Y字路には、人の性(さが)が堆積していく!?『Y字路はなぜ生まれるのか?』重永瞬

Y字路はなぜ生まれるのか?
  • 人について考える時、象徴的なものといえば?
  • 実は、Y字路を考えることは、人のことを見つめることかも。
  • なぜなら、Y字路には、人の性が現れているからです。
  • 本書は、Y字路にハマった重永瞬さんによる、Y字路を体系説明な1冊です。
  • 本書を通じて、メタファーとしての、あるいは、人の本性を表すY字路の魅力に触れます。
重永瞬
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都市の中で気になる存在?

まち歩き、好きですか?

散歩をすることは、脳にとてもいい効果があります。

脳が活性化されて、ものごとが整理されて、発想が豊かになります。

そうした考え方を説くこちらの1冊「人が歩けば、幸せになる!?『歩く マジで人生が変わる習慣』池田光史」が多くの方に親しまれていると聞きました。

まち歩きを楽しむ中で、創造の世界にふけることもありますが、もしかすると、街の成り立ちや、街角の雰囲気に気を取られることも、多々あるのではないでしょうか?

まち歩きが好きな人であれば、言葉にするのは難しいけれど「なんかいいな」と思う風景があると思います。

それが著者の重永瞬さんにとってのY字路です。

Y字路は、ただ、道が鋭角に別れているだけなのですが、とこか、目をはなしがたい魅力があるといいます。

まず視野です。

Y字路を写真に撮ってまじまじと観察してみると、自然と2点透視図法になります。

パースが効いて、奥行きを感じやすくなることで、右に行くか、左に行くか、そうした文字通り分かれ道の選択を、わたしたちに促しているような感覚をじわっと感じてしまいます。

当然、路上からそうした実際の風景を見てみることでも、こうした感覚は醸し出されます。

「角地に何があるか」や「どう形成されたか」は、Y字路の物理的な景観としての側面である。だが、それだけではY字路は語れない。Y字路はただそこにあるだけでなく、人びとによって経験される。

一人ひとりの経験の蓄積が、時にカルチャー(芸術作品、歌など)となって、時に言葉(分かれ道、などのメタファーを含む)となって、共有される中で、さらにその特異な雰囲気を重ねていきます。

Y字路は、人の性(さが)!?

そもそもY字路の成り立ちはさまざまあります。起伏が激しい行程をやわらげるためだったり、あとは、河川や線路が人の導線を分断しているなど、物理的な影響でY字路は誕生します。

しかし、見逃せないのが、人の道行きです。

例えば、物理的に十字路が切ってあったとしましょう。

でも、人の道行きは直角ではありません。

自然と、弧を描いて、緩やかに曲がっていきます。

人々が最短経路をたどろうとすると、自然とその軌跡は鋭角になる。人の足取りは鋭角なのである。

人は急には曲がれずに、自然と鋭角を描き、それをなぞる結果、Y字路が誕生します。

追分という言葉があります。

これは、道が2つに分かれる場所を指す言葉です。

とくに、街道の分岐点を意味する言葉であり、甲州街道と青梅街道の分岐である新宿追分や、中山道と北国街道の分岐である信濃追分など、各地に地名として残っています。

追分は交通の要衝であるため、宿場が設けられていることもある。長野県軽井沢町の追分宿には、中山道と北国街道のY字路が存在する。

旅行がいまほど気軽にできない時代において、道行く人の「一期一会」はまた今以上に印象深いものだったでしょう。

今生の別れかもしれない、他者とそこで分かれ、次第に見えなくなっていくさまは、当然人生と重ねられるひとつのイベントだったに違いありません。

なんとなく、最短距離を歩きながらも、未練を感じながらの追分“られる”風情というものをY字路に感じます。

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過去のわたしたちとの対話?

Y字路は、実は人の流れだけではなく、人やものの滞留を生み出す効果もあります。

Y字路の付け根の分かれ目の部分は、公開空地などにされて、公で利用されることもたくさんあります。

ゴミ箱が設置されたり、テラス席が設置されたり、あるいは、公園になってみたり、特にまちなかのY字路は古い歴史を持っているものがあったりして、人々が昔から集まりやすい場所になっている可能性もあるでしょう。

そして、時に、単に木が1本生えているだけ、のY字路なんかもあったりして、その風景の魅力をさらに高めていくのです。

Y字路は、グリッドが崩れるところに生まれる。四角と四角のスキマに、三角が生まれる。三角は、必ず鋭角な角を持つ。直角は90度しかあり得ないが、鋭角は0度から90度までさまざまな角度を取り得る。

三角は、たしかに効率化された社会の中で、「使いづらい」存在かもしれません。ものは滞留するし、見通しは良くないし、分かれ道同士が曲がりにくいし・・。

でも、そうしたムダにどうしても惹かれてしまうのが、わたしたちであったりもします。

果たして、鋭角であることは不幸なのか。
いや、そうではない、鋭角には、鋭角でしか生まれ得ない景観が現れる。使いづらいからこそ、目立つからこその土地利用がある。そこには、「直角ではいられなかった物語」がある。鋭角は、いずれもそれぞれに幸福なのである。

合理性を求めて自然を作り変えて、人は、都市を作ってきました。

グリッドパターンは、合理性の象徴です。

でも、人という自然を内在した人間が成すことです。どうしてもほころびが生まれるものです。

そして、実はそのほころびにこそ、人は自分たちの中の自然を感じ、そして、そこに安堵を覚えるのではないかもしれないと思うのです。

それが、都市の中に、Y字路として記憶されているということが、わたしたちに何かを訴えかけるのではないかと思われます。

過去からの道行きの記憶として、鮮明に映るY字路に触れる時、私たちは過去の人(わたしたち)と対話しているようでもあります。

いつか来た道のようなそんな感覚を覚えながら、今日もまち歩きを楽しんでみるのも一興かもしれません。

まとめ

  • 都市の中で気になる存在?――グリッドに刻まれる鋭角、Y字路がどうしても気になってしまいます。
  • Y字路は、人の性(さが)!?――人は、直角には曲がれず、自然と鋭角になるものです。
  • 過去のわたしたちとの対話?――道行く人の記憶が堆積しているY字路で、自身を見つめてみましょう。
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