習慣は、“技術”である!!『科学的に証明された すごい習慣大百科』堀田秀吾

習慣は、“技術”である!!『科学的に証明された すごい習慣大百科』堀田秀吾の書影と手描きアイキャッチ
  • 変化の激しい現代社会で、あなたは自分の成長に確信を持てているでしょうか?
  • 実は、多くの人が「もっと良い習慣を身につけたい」と思いながらも、三日坊主で終わってしまったり、意志力に頼った方法で挫折を繰り返したりしています。
  • なぜなら、習慣化には科学的な原理とコツがあるにも関わらず、多くの人がそれを知らずに、根性論や精神論に頼ってしまうからです。
  • 本書は、ハーバード、スタンフォード、オックスフォードなど世界の一流大学で実証された112の習慣化テクニックを、誰でも実践できる形で紹介した科学的習慣術の決定版です。
  • 本書を通じて、才能に頼らず、コンフォートゾーンを少しずつ拡張しながら、持続可能な成長を実現する方法を学ぶことができるでしょう。

堀田秀吾さんは言語学者(法言語学、心理言語学)で、明治大学法学部教授です。1999年にシカゴ大学言語学部博士課程を修了し、言語学博士(Ph.D. in Linguistics)を取得されました。

その後、2005年にはヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程を修了するなど、言語学と法学の両分野で深い知識を積み重ねてこられました。

堀田さんの研究の特徴は、司法分野におけるコミュニケーションを、社会言語学、心理言語学、脳科学などの様々な学術分野の知見を融合して多角的に研究していることです。法廷での言葉の使い方が判決にどう影響するか、人の心理や行動に言語がどのような作用を与えるかといった、実社会に直結する研究を国内外で展開されています。

研究活動だけでなく、企業の顧問や芸能事務所の監修、ワイドショーのレギュラー・コメンテーターなど、幅広い分野で活躍されているのも特徴的です。『科学的に元気になる方法集めました』『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』『図解ストレス解消大全』など、学術研究を一般の方にも分かりやすく伝える著書を多数執筆されています。学問と実生活の橋渡しをすることで、より多くの人が科学的知見を日常に活かせるようになってほしいという想いが込められています。

脳科学が明かす変化への適応メカニズム

変化の激しい現代において、なぜ習慣化がこれほど重要なのでしょうか。答えは私たちの脳の仕組みにあります。

「気合いや精神論は、一切ナシ。代わりに、世界中の心理学、行動経済学、脳科学などの研究をベースに、『もっとラクして、もっと自然に、習慣化できる方法』をご紹介していきます」

この言葉が示すように、習慣化は根性論ではなく、科学的な技術なんです。

そして私が特に重要だと感じるのは、(ここの部分は私の解釈なのですが)変化に対応するためのコンフォートゾーンの拡張という視点です。

世の中の変化は確かに激しく、それに適応していくことが求められています。しかし、人間が一気に大きな変化を受け入れることは、心理的にも物理的にも困難です。なぜなら、急激な変化はコンフォートゾーンを大きくはみ出してしまい、ストレスや不安を引き起こすからです。

ここで重要になるのが、習慣化による段階的なアプローチなのだと思うのです。

小さな変化を日々の習慣として取り入れることで、コンフォートゾーンを少しずつ拡張していくことができます。これは、筋肉を鍛える時に少しずつ負荷を上げていくのと同じ原理です。

「完璧じゃなくていい。できる日だけ、できる範囲で。その一歩が、思った以上に遠くまであなたを連れてくれるはずです」

この考え方こそが、持続可能な成長の鍵だと思います。

大きな目標を立てて一気に達成しようとするのではなく、小さな習慣の積み重ねによって、気がついたら大きな変化を遂げている。

これが現代を生きる私たちにとって、最も現実的で効果的なアプローチなんです。

科学が教える習慣化の実践技術

習慣化は才能ではなく技術です。そして、その技術には科学的な根拠があります。

本書で紹介されている具体的な手法を見ていきましょう。

まず動くこと – 「側坐核」の活用

最初の重要な技術は「体が先、脳が後」の原理です。

「脳は一度その行動をはじめると、のめり込んでしまうという性質をもちます。その正体こそ『側坐核』と呼ばれる脳の部位です」

側坐核は、行動を始めることで活性化し、やる気のエンジンのような働きをします。つまり、やる気が出るのを待つのではなく、まず少しでも行動することで、脳が自然とその活動にのめり込んでいく仕組みを利用するんです。

これは私自身も実感することがあります。例えば、部屋の掃除をしようと思っても最初は億劫ですが、一箇所だけでも手をつけ始めると、気がついたら他の場所も綺麗にしたくなっている。

これがまさに側坐核の働きなんですね。

ハビット・スタッキングの効果

2つ目の技術は、既存の習慣に新しい習慣をくっつける「ハビット・スタッキング」です。

「習慣化とは、『意志の強さ』や『特別な才能』がある人だけの特権でもありません。あるいは、精神力や自己管理能力の問題でもないのです。むしろ、原理とコツを理解して行うほど、スムーズに身につけることができます」

人間の行動の45パーセントが習慣化されたものだという研究結果があります。これは、私たちが思っている以上に、多くの行動が自動化されているということです。

この既存の自動化された行動に、新しい習慣を組み合わせることで、意志力に頼らずに新しい行動を定着させることができます。

コーヒーを飲みながら英単語を覚える、歯磨きをしながらスクワットをする。

このように、すでに定着している行動とセットにすることで、新しい習慣のハードルを下げることができるんです。

環境をナッジとして活用

3つ目の技術は、環境を味方につけることです。意志力に頼るのではなく、「自然とやってしまう仕組み」を作るのがポイントです。

例えば、読書の習慣をつけたければ、ベッドサイドに本を置いておく。運動の習慣をつけたければ、ジムウェアを見えるところに置いておく。このように、環境を整えることで、習慣化したい行動の障壁を下げ、実行しやすくするんです。

ここで興味深いのが、脳の「デフォルト・モード・ネットワーク」の働きです。

「ボーッとすると脳が均一に稼働したす これまでボーッとしていることは、脳が運転停止をしてなんでいる状態だと認識されていました が、つねに、脳は『デフォルト・モード・ネットワーク』神経ネットワークが一定の活動レベルを持続している状態であることが明らかになりました」

つまり、ボーッとしている時でも脳は働いており、この状態が創造性や問題解決に重要な役割を果たしているんです。

環境を整えることで、この無意識の状態でも良い習慣が実行されやすくなるというのです。

持続可能な成長を生む習慣化サイクル

習慣化の最終的な目標は、持続可能な成長です。
そのためには、小さな成功体験の積み重ねによって自尊心を育てることが重要です。

ツァイガルニク効果の活用

興味深い心理学の知見があります。

「ロシア社会主義共和国保健省精神医学研究所のブリューマ・ツァイガルニクによって提唱された、『未完の出来事のほうが記憶に残りやすい』という『ツァイガルニク効果』と呼ばれる現象があります」

これは、完了していないタスクの方が、完了したタスクよりも記憶に残りやすいという現象です。

この効果を習慣化に活用することで、継続へのモチベーションを維持することができます。

例えば、読書の習慣をつける時に、キリの良いところで止めるのではなく、あえて中途半端なところで止める。そうすることで、続きが気になって翌日も自然と読書を続けたくなるんです。

自己効力感の構築

そして最も重要なのは、小さな「できた!」という体験の積み重ねです。

「目標設定は見通したほうがパフォーマンスが下がらない」 「目標設定に悩んだら できる人の目標を『コピペせよ』」

興味深いことに、あまりに明確で高い目標を設定すると、かえってパフォーマンスが下がることがあります。
これは、目標が高すぎると、達成への道筋が見えず、不安やプレッシャーが増すからです。

代わりに効果的なのは、既に成功している人の目標や手法を参考にすることです。

そして、その中から自分ができそうな小さな部分を取り入れていく。この過程で重要なのが、自分への問いかけの仕方です。

「これだけポジティブなことを口にする、あるいは『やろう!』と意気込んでも、自分で決める心の自由があるほうが、人は伸びやかに活動できるということも分かっています。『やろう!』ではなく、『◯◯できるか?』と問いかけたほうが効果があり、効果が表れる」

「今日は運動するぞ!」ではなく、「今日は10分だけでも運動できるかな?」と自分に問いかける。この小さな違いが、継続的な行動につながるんです。

このように、科学的な知見を活用しながら、小さな成功体験を積み重ねていくことで、自然と自尊心が育まれます。そして、この自尊心こそが、さらなる挑戦への原動力となり、コンフォートゾーンを拡張していく力となるのです。

習慣化は単なるテクニックではありません。それは、変化の時代を生き抜くための、科学的に裏付けられた成長戦略なんです。才能や根性に頼らず、誰もが実践できる技術として習慣化を身につけることで、私たちは確実に、そして持続可能に成長していくことができるのです。

習慣化のためには、そもそも自分が主体的になれる時間を取り戻すことにもヒントは多くあると思います。こちらの1冊「時間をデザインせよ!?『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』ジェイク・ナップ他」もぜひご覧ください。

まとめ

  • 脳科学が明かす変化への適応メカニズム――習慣化は根性論ではなく、科学的な技術なんです。
  • 科学が教える習慣化の実践技術――まずやってみる、そして、すでに習慣化されている行動とセットにしてみる、環境をナッジとして取り入れて自分を操作するように仕向けるなど、すでに科学的に証明されている手法を取り入れてみましょう。
  • 持続可能な成長を生む習慣化サイクル――自分自身への問いかけを活用しながら、少しずつコンフォートゾーンを拡張していく力に変えていきましょう。
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