな疑問を抱くようになります。
その答えを求めて、キリスト系の関西学院大学社会学部に入学し、キリスト教や西洋哲学を学びますが、そこでは答えが得られませんでした。
そして東洋哲学に目覚めます。
世界の哲学・思想を比較する社会学を学び、浄土真宗の布教使として研鑽を積まれた筬島さんは、令和6年にフリーのユーチューバーとして独立されました。
すべてのお経を読破したうえで、東洋哲学の深い内容を中心に、ゼロから一気にわかりやすく解説する動画が大きな反響を呼び、チャンネル登録者数は7万5000人を突破しています。
「おさじー先生」の名前で多くの人に親しまれ、現代人が抱える生きづらさに対して、東洋哲学の智慧を届け続けています。
「数」に振り回される私たち
私たちは、いつの間にか「数」に支配された世界で生きているんです。
年収はいくらか、フォロワーは何人か、体重は何キロか、偏差値はいくつか。
言葉を変えると、多くの人が年収、成果、成績、体重など、「数」に振り回されて苦しむ「数病」にかかっているのかもしれません。
比べたがる、勝ちたがる。
そんな競争の中で、私たちは自分自身を見失っています。
でも最近になって、「ありのままでいい」という言葉が流行るようになりました。
私たちは親からも、先生からも、上司からも、「もっと頑張れ」「もっと良くなれ」と言われ続けてきました。
その反動として、「ありのままでいい」という言葉に癒しを求めるようになったんです。
ところが、この言葉が形骸化してしまっているのが現状です。
「ありのままでいい」と言いながら、実際には「自分らしく、肩の力を抜いたほうがうまくいく」という、より良いほうを選べばよいのですから、という文脈で使われることが多くなりました。
つまり、「自分らしく振る舞ったほうが、結果として成果も上がるし、周囲にも好かれる」という、結局は成果や評価を前提とした考え方なんです。
これでは本当の意味で「ありのまま」とは言えません。
「自分らしく、肩の力を抜いたほうがうまくいく」「自分らしく振る舞ったほうがネガティブに感じていた部分も個性として受け入れてもらえて、かえってうまくいった」状況が起きれば、成果できた
本書が指摘するように、これは「ありのまま」の本質を見誤っているんです。
当たり前ですが、「数」より「人」が大事なんです。
「人とはいえ、どうすればいいのかわからない」そんな人にぴったりなのが、東洋哲学なんです。
東洋哲学は、西洋の「個人の成功」を追い求める考え方とは異なり、「こころの平安」や「周りとどう調和するか」を重視します。
彼らは、単にお金持ちになりたいのではなく、「どうすれば満たされた人生を送れるのか?」という問いに直面していたのです。
ありのままの自分で幸せになれる扉
では、東洋哲学は「私」という存在をどう捉えているのでしょうか。
それは非常にシンプルで、かつ根源的な答えなんです。
東洋哲学では、西洋の「個人の成功」を追い求める考え方とは根本的に異なります。
西洋哲学は「幸福の追求」や「周りのコントロールや調整」を重視するのに対し、東洋哲学は「こころの平安」や「周りとどう調和するか」を大切にします。
西洋の「個人の成功」を追い求める考え方とは異なり、東洋哲学は「こころの平安」や「周りとどう調和するか」を重視します
彼らは、単にお金持ちになりたいのではなく、「どうすれば満たされた人生を送れるのか?」という問いに直面していたんです。
そして東洋哲学が示す答えは、とても深いものでした。
社会や世界の一部として存在している以上、他者とのつながりを大切にする。
- 自分が生きているのは、周囲の支えがあるからこそのことに感謝する。
- だからこそ、環境破壊はよくないし、他人を傷つけてはいけない。
さらには、自分から進んで「私は単なる社会の歯車だ」と考える必要もない。「私」という存在は、世界に一人しかおらず、唯一無二のものであり、尊びや喜びを感じる存在でもある。それ自体に価値がある。ありのままの存在肯定。
社会や世界の一部として存在している以上、他者とのつながりを大切にする。
自分が生きているのは、周囲の支えがあるからこそのことに感謝する。
だからこそ、環境破壊はよくないし、他人を傷つけてはいけない。
でも同時に、自分から進んで「私は単なる社会の歯車だ」と考える必要もないんです。
「私」という存在は、世界に一人しかおらず、唯一無二のもの。
尊びや喜びを感じる存在でもあり、それ自体に価値がある。
これが、ありのままの存在肯定なんです。
ここで非常に重要なのは、東洋哲学が示す「ポジティブ」の意味です。
ネガティブな面は見ないようにしたポジティブ(西洋的)
↓
ネガティブな面にも目を向ける
↓
ネガティブな面も受け入れた超ポジティブ(東洋的)
西洋的な考え方では、ネガティブなものを排除して、ポジティブだけを見ようとします。
「嫌なことは考えない」「明るく前向きに」という発想ですね。
しかし東洋哲学では、ネガティブな面も含めて自分を受け入れることで、より深い肯定に至るんです。
これを本書では「超ポジティブ」と呼んでいます。
失敗も、挫折も、弱さも、すべて含めて「私」なんです。
それを否定するのではなく、受け入れることで、本当の意味での自己肯定に到達できます。
この視点は、現代を生きる私たちにとって、非常に重要な示唆を与えてくれます。
SNSで「いいね」をもらうために自分を飾る必要も、他人と比較して落ち込む必要もありません。
ネガティブな部分も含めて、あなたはあなたとして、すでに価値があるんです。
東洋哲学が教えてくれるのは、条件なく存在していることの価値です。
何かを達成したから価値があるのではなく、存在していること自体が価値なんです。
この考え方は、「数」に振り回される現代社会において、私たちに大きな安心感を与えてくれます。
年収が高くなくても、フォロワーが少なくても、完璧じゃなくても、あなたは十分に価値がある。
東洋哲学は、そのことを2500年以上前から、現代においても科学的にも心理学的にも次々と実証されているものとして、私たちに伝え続けているんです。
ありのままでいるための実践〜3つの「ル」をケアする
では、どうすれば本当の意味で「ありのまま」でいられるのでしょうか。
この本では、具体的な実践方法として「3つのル」をケアすることを提案しています。
「ルール」「トラブル」「ゴール」、これら三つの言葉には共通して「ル」がついています。この三つを見直すことで、自分の生き方をもっと自由で楽しいものにできます
1つ目は「ルール」です。
これは「決められたルール」に従うのではなく、「自分で決めたルール」に従うことの大切さを意味しています。
私たちの生活には、実はたくさんの「決められたルール」が存在しています。
「いい大学に行けば成功」「大企業に就職すれば安泰」「結婚して子どもを持つこと」といった固定観念がそうです。
一つ目は「ルール」です。これは「決められたルール」に従うのではなく、「自分で決めたルール」に従うことの大切さを意味しています。この中には、「いい大学に行けば成功」「大企業に就職すれば安泰」「結婚して子どもを持つこと」といった固定観念があるかもしれません
でも、それは本当にあなたが望んだことでしょうか?
他人が決めたルールに従って生きることは、結局のところ「ありのまま」ではないんです。
自分で決めたルールに従って生きることで、人生はもっと自由で楽しいものになります。
2つ目は「トラブル」です。
トラブルというと、できるだけ避けたいものと思われがちですが、ここで発想を変えてみましょう。
二つ目は「トラブル」です。トラブルというと、できるだけ避けたいものと思われがちですが、ここで発想を変えてみましょう
人生も同じで、失敗や困難があるからこそ、それを乗り越えた時に成長し、達成感を味わえるんです。
トラブルのない人生は、実は退屈で味気ないものかもしれません。
東洋哲学では、ネガティブな面も含めて受け入れることで、より深い肯定に至ります。
トラブルは避けるべきものではなく、成長のための貴重な機会なんです。
そして3つ目が「ゴール」です。
そして三つ目が「ゴール」です。ただの義務として目標を達成するのではなく、「ワクワクするゴール」を設定することが大切です。「やれやれ、やっと終わった」と思うようなゴールではなく、「やった! 次は何をしよう!」と前向きになれるゴールを設定することが、人生を楽しくするポイントなのです
ただの義務として目標を達成するのではなく、「ワクワクするゴール」を設定することが大切なんです。
「やれやれ、やっと終わった」と思うようなゴールではなく、「やった! 次は何をしよう!」と前向きになれるゴールを設定することが、人生を楽しくするポイントなのです。
この3つの「ル」をケアしていくことで、私たちは本当の意味で「ありのまま」でいられるようになります。
それは、条件付きの肯定ではなく、存在そのものの肯定なんです。
年収がいくらでも、フォロワーが何人でも、体重が何キロでも、あなたはあなたとして、すでに価値がある。
この本は、そのことを東洋哲学の10人の哲学者たちの言葉を通して、私たちに思い出させてくれるんです。
私たちは、もう「数」に振り回される必要はありません。
ありのままの自分で、幸せになれる扉は、すでに開かれているんです。
東洋哲学が教えてくれるのは、特別な修行や難しい実践ではありません。
自分で決めたルールで生き、トラブルを成長の機会と捉え、ワクワクするゴールに向かって歩んでいく。
それだけで、私たちは本当の意味で「ありのまま」の自分として、幸せに生きることができるんです。
そもそも哲学的思想とはどのようなものか、については、こちらの1冊「私たちは、そもそも「何を」信じているのか!?『哲学的な何か、あと科学とか』飲茶」もぜひご覧ください。

まとめ
- 「数」に振り回される私たち――ありのままというのは、道具やツールではなく、それがそのまま生き方に繋がる平穏のための思想なのです。
- ありのままの自分で幸せになれる扉――私たちはここに存在しているだけで、完璧じゃなくても、あなたは十分に価値があるのです。
- ありのままでいるための実践〜3つの「ル」をケアする――自分で決めたルールで生き、トラブルを成長の機会と捉え、ワクワクするゴールに向かって歩んでいく、それが何より大切なことです。
