運とは体質である!?『偶然からモノを見つけ出す能力――「セレンディピティ」の活かし方』澤泉重一

偶然からモノを見つけ出す能力――「セレンディピティ」の活かし方
  • どうしたら幸運を掴み取ることができるでしょうか。
  • 実は、幸運を待つのではなく、自ら解釈して積極的に作り出していく発想が重要かもしれません。
  • なぜなら、それがセレンディピティとなるからです。
  • 本書は、セレンディピティの作り方を知る1冊です。
  • 本書を通じて、運を味方につけることのできる体質のあり方を知ります。

偶然の中に意味を見出せ!?

偶然、思いがけず何かを発見した経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。

しかし、その偶然をただの“まぐれ”で終わらせてしまうか、次につながる意味ある発見にできるか――そこには、大きな差があります。

本書『偶然からモノを見つけ出す能力――「セレンディピティ」の活かし方』(澤泉重一 著)は、そんな「偶然をチャンスに変える力」を体系的に掘り下げる一冊です。

著者の澤泉重一(さわいずみ・じゅういち)さんは、行動科学や創造性開発の研究者であり、多くの企業研修でも実践的なメソッドを提供してきた人物。セレンディピティを単なる「運がいい出来事」としてではなく、“再現性ある力”として捉えている点が、本書のユニークな切り口です。

本書では、セレンディピティを「準備された心が、偶然に反応する能力」と定義しています。

「セレンディピティ」では、“偶然”と“察知力”の2つを要素にしている。

つまり、ただボーッとしていても幸運は降ってこない。
逆に、日々の観察力や思考の柔軟性、問いを持つ姿勢を育むことで、「偶然の中にある意味」を発見できるようになるのです。

とりわけ印象的だったのは、以下のような構造です。

  • 入力(インプット):知識・体験・出会いの蓄積
  • 接点(トリガー):予期せぬ出来事・偶然の出会い
  • 転換(リフレーミング):意味づけ・仮説化・価値の発見

このように、セレンディピティとは、「出会い×意味づけ」の掛け算であり、そこには“気づく力”と“解釈する力”が求められることがわかります。

セレンディピティは、まさに「偶然」と思われるものを活用する心構えによってもたらされます。

出会いと意味付けの相乗効果で、自分自身に対してものごとを積極的に引き寄せて、活用しようという思いをみなぎらせることができます。

土台を大切に!?

上手にものごとを解釈するには、基礎知識や判断資料を事前に自らの中にインストールしていることが大事です。

なぜなら、前提条件や知識の土台がなければ、ものごとを積極的に理解してみるスタンスを持つことが難しくなるからです。

セレンディピティを発揮させるには、広い範囲で活動するインター・ディシプリナリティ(学際的)な要素があることが望ましい。

自分を特定の分野や組織の中にとどめておくのではなく、広い範囲で行動できるように、常に越境できるようなマインドセットと行動力を高めておくことが何より幸運を引き寄せていくためには欠かせないのです。

越境についてはこちらの1冊「越境せよ!?『新時代を生き抜く越境思考 ~組織、肩書、場所、時間から自由になって成長する』沢渡あまね」もぜひご覧ください。

“偶然”のちからに、OPENになっていることで、それに触れた人の前提や従来の常識を覆してしまう作用を得ることができます。

これは計画的に行おうとしてもできることではありません。計画というのは、常識によって成り立っているからです。だからといって、計画がなくても良いというわけではなく、人の行動を誘発したり、ものごとを積極的に考えたりするには、何らかの計画(ビジョン)が必要なのも事実です。

計画をいったんは引いてみるが、それを絶えず見直して、行動とともに、再解釈をしていく柔軟な発想と、ものごとに対して発想や心構えが開かれた状態を作ることが重要になるのです。

多くの場合において、偶然よりも、それでも常識が正しいことがあります。むしろそれが大半であると言ってもいい。

だからといって、偶然をないがしろにしてしまうと、セレンディピティを味方につけることができなくなります。

どこから来るかわからないセレンディピティに対して受け入れる体制をいかにつくることができるのか、考えてみることが欠かせないのです。

感情にアテンションを!?

偶然は楽しみをもたらします。意外性によって、時に人の心を動かし、時に社会を発展的に変えていくのです。

セレンディピティの魅力は、「想定外の発見」にあります。しかし、それは単なる偶発的なラッキーではなく、「準備された偶然」だと言えます。

たとえば――

  • 意図して進んだ目的とは異なるところにたどり着いた
     → 想定外の発見が、むしろ目的以上の価値を生む。
     
  • 学識・見識・集中力・経験などのレベルが高い
     → 偶然を偶然のままにしない、意味を読み取る“器”がある。
     
  • 途中で見捨てられても不思議でない状況を通過している
     → 諦めずに継続するからこそ、偶然と出会える。
     
  • 異なった分野の人のアドバイスを有効に活かしている
     → 視点の越境が、新しい「つながり」を生み出す。

こうした条件が重なったとき、私たちは思いもよらぬ発見に心を躍らせ、
「なぜ今このタイミングでこれに出会ったのだろう?」と、意味を見出したくなるのです。

この視点を踏まえると、セレンディピティは“発見のスリル”であると同時に、
“自己や目的が柔軟に更新されていくプロセスそのもの”でもあると捉えられますね。

どうしたら、セレンディピティをもっと日常の中で見つける工夫ができるでしょうか!?

実は、「あれ!?」「おや!?」と思想が連携しそうな、何か引っかかりのあることをとにかく記録していくこともポイントです。

そのようなものごとや事象は、常にメモを取り、その後に思い出せるように工夫しておくのです。

そして、思いもよらぬ因果関係を明らかにすることになれば、これは発見であり、これを応用することから創造が生まれる。

私たちが出会うものごとは一日に膨大な数があります。その中の多くは、平凡で退屈な常識内の事かもしれませんが、自分の感性にふれることを蓄積しておけば、それは独自の視点による点と点をつなぐ活動を作り出していくヒントになります。

心が動いた瞬間をつぶさに観察をすること。

それが、点を集め、つなぐ活動へと進むセレンディピティへと向かうことであるのです。

まとめ

  • 偶然の中に意味を見出せ!?――偶然を流さずに、意味として蓄積すると、運として形になります。
  • 土台を大切に!?――偶然を活かすには、知識やものごと理解の構造を自らの中に育てておくのがよいです。
  • 感情にアテンションを!?――心が動いた瞬間を溜め込んでいきましょう。
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