まだまだ伸びる!?『ゾーンに入る EQが導く最高パフォーマンス』ダニエル・ゴールマン

ゾーンに入る EQが導く最高パフォーマンス
  • 自分自身と組織の最高のパフォーマンスを引き出すにはどうしたらいいでしょうか。
  • 実は、EQを捉えることが重要かもしれません。
  • なぜなら、人は、感情(エモーショナル)がよりよい状態で、ゾーンに入りやすいからです。
  • 本書は、EQとそうした観点で、私たちを見つめることの可能性を考える1冊です。
  • 本書を通じて、生きがいを感じ、生産性が向上する1日の作り方を知ります。
ダニエル・ゴールマン,ケアリー・チャーニス,櫻井祐子
¥2,178 (2025/03/10 07:33時点 | Amazon調べ)
\楽天ポイント4倍セール!/
Rakutenで探す

フロー状態を歓迎しよう?

フロー体験というものがあります。

フロー体験とは、心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱した概念で、人が活動に完全に没入し、高度に集中している状態を指します。この状態では、時間感覚が歪み、自己意識が薄れ、深い満足感や喜びを感じます。

フロー体験の主な特徴は、以下のとおりです。

  1. 明確な目標がある
  2. 即時的なフィードバックがある
  3. 挑戦と能力のバランスが取れている
  4. 行動と意識の融合
  5. 注意の集中
  6. 失敗への恐れがない
  7. 自己意識の喪失
  8. 時間感覚の変化
  9. 自己目的的な体験(活動そのものが報酬)

フロー体験は芸術、スポーツ、学習、仕事など様々な活動で起こり得ます。例えば、音楽家が演奏に没頭している時、アスリートが「ゾーン」に入っている時、プログラマーがコーディングに没頭している時などです。

フロー状態に入るためには、自分の能力と課題のバランスが重要です。課題が簡単すぎると退屈を感じ、難しすぎると不安を感じますが、適切なレベルの挑戦があるとフローが生まれやすくなります。

でも、このフローな状況というのは、日常でなかなか起きません。「とらえどころのない」体験について、本書では、どうしたらそうした状況を意識的に作れるのか?について、説きます。

フローな状況が続くことがあれば、私たちはものごとに集中して、とてつもないプロダクティビティ(生産性)をアップさせることができるからです。

あなたにとって重要な何らかの基準で、生産的な「よい日」を過ごした、と満足できる状態だ。

最適で、最高の日を積み重ねていくことができれば、私たちの人生というのは、さらに輝くものになっていくに違いありません。なぜなら人生というのは、1日1日の少しずつの積み重ねであるからです。

自分の感情を知的に活用する能力、すなわちEQなのです。

EQが最高のパフォーマンスを引き出すヒントになります。

もっと平たく言うと、「よい気分」というものが最高のパフォーマンス、つまり「ゾーン体験」につながると言ってもよいでしょう。

この状態では、私たちが認知能力を発揮するための条件である、脳が「警報装置」を発動されていない状態が求められます。同時に前向きなモチベーションを司る脳回路が活発に機能していることも大切です。

こうした状況の時に、思考は鋭く明晰になり、能力をいかんなく発揮することができます。

気分がよいと、問題をスイスイ解決できるから、よい日を過ごすことができ、ますます気分がよくなる。達成感は満足感だけでなく、高揚感にもつながる。

こうした状況のときわたしたちが獲得できるのは、以下のような特徴です。

  • 創造性がより高く、障害を乗り越え甲斐のある挑戦とみなす
  • 生産性がより高く、質の高い仕事をこなす
  • 明るく気分がよい
  • 頭が冴え渡り、より大きな目標に向かって小さな勝利を積み重ねる
  • 楽観的な見通しを持ち、全力で仕事に取り組む
  • 周りの人と支え合う関係にある

これらを高めるのが、EQが高い状態です。

自己認識を高める?

EQとは、自分自身や他者の感情を認識・理解し、適切に管理・活用する能力を指します。この概念は1990年代にピーター・サロベイとジョン・メイヤーによって提唱され、その後ダニエル・ゴールマンによって広く知られるようになりました。

EQの主な構成要素は、以下の4点です。

  1. 自己認識(Self-awareness):自分の感情を理解し、それが自分の思考や行動にどう影響するかを認識する能力
  2. 自己管理(Self-management):衝動的な感情をコントロールし、適切に表現する能力
  3. 社会的認識(Social awareness):他者の感情を理解し、共感する能力。特に「共感力」はEQの重要な要素
  4. 関係管理(Relationship management):良好な人間関係を構築・維持する能力、チームでの協働やリーダーシップに関わる

EQが高い人には、次のようなポジティブな特徴が見られるようになります。

  • 感情のコントロールが上手い
  • ストレス耐性が高い
  • 対人関係が良好
  • コミュニケーション能力が高い
  • 変化に適応しやすい
  • 問題解決能力が高い

EQはIQ(知能指数)と異なり、年齢とともに向上させることが可能だと考えられています。

自己認識を高める、感情を言語化する練習、意識的に共感力を養うなど、様々な方法でEQを高めることができます。

ビジネスの世界では、リーダーシップやチームワーク、顧客サービスなど様々な場面でEQの重要性が認識されており、教育や企業研修などでもEQを高めるプログラムが取り入れられています。

ある基本定義によると、自己認識とは「自分がどう感じているのか、なぜそう感じているのか、その感情が自分のやろうとしていることにどうプラスまたはマイナスになるのかを理解する能力である」。

上述の通り、自己認識というのがEQ向上の欠かせないファクターとなります。

4つの自己認識を高める方法を知りましょう。

1)今この瞬間に注意を向ける。
2)心の状態を確認する。
3)頭の中の独り言をコントロールする。
4)集中を保つ。

これらの自分を知る視点を使って自分を見つめることによって、EQを高めることができます。

また、本書内では、キャロル・ドゥエック教授のマインドセット理論も取り扱っています。これはマインドセットを次の2つのタイプで分けたことに特徴があります。

ドゥエック教授のマインドセット理論は、人々が持つ能力や知性に対する基本的な考え方(信念)に焦点を当てたものです。彼女は主に2つのマインドセットを提唱しています。

  1. 固定マインドセット(Fixed Mindset)
    • 能力や知性は生まれつき決まっており、基本的に変えられないという信念
    • 失敗を避け、常に賢く見られることを重視する傾向がある
    • 挑戦を避け、批判に敏感で、他者の成功を脅威と感じやすい
    • 「私には数学の才能がない」「彼は生まれつき運動神経が良い」といった考え方
  2. 成長マインドセット(Growth Mindset)
    • 能力や知性は努力や経験を通して成長・発展させられるという信念
    • 失敗を学習の機会と捉え、挑戦を歓迎する傾向がある
    • フィードバックを成長の糧とし、他者の成功からインスピレーションを得る
    • 「まだできないだけだ」「努力すれば上達する」といった考え方

マインドセット理論の重要な点は、これらが特性ではなく信念体系であり、変えることが可能だということです。ドゥエック教授の研究によれば、成長マインドセットを持つことで学習成果が向上し、困難に直面しても粘り強く取り組めるようになります。

この理論は教育現場や企業、スポーツチームなど様々な分野で応用されています。

  • 教育では、子どもたちの努力やプロセスを褒めることで成長マインドセットを育む
  • 企業では、失敗を学びの機会と捉える文化を作り、イノベーションを促進する
  • 個人の成長において、「まだ」という言葉を使うことで可能性を開く(「できない」ではなく「まだできない」)

マインドセット理論は、人間の潜在能力の発揮と継続的な成長において、私たちの持つ信念がいかに重要かを示しています。

キャロル・ドゥエック教授の1冊については、こちら「【あなたは硬直型!?それとも、しなやか型!?】マインドセット:「やればできる!」の研究|キャロル・S・ドゥエック」もぜひご覧ください。

自分を抑制してしまうような「仮定」を排除してみることもEQを向上させるきっかけになるということがよく分かるのではないでしょうか。

「努力すれば新しい能力を身につけられる」と信じられるかどうかも、自分の感情を作り上げ、「よい気分」を見出すとても重要な論点なのです。

ダニエル・ゴールマン,ケアリー・チャーニス,櫻井祐子
¥2,178 (2025/03/10 07:33時点 | Amazon調べ)
\楽天ポイント4倍セール!/
Rakutenで探す

EQはますます大事?

EQが高ければ、IQやその他のスキルセットをカバーして、自分の能力を最大限にひいだすことができるようになります。

例えば、IQなどが必要なのがもしかしたら、学生時代だけかもしれません。むしろ大人になってから多くの時間において、どちらかというとEQがとても大切になります。

学業成績がいくら優秀でも、とてつもないスキルを保有していても、正しいことを見極められる視点を持っていても、社会で多くの人と関わって、価値を創っていくためには、自分自身と、そして他者とのつながりの中での感情の重要性を認識し、それをコントロールできるということは何よりも重要なスキルセットとなるのです。

そして、このEQというのは、後天的に伸ばすことができるということも、欠かせないポイントでしょう。

私たちは、自分自身のことを意識して、自己認識をUPさせることができれば、EQをより高めることが可能です。

これからAIが導入されて、人間と協働されていく中で、EQはさらに重要な指標になるでしょう。

なぜなら、定型的な業務や、研究業務などにおいて、AIがさかんに活用される中で、むしろ、組織のリーダーシップや経営においては、なぜその業務を推進するのか?あるいは、なぜ他者とともに協業するのか?という論点をみなで考え、そして実装していくようなEQカルチャーのような取り組みが相対的に重要性が高まるからです。

EQは未来においても、優れたリーダーや組織を差別化する能力であり続けるだろう。

アップルのCEOティム・クック氏も、新規採用者に求める能力についてEQに近い能力を掲げています。

  • 専門分野の技術的知識。この認知能力には、幅広い「好奇心」、つまり多様なものごとへの関心も含まれる。CREIOの会員クラウディオ・フェルナンデス=アラオスも数年前、未来に必要な資質として好奇心を挙げた。これから見ていくように、既存の専門知識を土台として幅広い情報を収集することは、イノベーションの第一歩である。
  • 強い目的意識と、環境への配慮、自分が生まれた時よりも世界をよりよい状態にしてこの世を去るという決意。自分を超えた目的や使命は、最高の仕事をしようというやる気を搔き立てる。組織にも同様に、目的意識と人々の生活向上というビジョンを従業員に持たせるような使命が必要だ。これがなければ、どんなに報酬をもらってもやりがいのある仕事にならない。
  • イノベーションのための協働。チームとして協力し合えること。CEOのクックによれば、アップルのプロダクトイノベーションが他の追随を許さないのは、個人の創造的なひらめきというより、人々が力を合わせて生み出す新しいアイデアのおかげである。創造性とは「発想を転換」して(シンク・ディファレント)、安易で月並みな解決法にとらわれずに、「違う角度から」考えることをいう。

これらの要素は、間違いなく、なぜ私が(自分が)ここにいるのか、を説くもので、そうした着眼点を持って、仕事や日常生活を送れるかどうかということは、とても重要であるということを示唆します。

まとめ

  • フロー状態を歓迎しよう?――自分が集中し、周囲とよりよい協働をつくるには、EQが欠かせません。
  • 自己認識を高める?――自己認識によってEQが培われます。
  • EQはますます大事?――AI時代だからこそ相対的に重要なスキルセットとなります。
ダニエル・ゴールマン,ケアリー・チャーニス,櫻井祐子
¥2,178 (2025/03/10 07:33時点 | Amazon調べ)
\楽天ポイント4倍セール!/
Rakutenで探す
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!