- 習慣をつくりたいのに、なぜいつも三日坊主で終わってしまうのでしょうか?
- 実は、習慣化がうまくいかないのは、あなたの意志が弱いからではありません。
- なぜなら、私たちが同じ失敗を繰り返してしまうのは「怠け者だから」ではなく、ただ「無意識のパターン」に気づいていないだけだからです。
- 本書は、ミニマリストとして丁寧な暮らしを実践するなにおれさんが、自身の日常で培ってきた具体的な習慣を惜しみなく公開した一冊(雑誌)です。
- 本書を通じて、習慣化の本質は「自分を観察すること」にあり、そして小さな実践の積み重ねが「ふつう」の日常を愛おしいものに変えていくことを学びました。
なにおれさんは、ミニマリストとして、シンプルで丁寧な暮らしを実践しながら、その思考と日常をSNSやブログで発信している方です。
会社員として働きながら、必要最小限のもので豊かに生きる方法を模索し続け、その過程で得た気づきや習慣を言語化することに長けています。
特筆すべきは、ミニマリズムを単なる「減らす」思想としてではなく、「ふつうの日常を愛おしむ」ための手段として捉えている点です。
派手な成功や劇的な変化を追い求めるのではなく、地に足のついた日々の習慣を通じて、自分の人生を少しずつ整えていく──そんな姿勢が、多くの読者の共感を呼んでいます。
本書『LIFE 02 “ふつう” を愛おしむための、僕の習慣』は、なにおれさんが実際に日常で実践している習慣を、惜しみなく公開した一冊です。
朝の過ごし方、食事のルーティン、お金との向き合い方、そして1年という時間をどう設計するか──具体的で、すぐに取り入れられる提案が詰まっています。
なにおれさんの著書については、こちら「生活とはアートである!?『僕はアーティストのように生きることにした。』なにおれ」やこちら「時間とお金の調和を!?『生活をデザインする。:自分の人生を生きるための実践的方法』なにおれ」も合わせてご覧ください。


習慣化の失敗を「無意識のパターン」として捉え直す
習慣をつくりたいのに、うまくいかない。
そんな経験は、誰にでもあると思うんです。
でも、本書を読んで気づいたのは、習慣化がうまくいかないのは「意志が弱いから」ではないということなんです。
なにおれさんは、こう書いています。
習慣化における最大の壁は、「意志の弱さ」などではなく、「無意識のパターン」にあります。ですから、それを見抜くためにも、「自分を観察する視点」を持ち続けましょう。
これまで、習慣化に失敗するたびに「自分はダメだ」と思っていたんですが、そうじゃなかったんですよね。
単に、自分の中にある「無意識のパターン」に気づいていなかっただけ。
たとえば、夜に勉強しようと決めても続かないのは、怠け者だからではなくて、「夜は疲れていてエネルギーが残っていない」というパターンがあるだけ。
それなのに、そのパターンを無視して同じ時間に同じことをやろうとするから、うまくいかない。
なにおれさんが提案するのは、とてもシンプルな方法です。
方法はシンプルで、「記録する」「振り返る」。これだけです。毎日できた/できなかったを○×で書くだけでも良いでしょう。できなかった日には、「何があったのか」「なぜできなかったのか」を言語化してみる。
記録して、振り返る。
たったこれだけのことなんですが、これを続けることで「習慣を阻害しているパターン」が少しずつ見えてくるんです。
私も実際に試してみたんですが、驚くほど効果がありました。
朝の運動を習慣にしようとしていたんですが、できない日が続いて。
でも記録をつけて振り返ってみると、「前日の夜に夜更かしした日は、朝起きられない」というパターンが明確に見えてきたんです。
つまり、問題は「朝の意志力」ではなくて、「前日の夜の過ごし方」にあった。
これに気づいてから、夜のスマホ時間を減らすことに意識を向けたら、自然と朝の運動ができるようになりました。
なにおれさんは「自分を知らないまま変えようとするのは、暗闇の中で地図なしに歩くようなもの」と表現していますが、まさにその通りだと思います。
自己観察なしに習慣を変えようとするのは、方向も距離も分からないまま走り出すようなものなんですよね。
習慣化において最も大切なのは、根性でも意志力でもなく、「自分をよく観察すること」。
これが9割です。
自分がどういう時に行動できて、どういう時にできないのか。
何に影響を受けやすくて、何が障害になっているのか。
それを丁寧に観察し、記録し、振り返る。
そうすることで初めて、「自分に合った習慣のつくり方」が見えてくるんだと思います。
同じことを繰り返してしまうのは、怠け者だからじゃない。
ただ、同じ反応パターンを持っているだけ。
だとしたら、そのパターンを書き換えればいいだけの話なんです。
この視点は、習慣化に対する見方を根本から変えてくれました。
失敗は、自分を責める材料ではなく、パターンを発見するための貴重なデータ。
そう捉え直すことで、習慣づくりがずっと楽になると思ったんですね。
「ふつう」を色鮮やかに生きる──具体的習慣の提案
本書の魅力は、抽象的な習慣論にとどまらず、具体的で実践可能な提案が「色鮮やか」に描かれている点にあると思います。
ミニマリストというと、どうしても「削ぎ落とす」「我慢する」といった禁欲的なイメージがつきまといがちです。
でも、なにおれさんの提案する習慣は、むしろ生活を豊かに、彩り豊かにしてくれるものばかりなんです。
たとえば、朝の過ごし方。
多くの人は、朝起きてすぐにスマホをチェックして、SNSやニュースに時間を奪われてしまいます。
でも、朝の時間を少し工夫するだけで、1日全体の質が大きく変わるんです。
なにおれさんは、朝にゆっくりとコーヒーを淹れる時間をつくったり、窓を開けて空気を入れ替えたり、ほんの数分でも自分のための時間を確保することを提案しています。
これは特別なことではなく、誰にでもできる小さな習慣です。
でも、この小さな習慣が、「今日も良い1日になりそうだ」という感覚を生み出してくれる。
朝の余白が、心の余白になるんです。
食事のルーティンについても、同じことが言えます。
平日の食事を決めておく。
これは一見、窮屈に思えるかもしれません。
でも実際には、毎日「何を食べようか」と悩む時間とエネルギーを削減できるだけでなく、食材の無駄も減り、栄養バランスも整いやすくなる。
ルーティン化することで、むしろ自由になれるんですよね。
決めることを減らすことで、本当に大切なことに集中できるようになる。
スティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着ていたのも、同じ理由だと思います。
それから、お金に対する向き合い方も印象的でした。
なにおれさんは、「必要なお金を減らす」ことを提案しています。
これは、単に節約するという話ではなくて、「自分が本当に必要としているものは何か」を見極めるということなんです。
必要なお金が少なければ、それだけ働く時間を減らせるかもしれないし、もっと自由に生きられるかもしれない。
人生のシミュレーション、日常のシミュレーションをしながら暮らす。
これも、なにおれさんならではの視点だと思います。
「もし今の支出を半分にしたら、どんな暮らしができるだろう?」
「もし週4日勤務になったら、何をして過ごすだろう?」
そんなふうに、様々な可能性をシミュレーションしてみることで、自分が本当に求めている暮らしの輪郭が見えてくるんです。
そして、本書で特に心を動かされたのが、クリエイティブな活動への提案です。
たとえば、家具を自分で作る。
これは、単にお金を節約するという話ではなくて、「自分の手でものをつくる喜び」を取り戻すということだと思うんです。
既製品を買うのは簡単だし、便利です。
でも、自分で設計して、材料を選んで、時間をかけてつくり上げたものには、買ったものにはない愛着が生まれます。
それが、日常を愛おしくするんですよね。
毎日その家具を使うたびに、「これは自分がつくったんだ」という小さな誇らしさを感じられる。
好奇心を満たすような活動を日常に取り込むこと。
これは、ミニマリズムとは一見矛盾するように思えるかもしれません。
でも、本当のミニマリズムは、ただものを減らすことではなくて、自分にとって本当に大切なものに集中することなんだと思います。
だからこそ、余白をつくり、その余白の中で創造的な活動に時間を使う。
それが、「ふつう」の日常を色鮮やかにする秘訣なんです。
なにおれさんの提案する習慣は、どれも特別なスキルやお金を必要としません。
- 朝の過ごし方を少し変える。
- 食事のパターンを決める。
- 必要なお金を見直す。
- シミュレーション思考を持つ。
- 手を動かしてものをつくる。
すべて、今日から始められることばかりです。
でも、これらの小さな習慣が積み重なることで、日常が確実に変わっていく。
地味に見える実践が、実は人生を大きく変える力を持っているんだと、本書を読んで実感しました。
時間を「波」として捉える──年間設計という習慣
多くの習慣本は、1日や1週間という短いスパンでの習慣づくりに焦点を当てています。
でも、なにおれさんが提案するのは、もっと大きな時間軸──「1年」という単位での習慣設計なんです。
そして、その捉え方が実にユニークでした。
「一年の周期」を意識することで、通常、年の終わりは「十二月」、年初は「一月」で始まっている。だが自分なりの年間「波」を意識している。
私たちは当たり前のように、1月1日を「年の始まり」、12月31日を「年の終わり」として捉えています。
でも、なにおれさんは違うんです。彼は、自分の生活リズムに合わせて、1月〜2月を「年末」、3月〜4月を「年初」として設定しているんです。
暦というのは、あくまで社会的な約束事に過ぎない。自分の人生を設計するときに、その約束事に縛られる必要はないんですよね。
なにおれさんがこの設定をしている理由も、とても合理的です。
たとえば、「一月〜二月」を「年末」とする。毎年、一月〜二月の時期に多く発生する掃除の波。毎年、年末にするはずの大掃除。だが、年末は忙しすぎてまったくできない。それで年をまたぐことが多い。だからこそ、「一月〜二月」を年末とする。
12月は仕事も忙しいし、年末年始の予定も詰まっている。
そんな中で大掃除や1年の振り返りをしようとしても、結局できずに終わってしまう。
だったら、実際に自分が「締めくくり」の作業ができる時期を「年末」として設定すればいい。
この柔軟な発想が、本当に素晴らしいと思います。
私も実際に、この考え方を取り入れてみました。
これまでは、1月に「今年の目標」を立てていたんですが、正月休みが終わるとすぐに日常に飲み込まれて、結局何も進まないまま春が来ていました。
でも、3月を「スタートの月」として捉え直してみたら、驚くほどスムーズに動き出るというのです。
年度が切り替わる時期だから、会社でも新しいプロジェクトが始まりやすいし、気候も暖かくなってきて、心理的にも前向きになれる。
1月〜2月は、むしろ前年の振り返りと整理に充てる。掃除をしたり、不要なものを手放したり、「終わらせること」に集中する。
そして3月から、新しいことを始める。このリズムを意識するようになってから、1年全体が本当に捉えやすくなります。
なにおれさんは、この年間の波を「かれこれ5年以上続けている」そうです。
そして、その結果として「3月〜4月のスタートが非常に軽やかになった」と書いています。
年末の感覚として、一月〜二月に「締め」をする。この二ヶ月は、「前年の総括」と「後片付け」をする時期として位置づける。すると「三月」に自然とエンジンがかかる。
「締め」と「スタート」を明確に分離すること。
これが、年間を通して自分のリズムを整える鍵なんだと思います。
私たちは、どうしても「年が変わる」という外的なタイミングに引っ張られがちです。
でも、本当に大切なのは、自分の内的なリズムに従うこと。
自分が実際に動ける時期、集中できる時期、休むべき時期を見極めて、それに合わせて年間を設計する。
それが「波として時間を捉える」ということなんだと思います。
本書では、具体的なチェックリストも提案されています。
10月にやることチェックリスト □ 今年やったこと、できたこと、できなかったことを紙にリストアップする □ 来年やりたいことを一気に書き出し、それをもとに必要な準備を洗い出す □ 来年のことを考える11月を目標にして、次の一年の土台をつくりはじめ準備する
10月から翌年の準備を始める。
これも、一般的な年間計画とは違うタイミングです。
でも、このくらい早めに動き出すことで、年末の慌ただしさに飲み込まれることなく、じっくりと来年の構想を練ることができる。
日常の小さな習慣と、年間という大きな時間軸。
このミクロとマクロをつなぐ視点が、なにおれさんの習慣論の真骨頂だと思います。
毎日の朝のコーヒーも、食事のルーティンも、すべては年間という大きな流れの中に位置づけられる。
そして、年間の設計があるからこそ、日々の習慣に意味が生まれる。
時間を「波」として捉えること。
それは、自然のリズムに寄り添いながら、自分のペースで生きるということなのかもしれません。
春には新しいことを始め、夏には成長させ、秋には収穫し、冬には休む。
そんな当たり前のサイクルを、現代の忙しい暮らしの中でも大切にする。
それが、「ふつう」を愛おしむということなんだと思います。
習慣は、未来や生活という「結果」に大きく影響を与えます。
だからこそ、自分をよく観察し、具体的な実践を積み重ね、そして時間を波として捉えながら、長い目で自分の人生を設計していく。
本書が教えてくれたのは、そんな地に足のついた、でも確かに人生を変えていく習慣のつくり方でした。
まとめ
- 習慣化の失敗を「無意識のパターン」として捉え直す――記録して、振り返ることで、何が習慣化のためのキーになるのかを、客観的に把握しましょう。
- 「ふつう」を色鮮やかに生きる──具体的習慣の提案――日常を愛おしくするような、工夫や活動を織り交ぜながら、丁寧に1日の計画と実行をしていくことも検討してみましょう。
- 時間を「波」として捉える──年間設計という習慣――地味に見える実践が、実は人生を大きく変える力を持っているのです。
