いつかではなく、今自分と向き合う意味とは!?『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』八木仁平

世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方
  • どうしたら、より豊かな人生を目指すことができるでしょうか。
  • 実は、「やりたいこと」を軸に、仕事やライフスタイルを再構成することかも。
  • なぜなら、そうすると学びの好循環に身を起きやすくなるからです。
  • 本書は、「やりたいこと」の見つけ方に関する1冊です。
  • 本書を通じて、いかに手応えのある人生を目指していくのかヒントを得ます。

自己理解から始めよう!?

八木仁平(やぎ・じんぺい)さんは、自己理解の専門家として知られる起業家・著述家です。早稲田大学在学中にブログ「やぎろぐ」を開設し、月間100万PVを記録する人気メディアに育て上げたのを皮切りに、自らの「好き」「得意」「大事にしたい価値観」を軸にキャリアを構築してきました。

大学卒業後は就職せずに独立し、個人が自分自身を深く理解し、納得感のある人生を選び取っていけるよう支援する「自己理解プログラム」を開発。YouTubeやSNSでも積極的に発信を行い、若年層を中心に大きな支持を集めています。

八木さんの特徴は、スピリチュアルや精神論に依存せず、「自己理解」を極めて論理的かつ構造的に体系化している点です。その姿勢は、本書にも一貫して表れており、「やりたいことが見つからない」という悩みに対して、明確な地図とコンパスを提供してくれます。

やりたいことを見つけることができれば、好循環のモデルに自分を置くことができると八木さんは強調します。

  • 自分の「やりたいこと」を学び成長する。
  • 学んだことを人に提供してお金と感謝をセットで受け取る。
  • そのお金を、また学びに投資する。
  • そして、成長したスキルでより高い報酬を受け取る・・・

このような“内発的な循環”に身を置くことができれば、自分をすり減らすことなく、他者とも良い関係性を築きながら成長していけるのです。

やりたいこと探しには「メソッド」があり、誰でも見つけることができる。

八木さんは、これを「自己理解メソッド」と呼びます。

自己理解を進める上で、前提となる重要な考え方があります。ちょっと立ち止まって、本当に「やりたいこと」で生きていけるのかについても考えてみましょう。

実際に「やりたいこと」の解像度をあげていくと、その根源には、自分自身の心が影響していることを知るでしょう。自分がもともと持っている素質や、どうしてもこだわってしまう何らかに、実は「やりたいこと」の対象は関わってくるのです。

そしてここも重要な論点なのですが、「やりたいこと」を“実現する方法”が社会にあるという理解をすることです。

「やりたいこと」というのは、自分の中にあって、それを実現する方法が社会に内在する(あるいは、している)可能性があるということ、この2つの区分をしっかりと自分で理解して、自己理解を進めていく必要があります。

つまり、「やりたいこと」は自分の内側と社会との接点に存在しています。

多くの人が陥りがちなのは、「やりたいことがわからない」という悩みを、自分の中にだけ閉じ込めてしまったり、逆に社会の期待や流行に自分を当てはめようとしてしまうことです。

しかし、八木さんが提唱するのは、そのどちらかに偏るのではなく、自分の“内なる構造”を理解しながら、社会にある“実現可能な形”に接続するという、両者をつなぐアプローチです。

自己理解とは、単なる自己分析ではありません。
それは、自分の好きなこと・得意なこと・大事にしたいことを明確にしながら、社会の中で実現可能な「やりたいことのかたち」を探っていく、戦略的なプロセスなのです。

では、具体的にどうやってその「やりたいことのかたち」を見つけていけばいいのでしょうか?

やりたいこととは!?

自分自身のこれまでの活動や、経歴、あるいは生い立ちを振り返って、自分がどうしてもこだわってしまったことや、感情を動かされたことを見つけにいくことをしましょう。

あなたが今「やりたいこと」が分からず迷走しているとしたら、それは自分と向き合うのをずっと先延ばしにしてきたからです。

好きなことを探しにいくイメージでOKです。次の5つの質問に答えることもヒントとなります。

1)可能性が今お金を払ってでも勉強したいことはありますか?
2)本棚にはどんなジャンルの本が眠っていますか?
3)これに出会えて「良かった!」「救われた!」と思える分野・ジャンル・ものはありますか?
4)可能性がこれまで生きてきた中で「お礼を言われた仕事」は、何ですか?
5)これまでの人生で世の中に対する怒りを感じたことは、何ですか?

これらの質問は、まさに“自己理解の扉”を開く鍵です。

重要なのは、「正解を出す」ことではなく、自分の内側で繰り返し湧き上がってくる感情や関心に、素直に目を向けてみること。ときには、過去の痛みや怒りの中にこそ、自分が大切にしている価値観が潜んでいる場合もあります。

たとえば――

  • 「あのときの言葉に傷ついた…」という記憶は、裏を返せば“その価値観を大切にしていた証”。
  • 「何度も同じテーマの本を買ってしまう」なら、それはまだ言葉にならない“好奇心の根っこ”。
  • 「ありがとう」が嬉しかった経験は、自分の“得意”が他者の役に立った瞬間かもしれません。

こうした“過去の感情”を掘り起こす作業は、自分という素材を知る「発掘作業」と言えるでしょう。そしてこの作業は、次の3つの軸――好きなこと、得意なこと、大事なことを見つけるための、確かな入り口となってくれます。

八木仁平さんが提唱する「やりたいことを見つける3つの軸」は以下のとおりです。

  • 好きなこと(WANT)
  • 得意なこと(CAN)
  • 大事なこと(MUST)

3つの要素に丁寧に触れてみよう?

一見すると、ありふれた自己分析のフレームにも思えますが、本書の特徴は、それぞれを人的資本・社会資本・経済資本と接続する“実装可能な構造”として連鎖して見つめていける点にあります。

1. 好きなこと(WANT)=人的資本の源泉

「好き」という感情は、もっとも原始的でありながらも、継続性を支えるエネルギーです。
なぜなら、人は“好き”だからこそ学びを深め、勝手に時間を注ぎ込むことができるからです。

この「好き」が、人的資本(知識、スキル、経験、価値観)を内発的に育てる原動力になります。
たとえば、誰にも頼まれていないのに歴史書を読み漁る、動画編集を毎晩やってしまう、友人との対話から哲学にハマる――そうした“偏愛”が、やがて他者にない深さを持つ武器になっていきます。

つまり、「好き」は自己投資の継続性を支える鍵なのです。

2. 得意なこと(CAN)=社会資本の架け橋

一方で「得意」は、他者との関係性を通じて発見されることが多いものです。
「ありがとう」と言われた経験、頼られる場面、無意識に繰り返している行動の中に、自分の“できること”があります。

これはまさに社会資本――すなわち、信頼、ネットワーク、相互作用の中で蓄積される価値です。

「得意なこと」は、他者との関係の中で気づき、他者に提供することで磨かれていくもの。
そして、他者に貢献できるという実感が、「自己効力感」や「存在意義」を育てる栄養になります。

つまり、「得意」は人とのつながりの中で可視化される自己価値であり、やりたいことを“社会の中で持続可能にする”ための基盤になるのです。

3. 大事なこと(MUST)=経済資本と倫理軸の統合

「大事にしたいこと」は、価値観や人生観といった、もっとも深い“人生のコンパス”です。
これは、単なる興味やスキルではなく、「なぜそれをやるのか」という内面的な動機づけにつながります。

この軸は、経済資本(お金、報酬)とどう向き合うかという問題にもつながってきます。

たとえば、「家族との時間を大事にしたい」「教育格差をなくしたい」「本当にいいものを届けたい」といった価値観があると、単に儲かる仕事では満足できなくなります。
逆に言えば、自分が信じる価値を市場の中で届けていくことで、金銭的報酬と精神的報酬の両立が可能になるのです。

つまり、「大事」は人生の羅針盤であり、やりたいことをブレさせない“軸”となります。

三軸が重なる場所こそ、やりたいことの“学びのループ”の起点に

  • 「好き」があれば、学びが楽しく続く(人的資本が育つ)
  • 「得意」があれば、他者に提供できる(社会資本が育つ)
  • 「大事」があれば、仕事に意味と意志が宿る(経済資本と統合される)

そしてこの3つが重なった場所でこそ、人は「自己→他者→社会」へと価値を循環させていくことができるのです。

この構造があるからこそ、やりたいことは“見つけて終わり”ではなく、“磨きながら、育てていける”ものとなる
つまり、人生をかけて取り組むべきテーマは、論理的にも構造的にも“自分らしい好循環の中に宿る”のです。

自己理解であなたがやることはたった3つだけ

繰り返しになりますが、以下の3つについて、自分自身と向き合ってみる時間を作ってみることが何より大切なのです。

1.大事なこと(価値観)を見つけること。
2.得意なこと(才能)を見つけること。
3.好きなこと(情熱)を見つけること。

価値観については、こちらの1冊「人生を誰かにあけわたさない本当の“生き方”とは!?『世界観の創り方』長倉顕太」もとても素敵な刺激を提供してくれるでしょう。おすすめです。

まとめ

  • 自己理解から始めよう!?――自分と向き合ってみること、理解してあげることをしてみましょう。
  • やりたいこととは!?――それは何かに突き動かされていく原動力です。
  • 3つの要素に丁寧に触れてみよう?――やることは3つだけでよいのです。
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