本物の「自信」とはなにか!?『エマソン 自分を信じ抜く100の言葉』中島輝

『エマソン 自分を信じ抜く100の言葉』中島輝の書影と手描きアイキャッチ
  • あなたは自分を信じていると言えますか?
  • 実は、多くの人が「自分を信じる」ことの本当の意味を誤解しているんです。それは単なる自信過剰でもなければ、他者を無視して我を通すことでもありません。
  • なぜなら、真の自己信頼とは、自分という軸を持ちながらも、柔軟性と好奇心を失わず、世界に開かれている状態だからです。
  • 本書は、19世紀アメリカの思想家ラルフ・ワルド・エマソンの言葉を通じて、現代を生きる私たちに「自分を信じ抜く」ことの本質を教えてくれます。
  • 本書を通じて、自己信頼という軸を持ちながら他者と調和し、平凡な日常を真摯に生きることで、自分らしい人生を創造していく道が見えてくるはずです。
中島輝
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中島輝さんは、心理カウンセラー、自己肯定感の専門家として活躍されている方です。自己肯定感に関する著作を数多く発表し、メンタルヘルスの分野で多くの人々を支援してきました。

本書では、ラルフ・ワルド・エマソンという19世紀のアメリカの思想家の言葉を現代に蘇らせ、私たちが自分を信じて生きるための道標を示してくれています。

エマソンは日本ではあまり知られていませんが、近代アメリカで成功を収めた知識人で、彼の思想は今なお多くの人々に影響を与え続けています。中島さんの丁寧な解説により、エマソンの深遠な言葉が私たちの日常に根付く知恵として生まれ変わっています。

自己信頼という「軸」——他者との関わりの前提

エマソンが説く自己信頼の精神は、この言葉に集約されていると思うんです。

自分を信じ抜く覚悟が人生を切り開く

自分にとって真理だと確信できることは、どんな人にとっても真理なのだとエマソンは言います。これは単なる自己中心的な主張ではありません。自らを省みることなく、他人の意見や周りの状況ばかりに意識を向けているようでは、本当の意味で他者と向き合うことは難しいんです。

まず自分にとっての真理を見つけること。それがあってこそ、他者との対話が成り立ちます。

エマソンは自分と向き合うということを徹底的に実践しました。時代遅れの形式に縛られた我々の仕事を続けるか否かは自分で決めるのだ、と彼は語っています。

現代を生きる私たちは、どうしても周囲の評価や「普通」という基準に縛られがちです。SNSを開けば、誰かの成功や充実した日常が目に飛び込んできます。比較の中で、自分の価値を見失ってしまうことも少なくありません。

でも、エマソンの言葉に触れると気づかされるんです。他者との調和や良好な関係性を築く前に、まず自分という軸を持たなければならないのだと。

「周りにどう思われるか分からないから、なるべく自分の意見は言わない」という姿勢では、安定した人生を送れても、本当に自分らしく生きているとは言えないかもしれません。世の中は厳しいのだから、自分の言葉で自分の言動を制限してしまいませんか?

でも、エマソンはこう問いかけます。世の中というものはあなたの意識次第です。たとえば、インターネット上の膨大な情報にすべて目を通す必要があるでしょうか? そんなものは選択ではないと思いませんか? あなたという存在こそが、あなたの世の中なのだと。

この視点は革新的です。世の中が私たちを規定するのではなく、私たちが世の中をどう捉えるかによって、生きる世界そのものが変わっていく。そのためには、まず「自分はこう思う」「自分はこれを大切にしたい」という内なる声に耳を傾ける必要があるんです。

人格を磨くということ——自分に素直に過ごす循環

エマソンは繰り返し「人格を磨く」ことの重要性を説いています。その象徴的な言葉がこれです。

普通の人は「仕事」で買われ、高潔な人は「人物」で買われる

この言葉が示しているのは、スキルや肩書きではなく、その人自身の在り方が問われる時代が来るということです。いや、もうすでに来ているのかもしれません。

では、人格を磨くとはどういうことなのでしょうか?

私が本書を読んで強く感じたのは、それは「自分に素直に過ごす」ということに尽きるのだと思うんです。社会の平均や世間の評判、他人からの期待——そういったものから距離を置き、自分の内側にある声に従って生きること。

ただし、ここで重要なのは「結果的に」独自の行動が生まれるという点です。

最初から「人と違うことをしよう」「独自性を出そう」と意図するのではありません。自分に素直に、自分が本当に大切だと思うことを積み重ねていった結果として、自然と独自の道が見えてくる。そういうプロセスなんです。

この循環を支えるのが自己効力感です。

自己効力感とは、ある状況において「自分はきっとうまくできる」と思える能力のことです。これがポジティブな心理状態を生み出し組み込めるので、良い結果が生まれやすくなります。

でも、自己効力感がないと「どうせ自分にはできない」という自己否定的な思い込みが先行してしまいます。なにか行動に移したとしても成功する確率は低くなってしまうんです。

では、自己効力感を持つためにはどうすればいいのか?

エマソンは教えてくれています。自己効力感を持った人の第一歩は、自分で自分を認めることだと。それが何百万という人に認められるよりもよほど難しいと。

難しいというのは、まず自分や周りの人や物事について「肯定すること」をやめてみてください。そこから自己効力感を育てていく道が始まるんです。身近なものに対して肯定的な視点を持つこと。それが自分自身への肯定にも繋がっていきます。

私自身の視点を加えるなら、人格を磨くということは「自分で自分の仕事の名前を見つけていく」ことなのだと思うんです。

世間ですでに名前のついている職業や役割に自分を当てはめるのではなく、自分が本当にやりたいこと、自分にしかできないことを探求し、それに自分で名前をつけていく。

そういう生き方をしている人は、確かに「人物」として評価されるのではないでしょうか。なぜなら、その人の存在そのものが唯一無二だからです。スキルは誰かに代替されるかもしれませんが、その人自身の在り方、人格は代替不可能なものです。

エマソンの言葉にこうあります。

あなたは常に主導権を持って生きていける

これは単なる楽観論ではありません。自分が「高潔の人間」であればそれが可能だとエマソンは言っています。高潔の人間とは、本来の主導権を失していない人間ということ。つまり、自分自身の中心に軸を持ち、ながら、主体性を持って生きているということです。

ただし、ここで注意が必要です。自分軸を持つことと、意固地になることは全く違います。

自分に固執するとは、自分を信じ抜き、「自分軸」を持つことです。エマソンは「自分を信じ抜いていれば、天職の才能を発揮できる」と語っています。これは自己信頼の肯定です。

でも同時に、自分軸を強固に持ち過ぎてしまうと問題があります。それに陥ると少しでも自分の感覚に合わないと拒絶反応を示したり、結婚生活が長続きしない人は、強過ぎる自分軸に振り回されてしまっているのかもしれません。竹は風を受けて柔らかくなります。雪など、余計なものが積もったら自然に揺れて落とします。柔軟性はあっても、根元が揺らぐことはありません。

自然の代表格と言えば「水」でしょう。流れる水は、行く手に障害があってもそれにぶつかったとしても、留まることなく前へ進み続けていきます。

水のように流れることができれば、倒壊したり物事が予定通りに進まなかったりしても、どこにか前へ進み続けることができます。

つまり、真の自己信頼とは、柔軟性と好奇心を常に持ち合わせていることなんです。自分の軸を持ちながらも、他者の意見に耳を傾け、新しい経験を恐れず、世界に対して開かれている。そういう状態こそが、エマソンの説く自己信頼の本質なのだと思います。

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平凡な一日を真面目に生きる——実験としての日常

エマソンの言葉の中で、私が最も心に残ったのがこれです。

All life is an experiment. すべての人生が「実験」なのだ。
The more experiments you make the better. 実験こそが、自分自身をより良くしてくれる。

人生は実験である。この視点に立つと、失敗も成功も、すべてが貴重なデータになります。うまくいかなかったことも、次の実験のための学びです。完璧を求めて動けなくなるのではなく、まず試してみる。その積み重ねこそが人生を豊かにしていくんです。

最も高尚な精神を持つ人は、謙虚であり、緩慢なのです。その心は極めて平穏で、余裕があり、安定しています

そして、エマソンはこうも語っています。

偉大な人ほど平凡な一日を真面目に過ごす

この言葉は、日常の充実こそが人生の基盤であることを教えてくれます。偉大さとは、何か特別なことを成し遂げることではありません。毎日の平凡な時間を、どれだけ真摯に、丁寧に生きるか。そこに本当の偉大さが宿るのだと思うんです。

例えば、虚栄心の強い人は、社会的地位の高い人達が、「この私」に対してこのようにおっしゃったと言い、その人達の言葉によって、自分の立証を行おうとします。

あるいは、野心がある人は、自分の立派な有名物を人に披露する。また他人からもらった名刺や挨拶状をいつまでも保存しています。

こうした姿勢とは対照的に、エマソンが示すのは内面の充実です。自分の経験を語る時に、才能溢れる友人の話や旅先で見た素晴らしい風景などを語り、自分の人生に彩りを添えようとする。

さらに時間や精神に余裕がある人は、美しい言葉で自分を飾るということさえしない。称賛を求めることはせず、平凡な一日を真面目に生きているのです。

日常を大切にする人ほど、良い環境を自ら作り上げていくことになると思うんです。なぜなら、日々の小さな選択、小さな行動の積み重ねが、私たちの環境を形作っていくからです。

朝起きて何を考えるか。どんな言葉を使うか。誰とどんな会話をするか。何を食べ、どんな本を読み、どう時間を過ごすか。こうした日常の些細な選択一つ一つが、私たちの人生の質を決めていきます。

そしてその選択を導くのが、自己信頼という軸なんです。

世間の評価や他人の期待ではなく、自分の内なる声に従って日々を過ごす。そうすることで、自然と自分らしい環境が整っていく。良い人間関係が築かれ、自分に合った仕事や役割が見つかり、心地よい空間が生まれていきます。

自己効力感を持っている人は、主体性と柔軟性の両方を持っています。

この「主体性と柔軟性の両立」こそが、エマソンの説く自己信頼の到達点なのかもしれません。自分の軸を持ちながら、世界に開かれている。自分を信じながら、他者を尊重する。日常を大切にしながら、人生を実験として楽しむ。

この状態に至るには、まず自分で自分を認めることから始める必要があります。そして身近な人や物事について肯定することを実践していく。

その循環の中で、自己効力感が育ち、独自の行動が生まれ、人格が磨かれていきます。そして結果的に、自分で自分の仕事の名前を見つけることができるようになる。世間の既存の枠組みではなく、自分だけの生き方を創造していけるんです。

エマソンの言葉は19世紀のものですが、その本質は今も色褪せることがありません。むしろ、情報過多で価値観が多様化した現代だからこそ、「自分を信じ抜く」ことの重要性が増しているのかもしれません。

本書を読んで、私は改めて思いました。人生は実験なのだと。完璧を目指す必要はない。ただ、自分に素直に、今日という一日を真摯に生きる。その積み重ねこそが、自分らしい人生を作り上げていくのだと。

エマソンの100の言葉は、そんな生き方へのヒントで溢れています。

次回も、ぜひ本書をレビューしていきながら、真の仕事、つまり自分の役割というのはどのように見つけられていくべきものなのか、その上で、人生はどのように拓けていくのかということについて、深く言葉を探索していきましょう。

ものごとの本質に注目するためにはこちらの1冊「【いま、いま、いま!!ここ、ここ、ここ!!】禅に学ぶ 人生の知恵 澤木興道名言集|澤木興道」も素敵な視点を提供してくれるかもしれません。おすすめです。ぜひお手にとってみてください。

まとめ

  • 自己信頼という「軸」——他者との関わりの前提――よい人生を送っていくための最初の一歩、それは、自分という軸を持たなければならないということを自覚することです。
  • 人格を磨くということ——自分に素直に過ごす循環――人格を磨き、真に自分を信じることができる人は、柔軟性と好奇心を常に持ち合わせて、水のように生きる人です。
  • 平凡な一日を真面目に生きる——実験としての日常――何気ないかもしれないが、自分で選び抜いた1日の循環の繰り返しの中で、自己効力感が育ち、独自の行動が生まれ、人格が磨かれていきます。
中島輝
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