- どうしたら、21世紀においてよりよい人生を歩むことができるでしょうか。
- 実は、自分自身の意味を考えることが大切かもしれません。
- なぜなら、それが、自信を持って、他者とともに歩むことにつながっていくから。
- 本書は、これからの時代の生き方について考える1冊です。
- 本書を通じて、「意味のある」存在について考え、最終的に「何者かになる」視点を得ます。

仕事はギブでできている?
会社で仕事にするにせよ、自分で仕事を作るにせよ、独立して仕事をいただくにせよ、大切なのは、「誰かがあなたに仕事を一緒にしても良い」と思えるような「意味」を作り出し、そしてそれを感じていただくということです。
たくさんの人の「意味のある」存在となり、最終的に人は「何者かになる」のだと、僕は思っています。
そう語るのは、尾原和啓(おばらかぶひろ)さん。
日本のIT評論家・著述家であり、戦略アドバイザーとしても幅広く活躍している人物です。戦略的思考と現場感覚を併せ持ち、企業・自治体・個人問わず「テクノロジー×人間」の関係性を問い直す視点で語るのが特徴です。SNSでの発信も積極的で、読者との対話を大切にしています。
特に、これからの時代背景を受けて、どのように人生観や仕事観をアップデートしていけばよいかを多くの著書によって、継続的に情報発信されています。
私たちの働き方を考える時、会社における仕事を前提とするのではなく、大切なのは、仕事についてプリミティブに、根源的に考えてみるということです。
仕事の原点を見つめていくと「ありがとう」といかに言っていただくのか?ということに思い当たります。私たち一人ひとりがそうした存在であるにも関わらず、会社や組織は、わたしたちに比較的安定的に仕事を提供してくれる反面、「ありがとう」と直接言い合える関係性を少しずつ削ってきてしまったのかもしれません。
でも、これからは、どこにいても、誰とでも働ける時代、一人ひとりがもっともっと直接的につながりながら、働くことができる時代なので、もう一度、直接的に「ありがとう」を言い合えるような関係性の中で、仕事を行っていくことについて、知り、感じることが欠かせないでしょう。
いくつかのポイントをおさえてみるのがよいです。
- 自分が誰かから「ありがとう」と言ってもらえるようなGIVEを繰り返すこと。
- ギブを繰り返す事によって、特定の誰かからの「意味ある存在」になるということ。
- 特定の誰かにとっての「意味ある存在」になることを続けていくこと。
これが仕事とは何か?を根源的に見つめることにつながります。
あなたの「意味」が大事!?
会社がベースにあるのではなく、個人が主体的に動く時代になりつつあります。
その背景には、企業の寿命が、人間の寿命よりももっと短くなることも関係しています。
これまでのように会社組織が個人の一生を保証して、終身雇用でずっと雇ってあげられるような構図を取りづらく、個人は、もっと自分で仕事を通じて社会と直接的な関係性を築いていくことが、大切に成ってきているのです。
そこで、AIが社会浸透していることもとても気になります。
AIは、たしかに便利で、優秀で、疲れ知らずです。
しかし、万能か、というとまだまだそんなことはありません。AIが導き出す回答を人間が把握して、状況に応じて使い分けや論点の強弱をつけて上げる必要もあるし、その上、何よりAIには意志がないので、意志ある人間がAIのポジショニングを絶えず決めてあげることをしなければ、仕事において実用することはできません。
また、AIに対して抱く感情と、人間同士で抱く感情は全く異なるものです。
やはりAIがいくら浸透して、いくら便利だとしても、生命ある人間は、当然特別な存在です。
- あなたが好きだから
- あなたにしかできないから
- 私のことをよく知っているあなたなら信用できるから
- だから、一緒に仕事がしたい
そう思ってもらえるような、自分自身にいかにいられるか?を真剣に考えてみましょう。
つまり、これからの時代における“働き方”で、大事なのは、“あなたは誰にとって意味のある存在ですか?”という問いであり、その答えを持てる存在になるということです。
大事なのは、何より、「実践」です。
実践の戦いの中で、生き残っている、つまり実践のテストの中で勝ち抜いて実力が証明されていることを「バトル・テスティッド(Battle Tested)」といいます。
バトル・テスティッドをたくさん蓄えている人ほど、多くの方から、信頼を得ることが可能になります。その上、自分自身に対する信頼、つまり自信をおぼえることも可能になるので、仕事に向かっていくのがより、楽しく、ワクワクしたものになることも間違いないでしょう。
こうした、バトル・テスティッドな環境を作っていくためには、何より、実践の中で自分を磨いていくことより他にありません。
そうして冒頭のギブという論点に戻るのですが、まずはとにかく相手のためを思って、自分にできるギブを見つけて、ひたすらに積み重ねながら、実践を積んでいくということを忘れてはならないのだと思います。
その結果が、肩書、つまり「**大企業の部長」とか「◯◯商社の役員」とか、そういうことで判断されない、これからの時代の中でよりよい関係性を“直接”獲得できる人材に向かっていける底力につながっていきます。

自分自身のミッションを感じましょう?
つながる先についても、重要な論点があります。
それは、身近な人同士でつるむことだけではなく、なるべく、社外や遠くの人とのつながりも大切にするということです。いくつかのポイントがあります。
1.価値観の相対化ができるようになるから。
2.遠く離れているからこそサポートできることが増えるから。
価値観の相対化とは、自分自身のものごとの固有の見方を知るということです。それは絶えず、さまざまなものごとの見方を知り、そして、当たり前を疑いながら、ものごとを前に進めていく力になります。
変化がたくさん訪れる時代において、自分の考えやいわゆる常識、当たり前な考え方に固執しないということは、とても重要な能力になります。
それがあれば、柔軟に変化の波を捉えて、乗りこなして、自分自身や周囲のチームを前に進めることになります。
だからこそ、近くにいる似た価値観の人だけではなく、遠くにあり価値観が異なるが、一緒に対話ができるような人材とともにあることが、自分自身の考えに気づくヒントを絶えず提供してくれます。
また、そうして遠くで日頃から働いている人同士は、持っているスキルや経験が異なることも多々あります。
すると互いが持ち寄れるものが全く異なるので、新しいものごとを作ったり、挑戦するための実行力を高めることにもなるでしょう。
だから、近くの存在も大切なのですが、遠くの人とつながりを作りながら、「実践」の経験を蓄積していくということも欠かせないのです。
変化の時代について、上述で触れましたが、こうした環境の中では、「人を疑うこと」が実はスピードを低下させてしまうことになります。
すると、変化への対応のためにスピード命の状況で、だいぶ自分自身をビハインドさせてしまうこともあるでしょう。
人を疑うことこそ、無駄なコスト
例えば、グーグルは、このように「人を疑うことは無駄なコストだ」と考えて、そのために相手が同じ価値観を共有している人物(企業であれば、ミッション・ビジョン・バリューなど)であるとすれば、無条件に信じて、仲間である限り、信じて仕事を進めていくという言います。
これは、とても重要なことです。信頼し合える関係性では、何をしても低コストで進めることができます。
いちいち確認や監視が不要であるということ、やろう!と思ったことについて、保身ではなく、全体最適の視点からものごとを進めるように指示や意見を出し合える関係というのは、成長スピードを担保するには不可欠な要素であるのです。
だからこそ、もしかすると、はじめましてな関係性や相対的に遠くの存在の人とつながるときには、自分自身のミッション・ビジョン・バリューについても特に触れながら、互いに価値観の交換を行ってみることも大切なのかもしれません。
会社が代替してきてくれた生きる意味意義をもう一度取り戻して、個人ベースで、ミッションを持ち、ビジョンを掲げ、バリューを積み重ねていくような活動がとても大切であるということですね。
尾原和啓さんは、常に俯瞰した視点で、人生のあり方について考えるヒントを提供してくれます。こちらの1冊「これからの時代の“仕事のルール”とは!?『どこでも誰とでも働ける』尾原和啓」やこちら「人生を遊ぼう!?『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』尾原和啓」もぜひご覧ください。


次回の投稿でも尾原和啓さんのこちらの1冊『あえて数字からおりる働き方 個人がつながる時代の生存戦略』のレビューを進めさせていただきましょう。本日もご覧いただき誠にありがとうございます。
まとめ
- 仕事はギブでできている?――ギブを通じて実践を積み重ねていく中で、結果的に仕事が出来上がっていきます。
- あなたの「意味」が大事!?――それを他者に感じていただくことです。
- 自分自身のミッションを感じましょう?――会社ではなく、個人ベースでMVVの交換がポイントとなる時代です。
