高速ビジュアルＰＤＣＡを回せ！？『最短効率！成果を最大化させるＡＩマーケティング術』春山瑞恵

ＡＩでＰＤＣＡをまわす？

ウェブマーケティングとビジュアルデザインは、切っても切れません。

ウェブマーケティングとビジュアルデザインは、現代のデジタル環境において相互補完的な関係にあります。ユーザーの注目を集め、記憶に残るブランド体験を創出するためには、両者の緊密な連携が不可欠です。

効果的なウェブマーケティングは、戦略とデータ分析に基づいていますが、その実現には魅力的なビジュアルデザインが必要です。ユーザーの感情や行動を導くためのカラースキーム、タイポグラフィ、画像選定などのデザイン要素は、マーケティングメッセージの訴求力を高め、コンバージョンに直結します。

一方で、視覚的に美しいだけのデザインは、マーケティング目標と整合していなければ効果を発揮しません。両者が一体となって、ブランドのストーリーを伝え、ユーザー体験を最適化することで、競争の激しいウェブ環境での存在感を高めることができるのです。

最初に目に飛び込んでくるのは、ロゴ、アイコン、大きな画像、スライダー、ビデオなどのビジュアル要素です。

人は、見た目の良さや魅力的なデザインに自然と惹きつけられ、注目してしまうのです。

さらに、SNS（ソーシャルメディア）プラットフォームでは、ウェブマーケティングとビジュアルデザインの融合がさらに重要性を増します。“スクロール文化”、つまり、タイムラインに流れる情報を追いかける見方が支配するSNS環境では、ユーザーの注意を瞬時に引きつけるビジュアル要素が、マーケティング成功の鍵を握ります。

Instagram、Pinterest、TikTokなどの視覚優先のプラットフォームでは、魅力的な色彩や構図、動きのあるデザインが、ブランドメッセージの伝達とエンゲージメント促進に直結します。統一されたビジュアルアイデンティティは、プラットフォームを超えたブランド認知を確立し、フォロワーの信頼感を醸成します。

また、SNSアルゴリズムは視覚的に魅力的で高いエンゲージメントを獲得するコンテンツを優先的に表示する傾向があります。ターゲットオーディエンスの好みや行動パターンを反映したビジュアルデザインは、アルゴリズム最適化にも貢献し、リーチとコンバージョンを最大化します。

結果として、戦略的マーケティングとクリエイティブなビジュアルデザインが一体となったSNS展開は、現代のデジタルマーケティングにおいて不可欠な成功要因となっています。

AI技術が普及する以前、ウェブマーケティングとビジュアルデザインの融合は完全に人の創造性と技術に依存していました。デザイナーは、Adobe PhotoshopやIllustratorなどのツールを使い、一つひとつの要素を手作業で作成・編集し、何時間もかけて視覚的なアイデアを形にしていました。

マーケティングチームは、ターゲットオーディエンスの分析からコンセプト立案、コピーライティングまで、すべてを人間の知見と経験に基づいて行っていました。A/Bテストのためのバリエーション作成や、複数のSNSプラットフォーム向けの画像サイズ調整なども、デザイナーが一つずつ手作業で対応する必要がありました。

こうした労働集約的なプロセスは時間とコストがかかり、迅速な対応や広範な実験が難しいという制約がありましたが、恩恵もあったでしょう。

人間ならではの感性や独創性が反映された作品が生まれ、クリエイティブの価値が高く評価されるということもあるのです。

しかし、やはり、ウェブの基本は、KPIが常に明らかにできるということがポイントです。デジタルですから。

得られたデータをもとに、よりよい情報環境をかたちにしていくことがキーアクションになります。

ちなみにＰＤＣＡの重要性については、こちらの１冊「ＰＤＣＡ実際に回してる？継続できてる？『超鬼速ＰＤＣＡ』冨田和成」もぜひご覧ください。

画像にもＰＤＣＡを！？

ビジュアルデザインとは、資格を通じて、情報やメッセージを伝えるためのデザインです。

私たち周りにあるウェブサイト、アプリ、広告、ポスターなど、目に見えるあらゆるものがビジュアルデザインの対象になります。

これをやる目的は、以下を目指すことにあります。

• 見た目が魅力的である。
• わかりやすく伝える。
• 記憶に残る内容にする。

つまり、単に見た目を良くするというのではなく、「内容へ引き込み、伝える（伝わるようにする）」ことを目指すということです。

ポイントは、

１）色彩
２）形状
３）画像とアイコン
４）タイポグラフィ
５）レイアウト

などの要素を、ケアしていくことです。

ここでキーが、画像生成ＡＩの登場です。

画像生成AIは、ビジュアルデザインの作業工程を大幅に自動化しています。

従来は時間と労力を要していた素材作成やレイアウト検討、バリエーション生成などの作業が、テキストプロンプトによる指示だけで短時間に完了できるようになりました。

特に、バナー広告やSNS投稿など規格化されたデザイン制作では、AIが基本的なビジュアル要素を自動生成することで、デザイナーは細部の調整やブランドアイデンティティの調整に集中できるようになっています。

さらに、季節ごとのキャンペーンや複数製品のクリエイティブ制作など、大量のバリエーションが必要な場面でも、AIが下地となるビジュアルを効率的に生成することで、プロジェクト全体の進行スピードが向上しています。

副次的な効果として、チームコミュニケーションもあるでしょう。

AIによるワークフロー自動化の結果、チームやクライアントとのコミュニケーションも大きく改善されています。

企画段階で複数のビジュアルコンセプトをAIで素早く生成し、具体的なイメージをクライアントと早期に共有できるようになりました。これにより、抽象的な言葉だけでは伝わりにくかった方向性が視覚的に示され、認識のずれが減少するとともに、フィードバックの質も向上しています。

また、クライアントからの修正依頼に対しても、AIを活用して複数のオプションを迅速に提示できるため、意思決定が加速し、プロジェクト全体の満足度が高まっています。チーム内でも、デザイナーとマーケターが同じAIツールを介して視覚的なコミュニケーションを取ることで、部門間の連携がスムーズになり、一貫性のあるビジュアルマーケティングの実現につながっています。

一方で、高速にビジュアルが生成され、その上でデジタル的に測れるということは、SNSマーケティングの成功を目指す上でも非常に役に立ちます。

というのも、SNSマーケティングの成功には、質の高いコンテンツを一貫して発信し続ける「習慣化」が不可欠だからです。

この点において、画像生成AIは重要な役割を果たします。

定期的な投稿を維持するためには、常に新鮮で魅力的なビジュアルコンテンツが必要ですが、従来の制作プロセスでは時間的・人的リソースの制約がボトルネックとなっていました。画像生成AIを活用することで、コンテンツ制作のハードルが下がり、投稿サイクルを安定して維持できるようになります。

さらに、各プラットフォーム特有のフォーマットやトレンドに合わせたビジュアルを迅速に生成できるため、複数のSNSを並行して運用する際の負担も軽減されます。

テンプレートとプロンプトを組み合わせたワークフローを構築することで、ブランドの一貫性を保ちながらも変化に富んだコンテンツを効率的に生み出すことが可能になり、SNSマーケティングの継続的な実施と効果の最大化につながります。

ブランドづくりもＡＩを引き込もう！？

ブランディングデザインについても、AI実はとても有効です。

ブランディングデザインとは、企業の商品やサービスのブランドイメージを視覚的な要素にデザインすることを表します。

ブランドをブランドであると認識してもらうためには、いくつかの画像のエレメントが大切です。

例えば、ブランド名、ロゴ、ウェブデザイン、広告デザイン、商業デザインなどが含まれていきます。

商品やサービスのブランドイメージの印象を高めて競合と差別化し、顧客にファンになってもらうことがブランドをよりよいものにしてくれます。

まず、ブランドの初期コンセプト開発において、AIは多様なビジュアルアイデアを短時間で生成できるため、ブランドの方向性を探索する幅が広がります。

ロゴデザインのバリエーション、カラーパレットの組み合わせ、タイポグラフィのスタイルなど、様々な要素を視覚化し、クライアントとデザイナーが共通のビジョンを構築するための基盤を提供します。

また、一度ブランドガイドラインが確立されると、AIはそれに沿った一貫性のあるビジュアル資産を効率的に生成できます。名刺、パンフレット、プレゼンテーションテンプレート、ウェブサイトの視覚要素など、様々なタッチポイントで必要となるデザイン要素を統一感を持って展開することが容易になります。

とくに重要なのは、AIがブランドの進化や市場の変化に応じた迅速な視覚的アップデートを可能にする点です。季節やトレンドに合わせたビジュアル展開も、ブランドの核となる要素を保ちながら柔軟に対応できるようになり、常に鮮度のあるブランドイメージを維持することに貢献します。

AIを味方にすると確実にアウトプットをしながら、チームで検討しながら、よりよくするサイクルへとより入りやすくなるのではないかと思います。

AIとの関係性については、こちらの１冊「ＡＩはパートナー！？『ＡＩにはできない　人工知能研究者が正しく伝える限界と可能性』栗原聡」もぜひご覧ください。

まとめ