- どうしたら人生を財務面から豊かにも過ごすことができるでしょうか。
- 実は、富の本質とそれが集まる仕組みを知ることが重要かも。
- なぜなら、富を創出する経済には、メカニズムがあるためです。
- 本書は、しっかり教えてもらう機会のない、富の増やし方に関する1冊です。
- 本書を通じて、人生における「経済的自律」のあり方を検討する機会を得ます。

資本主義をハックせよ?
資本主義は、人類史上最も生産的な経済メカニズムです。
また同時に、強欲なけもののようなシステムに見えることもあります。改革者よりも、既得権益者を、貧しいものよりも、富めるものを、労働より、資本を、資本主義は、優遇します。
そして、喜びや苦しみを不公平な方法で分配する社会を創り出します。
でも、いや、だからこそ、この資本主義とどう向き合うかをしっかりと検討し、自らのスタンスと立ち位置、そして仕組みに対して具体的にどのようなアクションを取るのかをはっきりしていおくことが、とても大切なのです。
なぜなら、何も知らないということやそのために何もアクションを取らないということは、自分の人生の自律性を放棄していることに、結果的になりかねないからです。
現実の世の中の仕組みに関する真実を説き、そのシステムの中で成功するための最善策を提供する。
本書の狙いは、「経済的自律」であり、その先の「経済的自立」にもあります。
「経済的自律」というのは、経済のことを資本主義の社会システムも含めてよく内実を理解して、具体的なアクションプランを策定し、行動していることを指してみるのが良いでしょう。
そして、「経済的自立」というのは、これ以上働かなくても、生涯生活していけるだけの資産を手にすることです。
経済的自立によって、お金のストレスを感じることなく、充実した人間関係に集中するための、時間資本の有効利用の方法を見出すことが可能になります。
まず自己理解!
本書の主張でまず、欠かせない視点が、自分自身に対する理解です。
結局、経済的な自立のためには、バーが必要なのです。
というのも、お金を求めたり、金銭的な豊かさを求めるにしても、際限なく人間は求めてしまう生き物であるということを自覚しなければ、(人生には明確な終りがあるのに)この富を増やす活動は終わりを迎えることができなくなってしまうからです。
“自分は何があれば満足した人生を送れるか”、この問いが本書の本質をつくものです。
長期的な視点に立ち、人生を豊かにし、大きな資産を手にする方法を読者に提示すること。
大きな資産を手にするという手段を持って、十分な「収入」ではなく、十分な「資産」を手にして、その上で、自分が満たされる状態を続けることを、達成することが本書が強調する意義と意味です。
この戦略を展開していくためには、まず、自分がどんな人生を送りたいのか、そして何を享受しているときが幸福を感じられるのかということを胸に刻むこと、そして、そのために必要な富を増やすための戦術を理解して、実行することです。
戦術の基本設計においては、「受動的所得(パッシブインカム)」が、自分にとって望ましい「消費支出(バーンレート;資金燃焼率。1ヶ月あたりどのくらいの資金を使うのか)」を越えていることが、本書の定義する経済的自立となります。
つまり、戦術として、目指すべきは、
経済的自立=受動的所得>消費支出
ということになりますね。
これらの戦術を展開することによって、最終的な目標状態である、豊かさを享受し続けている自分を達成します。そして、これは、同時に自分の人生のコントロール権を自らが得るということにもなるのです。
幸福のカギは、人生に何を期待するかである。
非現実的な期待を抱いては、いつまでたっても幸福を実感することは難しいです。
しかし、人生に何を期待するのかを具体的に確認することができれば、実は幸福というのは、とても日常の中にありふれているものであると気づくことができるのです。
そして、そのために、どのような工夫をしてみようか!?というマインドセットと行動を作るための原動力にもなり得ます。
資本主義は、確かに富む者に、富をよく分配するような仕組みでもあります。
でも、そうした社会システムの瑕疵を嘆くのではなく、反対にその仕組を利用して、上手に生きていくほうが80年そこそこという人間の一般的な人生スパンにおいては、ある意味、合理的な戦略視点ではないでしょうか。

ポイントは、受動的所得!?
以下の式について、具体的に数字を入れてみましょう。
経済的自立=受動的所得>消費支出
まず、消費支出を算出します。そして、それを25倍します。それが自分自身のおおよその受動的所得を生み出すための、資産額となります。
年数%のインフレ率(物価上昇率)を差し引いたうえで、資産を4%の利回りで運用すること(だから25倍)をシンプルに仮定しています。この利回りの数字の妥当性については、専門家によって異なることがありますが、概ね、4%の水準はひとつの目安として機能するものになります。
投資を前提とした、経済的自立を目指す時に重視したいのが、以下の式です。
富=フォーカス+(ストイシズム×時間×分散投資)
4つの要素があります。
1)ストイシズム・・公私ともに節度ある生活を送ることです。倹約することは、もちろんです。それだけではなく、人格を磨き、コミュニティとつながることも実はとても大切なことです。
2)フォーカス・・熱心に働き、十分な収入が得られる能力を身につけることです。そのために最も大切なことにリソースを集中させましょう。収入だけでは裕福になることができません。必要な第1歩というイメージであり、必ず投資戦略との組み合わせを展開する必要があります。
3)時間・・最も重要な資産です。時間を上手に使うためには、「複利」を理解することがキーになります。富の基盤は時間です。
4)分散投資・・分散投資は健全な投資判断を下し、金融市場に賢く参加し“続ける”論点となります。実は参加することに一定のマージンがかかるのはどんなリスク資産でも同じこと。重要なのは、自分との折り合いをつけて、“退場しないこと”がなにより大切な視点となるのです。
次回の投稿において、これら4つの論点を更に深堀りしてみましょう。
富や投資については、こちらの1冊「富とは、心理次第!?『サイコロジー・オブ・マネー』モーガン・ハウセル,児島修」やこちら「【時間を、信頼の貯蓄に変える!?】投資思考|野原秀介」も大変刺激的です。ぜひご覧ください。


まとめ
- 資本主義をハックせよ?――仕組みを変えようとするのではなく、利用しましょう。
- まず自己理解!――まず増やすのではなく、まず自分を見つめることから始めましょう。
- ポイントは、受動的所得!?――お金に働いてもらう戦術を展開しましょう。
