AI巻き込もう!?『これからのAI、正しい付き合い方と使い方』イーサン・モリック,久保田敦子

これからのAI、正しい付き合い方と使い方
  • どのようにAIと付き合っていくのがよいでしょうか。
  • 実は、今後のテクノロジーの行く末は誰にもわからないものになっています。
  • なぜなら、AIの進化があまりにも早く、その活動の成果として新しいテクノロジーも生まれてくるスパイラルを私たちは目の当たりにしているのです。
  • 本書は、AIに対する解像度を上げるための1冊です。
  • 本書を通じて、AIとの付き合い方を知り、考えるきっかけを得ることができるでしょう。
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AIのインパクトは?

AIはこの数年で爆発的に普及して言います。火付け役のChatGPTには、私たちは無料でアクセスが可能であり、そして個人でも利用可能である上、想像以上に便利なものです。

このシステムは、歴史上どの製品よりもいち早くユーザー数1億人に到達しました。

そしてその後も改良を続けていて、さらに優秀なモデルが登場しています。さらには、ChatGPTの中で動くプログラムも無数に開発されて、それらがまるでマーケットのように機能していることもとても興味深い動きです。

ChatGPTというプラットフォームを活用しながら、開発者と需要者が交わる仕組みがすでにそこに登場しているのです。

AIは共同知能(Co-Intelligence)として様々な用途で機能する。AIは人間の思考を増強し(または将来的には置き換えて)劇的な成果を生み出す。

AIの影響に関する初期の研究においては、コード作成から広告宣伝までさまざまな職種でAIにより生産性が20%から80%(!)向上することが判明しています。

比較対象として最も基本的な汎用技術であり、産業革命のきっかけとなった蒸気機関が工場に導入されたときは、生産性の工場には18~22%程度だったそうです。

そして、何十年も調査したのにもかかわらずインターネットが私たちの長期的な生産性にどれだけ恩恵をもたらしたかについては、ついぞ解明されるための根拠を探し切ることができていません。

今後、AIは、エンターテイメントの領域でも人を魅了する世界が訪れることでしょう。人との共同により、もっと創造性を発揮されるような世界を実現するべく、AIは今日もいまこの瞬間も進化を続けています。

このすべてがどこに向かっているのか、私を含めて誰も本当にはわからない。

本書の著者である、ペンシルベニア大学ウォートン・スクール准教授イーサン・モリックは、そう語ります。彼は生成AI研究の第一人者です。

イーサン・モリックさんは、「共同知能」というキーワードで、世界に新しく現れたAIというまったく新しく、未知の技術の特徴を切り取ってくれます。

AIの仕組みとは?

この「共同知能」というキーワードは、常に人とともにあるAI、人間の知性をアップデートしてくれるAIという意味合いを含んでいまうす。つまり、人間とAIは、一対であるという考え方です。

共同を捉えていく際に、重要なのが、AIは、どのようなメカニズムで、わたしたちに返答を変えてしているのか?ということです。

その内部をよく知ることで、私たちがAIと適切な距離感を保つことができるようになります。つまり、AIをよくわからないものだ!と切り捨てることを避けて、積極的に関わってみるスタンスを強化し、あるいは、人間のような心と心が触れ合うような幻想を抱くリスクを排除してくれるのです。

現代の生成AIは、大規模言語モデル(LLM)と呼ばれる仕組みによって動いています。

これの中では、予測が行われているのではありません。

私たちがAIに対して投げかけを行った場合に、テキストの一部を分析し、次のトークン(ひとつの単語、または単語の一部)の親密度をもって探しに行くという計算をしています。

つまり、iPhoneに備わっている予測入力システムが非常に精巧になったようなものだ。

これが、実はハルシネーション(人工知能(AI)が事実とは異なる情報や、現実には存在しない情報を生成する現象)の原因にもなります。

「火星人はバナナを食べた、なぜなら・・・」と聞けば、可能な限りそのテキストに近いトークンの探索を行うことで、何からの事実とは異なる情報を紐づけることが可能になるからです。

AIには、こうした計算をより精度高く行ってもらうために、事前に大量のデータを学ぶステップが欠かせません。これは事前学習と呼ばれるものです。

そして、AIは自ら学習をすることが出るのです。用意周到にラベル付きのデータを与えなくても、自分で、言語の特徴を理解し、自分でそのデータがどのようなものかをざっくりと判断しながら、関係性を見出すことができます。

人間がその学習に多くかかわらなくても良くなったことで、AIの制度が爆発的に伸びていくことを可能にしています。

AIは、超勤勉な見習いシェフのようなもので、自ら真面目に学習をしながら、言語の関係性の全体像を絶えずスクリーニングしていくプログラムをひたすらに動かしているのです。

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4つの原則を元に?

こうしたAIをどのように業務の中に組み込んでいくのか、イーサン・モリックさんは、次の4つの原則をピックアップしてくれています。

原則1)常にAIを参加させること。
原則2)人間参加型にすること。
原則3)AIを人間のように思って扱うこと(ただしどんな人間かを伝えておくこと)
原則4)「今使っているAIは、今後使用するどのAIよりも劣悪だ」と仮定すること。

これらの4つの原則を念頭にAIと付き合うことによって、AIを忌避すること無く、AIとより理想的な関係性を絶えず見出すことができるようになるのです。

常にAIをプロジェクトに参加させることによって、AIの能力に親しむことができるようになります。

AIがいかに私たちを助けられるかを、あるいは現在の業務をどのように脅かすのかをより理解することができるようになります。

AIは汎用テクノロジーであるため、その価値と限界を理解するために参照できる決定的なマニュアルや手引はない。

大切なことは、AIができることと、苦手なことがあるということですが、これの壁は目に見えない、そして絶えず揺れ動いている可能性が高いということです。AIと馴染んでいることによって、この壁を認識して、よりよくAIを協働に巻き込んでいくことが可能になります。

AIの強みだけではなく、弱みを意識しながら、日常のタスクでAIとともに進んでいきましょう。

AIは、万能薬ではなく、期待したとおりに作動しない可能性、さらに望ましくない結果を導き出すことの可能性についても積極的に触れてみましょう。

「人間参加型」というのは、コンピュータ化と自働化の初期に生まれた概念です。複雑なシステム(自働化された「ループ」)のオペレーションに人間の判断と専門性を組み込むことの重要性を説いたものです。

上述の通り、AIは知らないことをしつこく聞かれたら、ハルシネーションを起こす可能性を高めてしまうでしょう。そのため、人間がその回答を常に判断するということは、欠かせないタスクになっています。

最新の大規模LLMはさらに幻覚を起こしやすくなっているので、リスクを排除するためにも人間が必ずループの中に入って、ジャッジをする過程を経ましょう。

AIというは、機械であり、システムです。

だから、「考える」「学ぶ」「理解する」「決定する」「感じる」という時に、これらはメタファーであるということを忘れないようにしましょう。

AIシステムには意識や感情、自我、身体的感覚などはない。

ただ、AIを単なる機械ではなく、メタファーも含めて、何者なのかを積極的に「定義してみる」と、すごく扱いやすくなります。

そのAIがどういった人物で、どのような問題に取り組むのかをはっきりさせてみるのです。

AIの人格を明確かつ具体的に作り上げる必要がある。

AIは、計算によって、アウトプットを見出します。ですが、計算であるため、ワンパターンになりがちです。この限界を突破するためにも、AIを特定の何かに定義してみて、回答を得てみることがよい刺激材料になります。

これによってAIに視点が与えられて、自身が「誰」なのかを知ることができます。どのように振る舞えば、今回のケースでは良くなるのかをAI側は「理解し」、そして、そのループの中にある人間は、関わり方を直感的に想像することができるようになります。

そして、絶えずAIを使っていく中で、さらにAI側は、進化していきます。これからもどんどん変わっていく可能性を見極めながら、協働の可能性を絶えず振返り、活用しバージョンアップしていく視点を忘れないようにしましょう。

4つの原則によると、AIとよりよく関わりながら、市場でも歓迎される人的資本のあり方が見えてきます。

専門性を磨き上げることで「ループの内側」の人間になれる。

職業はたったひとつのタスクから与えられるわけではなく、ものごとをどうとらえ、それに対してどのようなアクションを、どのような目的を目指して展開していくのか、そうした統合した視点とジャッジが必要になります。

そうした意味での専門性は、相対的にさらに高まっていくように考えることができます。

そして新しいタイプの専門家も同時に登場することも予測することができるでしょう。例えば、LLMのプロンプトをさらにより良いものにアップデートするための才能を持った人のことです。

AIの登場によって、私たちの仕事観や職業観のアップデートをしていく可能性を考える機会を提示してくれるようになりました。

積極的に導入しながら、アクションを考えていくことがキーになりそうです。

AIについては、こちらの1冊「AIはパートナー!?『AIにはできない 人工知能研究者が正しく伝える限界と可能性』栗原聡」もぜひご覧ください。

まとめ

  • AIのインパクトは?――生産性を最大80%UPさせてくれていることが報告されています。
  • AIの仕組みとは?――LLMという高精度な計算システムによる言語の紐づけです。
  • 4つの原則を元に?――AIをプロジェクトに引き込み絶えずアップデートさせていきましょう。
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