私たちが“まだ”知らないこととは!?『一生の仕事が見つかるディズニーの教え』大住力

一生の仕事が見つかるディズニーの教え
  • どうしたら一生をかける仕事を見つけることができるでしょうか。
  • 実は、「役割」に真剣に向き合ってみることかもしれません。
  • その「役割」とは他者との関係性の中に見いだせるものであり、その中で絶えず解釈していくことで見つけることができるのです。
  • 本書は、大住力さんのこれまでの生き方について俯瞰した1冊です。
  • 本書を通じて、どんな人でも「役割」があり、それを全うするためにこの人生があるのだ、という事実に気づかせてくれます。
大住力
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仕事とは何か?

本書の著者である大住力さんは、1965年生まれで、東京ディズニーランドを運営する株式会社オリエンタルランドに約20年間勤務し、人材教育や東京ディズニーシー、イクスピアリなどのプロジェクト立ち上げや運営、マネジメントに携わりました。

2009年に同社を退職後、2010年3月に難病と闘う子どもとその家族を支援する公益社団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」を設立し、代表理事を務めています。

また、一般財団法人ソコリキ教育研究所の所長として、人材育成や教育、コンサルティングを行っています。さらに、東京2020オリンピック・パラリンピックでは、ボランティアサポートセンターの人材教育担当アドバイザーを務めました。

このように活躍される大住力さんがこれまでの半生を振り返ることで、広く一般の方々に、生きる意味そして、何を軸にして人生という大きなプロジェクトを少しずつ形にしていくのか、ヒントを提供してくれます。

いま、社会では、「生き方」に関する問題や論点が特に取り上げられていると思います。それもそのはずです、成長から定常へ、そしてテックの躍進で人に代わるAIがますます社会実装される中で、これまでの自分を否定されてしまうようなそんな気持ちに多くの人が不安を覚えているインサイトを感じます。

そこにコロナ禍という変化を余儀なくされる事象が発生して、私たちは、変わっていく不安と、変われる手応えを意識することができるようになりました。

変わっていけるかもしれないけれど、その方向性ってそもそも考えてみたことがない・・そうした自分や自分の組織の本音に深くかかわざるして、よりよい人生というのは立ち上がってきません。

この本は、自分が本当にやりたいことを探している人にとって、少しでも参考になればと思って、書かせていただいた。

ディズニーという組織カルチャーを深く経験された大住力さんは、ディズニーの概念を多く引用してくれます。大変興味深いのは、ディズニーの「仕事」は2つあるということ。

1つは、Duty(デューティ)そして、もう1つはMisssion(ミッション)です。

Dutyとは、作業と訳されて、マニュアルで細かく規定されていて、誰だも同じような品質を提供できるものです。作業というのは、やって当たり前、やれて当たり前のことです。これができたとしても自分は「仕事ができた!」と思ってはいけません。

なぜなら、社会では、「必ずそれ以上のことが求められる」からです。

だからMisssionが大切なのです。Misssionとは、仕事と訳されるわけですが、ここに仕事の本質があります。これはマニュアルで決められていないことです。

では、何によって規定されるか?

ここが重要です。

大住力さんは当時を振返ります。

目の前にいるゲストのために、常に自分の頭で考え、行動しなければ、仕事というものは果たせないのである。

ここに「役割」を考えるための大きなヒントがあります。

「役割」というのは、内発的にこれをやりたい!というだけではないということ、その先に、他者との関わりの中で、自らが一生懸命感じて、考えて、その結果、見出されるものなのです。

そもそも自分だけの役割を見つけるというのは、簡単なことではない。

それでも、自分の「役割」というのを見つけるのは、人生において最重要課題のはずです。なぜなら、人はそうした手応えを求めずして生きていくことができないからです。

非常に発達してしまった知性を持っているため、私たちは絶えず考えます。「私とはどんな存在か」「人生は自分自身に何を求めているのか」そして、「これからどこへ行くのか」・・・こうしたことに対する絶え間ない問いの中で、健全に生きていくためには、そこから逃げないことです。

私たちは、与えられているか?

大住力さんも、そこから逃げずに真正面から向かい合っている人です。

ディズニー時代に大病を患い、前線から距離を取らざるを得なかったタイミングで、自分ひとりがいないことで組織が止まるどころか、普通に動いていること、絶えず変わっていくことを目の当たりにして、自分という存在を改めて考えるきっかけの中で考えました。

自分という「役割」のあり方を感じ、改めて考える機会を得て、人生の根幹に触れます。

ゼロから始めるしかない。
「目の前にいるお客さまのために全力で対応する」という原点に戻るしかない。

大住力さんにとって、仕事とは、戦略とかマーケティングとかによって作られるというよりも、目の前のお客さまとの関係性によって作られていくものです。

仕事は、お客さまによって作られるものだ。お客さまによって鍛えられ、成長させてもらうものなのだ。

私たちは、社会やマスという大きなものを相手にしすぎているのかもしれません。でも実は、自分の人生をに手触りや実態をもたらしてくれるものや存在は、もっともっと近くにあるのです。

大切な家族や同僚、そしてお客さま。その人達の楽(ラク)のため、笑顔のために何ができるかがを絶えず考えていくことが、自分の道を見つけるかけがえのない視点を与えてくれるのではないでしょうか。

大住力さんは、ディズニーというきっかけから、新しいヒントを得ることになります。

それが、「ギブ・キッズ・ザ・ワールド(Give Kids The World)」との出会いです。

​ギブ・キッズ・ザ・ワールド(Give Kids The World)は、アメリカ・フロリダ州オーランドにある非営利の慈善団体で、難病を患う子どもとその家族に対し、1週間の無料バケーション(ウィッシュ・バケーション)を提供しています。 ​

この団体は、1986年にヘンリ・ランドワース氏によって設立されました。 ​ランドワース氏は、第2次世界大戦中にアウシュビッツ収容所での経験を持ち、戦後アメリカに渡り、ホテル経営者として成功を収めました。​ある日、難病の少女がディズニーランド訪問を果たせずに亡くなったことを知り、同様の子どもたちの夢を叶えるためにこの施設を設立しました。 ​

ギブ・キッズ・ザ・ワールドは、89エーカーの敷地内にコテージ、レストラン、劇場、プレイエリア、プールなど、病気の子どもたちが快適に過ごせる施設を完備しています。​家族全員が宿泊でき、近隣のディズニーテーマパークなどで楽しい時間を過ごすことができます。​これらの費用はすべて企業や団体の寄付によってまかなわれています。

ヘンリ・ランドワース氏にとって、ホテル事業で成功した人物でしたが、「ディズニーランドへ生きたいという夢」が叶わなかった難病の少女を知ることは、おそらく自分自身の「役割」を考える機会だったに違いありません。

大住力さんは、アメリカへの研修に乗じて(!)なんと、ヘンリ・ランドワースさんへの面会をひとりで取り付けて、そして単独の面会に成功します。

そこでいくつもの彼の思想を表す言葉を得るに至りました。

ヘンリ氏は、「生きるとは、人に渡すことだ」といった。

ギブ・アンド・テイクではなく、ギブ・アンド・ギブ。それが、生き方の本質であると。

生きているうちは、自分の持っているものを相手に渡して、その見返りを得ようとするのではなく、さらに渡していく。その先に、何かあるということではなく、そこのこと自体に幸せを感じられる体質を作るのであるということです。

生きるということは、すなわち、誰か他者に対して何かを与え続けていくということ。

大住力さんと、ヘンリさん、彼らの思想や出会いはとてもシンクロします。特別な意志の交換の違いだったのかもしれません。

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そして、起業へ!

この出会いを通じて、大住力さんは、まずディズニーに組織的に「難病の子供のためのプロジェクト」を推進することを提言します。しかし、思うように進みません。

そして、次の象徴的な気づきによって自らこの取り組みの推進者として起業することを決心したのです。

「誰かがやらなければ」ということに気がづいた者が、やるべきことなのかもしれない。

こうして、一般社団法人として「難病の子どもとその家族へ夢を」の立ち上げを進めていきます。直談判の末、聖路加病院の日野原重明先生、セキモデルで知られる一橋大学・野中郁次郎先生を顧問に迎えたスタートとなりました。

「難病の子どもとその家族へ夢を」は難病のその家族が日常の体験を拡張することによって、自分自身と向き合うこと、そして、その体験をボランティアスタッフとして企業研修のいっかんとして訪れてた協賛企業の従業員が関わることで、バリューの輪を広げていきます。

子どもにも、家族にも、それぞれの役割というものがきちんとあると僕たちは考えている。毎日病気と闘うなかで、「本当に大切なもの」を体得しているのだ。

限りある命がもしかしたら今日尽きてしまうかもしれないという中で生きるというのは、どのような気持ちでしょうか。でも本来人はみな、死と隣り合わせて生きているものです。多くの人は、ただその事実を意識しないで、あたかも忘れるように生きているだけ。

本当は、みな生命の尽きるところに向けて生きているのです。大人も、そして、生まれたての赤ちゃんも、誰もが平等に死ぬ運命にある。

この事実を受け入れた先に、きっと人は、自分というものを知り、そして、自分と他者とのかけがえのない関係性があることに気づくことができるようになると思うのです。

僕が出会った難病と闘う子どもたちは、かいわいそうでもなんでもない。

大住力さんの、言葉からは、誰もが生命を燃やして生きるものであるという、事実を冷静に見つめる眼差しを感じます。

ただ、私たちに不足しているのは、「目の前にある本当に大切なこと」に気づけているかどうかです。

難病の子どもたち、そしてその子どもたちとともにある親たち、そして、そこに関わりのある者たち、こうした縁を広げていくことで、ひとりひとりが自分の「役割」を考えるために、“大切なことともの”の存在に気づく機会を提供する。

そのことが、互いの「役割」をよりはっきり強調し、互いに自覚し、限りある生命をより素敵に燃やしていく原動力としていくこと。

「役割」を知ったものほど、豊かな人生へ向かうヒントを得た人はいないでしょう。

これまで日本の社会や経済に貢献されてきた、方々には、艱難辛苦を味わった方が多いと聞きます。田坂広志さんもそのことを指摘されています。

​田坂広志さんは、優れた経営者が大成するためには、「戦争」「大病」「投獄」のいずれかの生死に関わる体験を持つと、述べています。

具体的な例として、以下の経営者が挙げられます。

  • 小松康氏(元住友銀行頭取):​戦時中、海軍に徴兵され、乗船していた巡洋艦・那智が撃沈されるという生死の境を経験しました。 ​
  • 中内㓛氏(ダイエー・グループ創業者):​戦争中、多くの戦友が亡くなる中で生き残り、その無念の思いが流通革命への情熱を駆り立てたと述べています。 ​
  • 瀬島龍三氏(元伊藤忠商事会長):​シベリアでの11年間の抑留生活という過酷な体験を持ちます。 ​
  • 稲盛和夫氏(京セラ名誉会長):​若い頃に結核を患い、生死の境を経験しました。 ​

これらの体験を通じて、経営者たちは深い死生観を持ち、逆境に強いリーダーシップを発揮するようになったとされています。​

田坂広志さんの著書については、こちら「意義意味を見出せ!?『人生で起こること すべて良きこと 逆境を越える「こころの技法」』田坂広志」もぜひご覧ください。

大住力さんは、言います。

当たり前の話だけれども、いのちは有限だ。

毎日を楽観的に生きることができて、死をも知らずして、死ぬことができれば、そんなに楽なことはないかもしれません。でも、それはとても非現実的です。そして、同時に人間らしさ、人らしさが果たしてあるのか?とも考えたくもなります。

楽観的になりたくてもどうしてもそうなれない人はいるのです。病気と一生懸命闘う人に対して、「楽観的になってみよう」ということは、到底かけられるものではない。

ただ、大住力さんは言います。そうした人たちがいるのだ、ということを知らないまま、あるいは、気づかないふりをして生きていくということは、何か大切なものを知るきっかけをないがしろにしていることなのではないかと。

僕は、事実をなるべく見ないようにすることよりも、それに積極的に関わっていくほうを選んだ。

きっと一人ひとりの人の中には、気づいているようで気づいていない、言葉にできるようでできていない、あるいは、見えているようで見えていない、曖昧な認識に落ちているものごとや概念がきっとたくさんあるんだと思います。

  • 自分自身の役割
  • 生きることと死ぬこと
  • 目の前の大切なものごと

でもそうした、本当は身近だけど大切なこと、でも「まだ」気づいていいないものごとを手にとって、よくみて、互いに共有することこそが、実は真に豊かな人生を目指していくことなのなのかもしれないのです。

「私たちが気づいていること―まだ気づいていないこと」「社会が大切だと言っていること―自分が大切だと心から信じていること」この2つの軸で構成される「4つの窓」の存在に気づいて、メタ認知をしていく取り組みこそに、社会的価値を見出したいものです。

社会が大切だと
言っていること
自分が大切だと
信じていること
私たちが気づいていること社会的に認知・共有された価値個人の確立された信念・価値観
私たちがまだ気づいていないこと社会が重視する潜在的価値未発見の個人的価値・可能性

さらに、大住力さんとその団体、関連事業から次の6つの軸の社会的価値のあり方が見えてきます。

  • 生命があるということの再認識:難病と闘う子どもたちとその家族の体験を通して、社会全体が「いのちの有限性」と向き合い、日常の中で見落としがちな本当に大切なものに気づく機会を提供しています。
  • 相互成長のプラットフォーム:難病の子どもたちだけでなく、その家族、ボランティア、協賛企業の従業員など、関わるすべての人が自分の「役割」を見出し、互いに成長できる場を創出しています。
  • 企業研修としての新たな価値:協賛企業の従業員がボランティアとして参加することで、通常の企業研修では得られない深い気づきや「本当に大切なもの」への理解を促進し、企業文化の変革にも寄与しています。
  • 「ギブ・アンド・ギブ」の実践:ヘンリ・ランドワース氏の「生きるとは、人に渡すことだ」という思想を実践する場として、社会における新しい価値交換の形を提示しています。
  • メタ認知を促す社会装置:「私たちが気づいていること―まだ気づいていないこと」「社会が大切だと言っていること―自分が大切だと心から信じていること」という「4つの窓」を通して、社会全体のメタ認知を促進する機能を持っています。
  • 生きる手応えの共有:限りある命の中で、互いの「役割」を確認し合い、生きる意味や手応えを感じられる貴重な場を社会に提供しています。

ところで、「役割」ということを通じて、本書を拝読してきましたが、ディズニーで「役割」といえば、Roleというキーワードも見えてきます。これは演劇や演目などの、設定された役割のこと。

日常生活の中だと、真正面から見つめてみることが難しい「役割」でも、ディズニーという舞台の中で、環境の中から「役割」を与えられることで、実は見つかる自分の存在もあるのかもしれませんね。

そういえば、私もスターバックスが大好きであの緑のエプロンを身に着けて働いていたことがあるのですが、自分はスターバックスの一部なんだ!と感じると、何でもできてしまうようなそんな気持ちになったことを思い出します。

ところでスターバックスというブランドもミッションを大切にします。

元社長によるミッションとブランドの接点については、こちらの1冊「【あなたの人生のミッションはなにか!?】ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由|岩田松雄」も大変おすすめです。

今回の1冊『一生の仕事が見つかるディズニーの教え』を拝読しながら、改めて環境設定や周囲からの刺激が、自分のジョハリの窓を開いていくことにつながっていくのだと改めて気づくことができました。

大住力さんの著書については、こちら「【自分が死ぬ日を設定すると!?】一度しかない人生を「どう生きるか」がわかる100年カレンダー|大住力」とこちら「【“ハピネス”が共有できる働き方とは?】どんな人も活躍できる ディズニーのしくみ大全|大住力」もぜひご覧ください。

まとめ

  • 仕事とは何か?――ミッション、つまり自分の「役割」と向き合うことです。
  • 私たちは、与えられているか?――生きることとは、“与える”という「役割」を実践しているということです。
  • そして、起業へ!――「難病の子どもとその家族へ夢を」は、互いに自身の「役割」を確認し合うことで、生きる手応えを改めて感じる取り組みです。
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