ワクワク回路フルスロットル!?『Master of Change 変わりつづける人』ブラッド・スタルバーグ

Master of Change 変わりつづける人
  • 変化の時代において、どうしたら変化を前向きに捉えることができるでしょうか。
  • 実は、自ら率先して変化をしていくことです。
  • なぜなら、すると、相対的に社会の変化を体感するというよりも、自らの中に取り込みさらに、変化を創り出すムーブメントの中核を担うことができるからです。
  • 本書は、そんな変化をしていくためのマインドセットを鍛えるための1冊です。
  • 本書を通じて、最強の生存戦略を身につけるための視点を得ることができます。
ブラッド・スタルバーグ,福井久美子
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人は変化するもの?

前回の投稿「変化こそ最上位戦略!?『Master of Change 変わりつづける人』ブラッド・スタルバーグ」に続き、今回もこちらの1冊『Master of Change 変わりつづける人――最新研究が実証する最強の生存戦略』のレビューを続けさせていただきたいと思います。

前回の投稿では、人という生き物は、実は自分が想像している以上に変化をし続けている生き物であるという事実を確認してきました。

人生は思っているほど安定したものではなく、平均して18ヶ月に1回もの頻度で人生を揺るがす出来事を体験しているという事実があるのです。

この常に変化する状況に対応するには「強靭な柔軟性」が不可欠であり、単に元の状態に戻る「ホメオスタシス」ではなく、より成長した状態へと進化する「アロスタシス」の考え方が重要なのです。

それは、つまり変化を経て、元に戻るのではなく、変化を得て、また新たなものに成長するということです。

人間の脳には「神経可塑性」という環境に適応する機能が備わっており、私たちは本来、変化して成長するように設計されています。変化のサイクル(秩序→無秩序→再秩序)は自然なプロセスであり、これを受け入れることが重要です。

また、苦しみは、「痛み×抵抗」という方程式で表され、変化に抵抗するほど苦しみが増すという考え方も重要です。

柔軟でブレないマインドセットを持つためには、「拒否と抵抗という負荷を手放すこと」と「人生は困難なものだと予測しておくこと」です。

この2つのマインドセットがあれば、快く変化と向き合っていくことが可能になるためです。

個体群生態学の原則から学べるように、硬直的な組織構造や特定の特質への過度な執着は長期的には弱みになりやすく、変化に柔軟に対応する能力が個人にも組織にも欠かせないのです。

予期せぬ変化に直面すると、扁桃体と呼ばれる脳の領域が活性化します。

ホモ・サピエンスの歴史の中でも、扁桃体は初期に進化した古い領域だ。

天敵に襲われた時に、わたしたちに蹴ったり、叫んだり、あるいは、逃げたりするような部位です。

この領域の主要部分は、また同時に“怒りの回路”と呼ばれています。アイデンティティや安定感が脅かされた時に、ほぼ確実に活性化されるからです。

脳の別の領域である大脳基底核は、線条体と呼ばれる小さな構造から成る神経細胞群を通して、扁桃体からの情報を直接受けます。線条体のイメージは、大脳基底核と扁桃体だけでなく、脳内のその他のさまざまな領域につながる多車線の幹線道路のようなものだと考えるとわかりやすいです。

大脳基底核も扁桃体と同じように怒りに関して機能しますが、同時に、興味深いのは、“ワクワク”という気持ちに反応するのです。

計画を立てたり問題を解決したりするのを促す働き家があり、衝動的に逃げたりせずに主体的に動くとき、その根底では確実にこの部位がしっかり機能しています。

ワクワク回路全開で!

人の脳は、リソースを絶えず奪い合っています。

“怒り”か、“ワクワク”か。

絶えず葛藤が繰り広げられていると言っていいでしょう。

ワクワク回路がつながると、怒り回路は遮断されてしまうということだ。

そして事実として、これらの回路は、筋肉と同じように、使えば使うほどよく使えるようになるということです。

つまり鍛えられるのです!!

私たちは、変化に際して、怒りや恐怖を覚えることだってできるのですが、習慣を積極的に変えることで、その事実を“ワクワク”として捉えることがもっともっと可能になるのです。

「意図的」な行動を取るたびに、神経伝達物質のドーパミンが放出されます。このドーパミンは、ワクワク回路の燃料になります。

トーパミンが放出されると、たとえ困難で不安定な小道を歩いている時でさえ、気分がよくなってやり続けようという意欲が湧いてくる。ワクワク回路に注がれる燃料が多くなれば多くなるほど、怒り回路が優勢になる可能性は低くなる。

ワクワク回路が優勢であれば、怒り回路は自動的に封鎖します。これはとても重要なことです。

なぜなら、一度、生産的なリズムに乗れば、脳は、有害な激情に乗っ取られなくなるからです。

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ストア派と自然を見方に?

ワクワク回路を止めないためにも、自分がコントロールできるものとそうでないものをしっかり区別できているかどうか、ということも重要な論点になります。

なぜなら、コントロールできないものにいくら集中していても、なかなか成果を得ることができずに、ポジティブな気持ちや活動を持続させることが難しいからです。大切なのは、当然コントロールできることです。

コントロールできることに対して、アクションを続けていれば、自己効力感を高めていくことがさらに可能になるでしょう。

絶えずコントロールできることにフォーカスして、常に「実験しているのだ」というマインドセットで、言動を積極的に、自発的に作り上げていくことです。

時に不安定なさなかに、身を置きながら、状況を整理し計画を打ち立てていくためには、畏怖の念をいだくという機会を設定できるかも大切になります。

例えば、大自然の中で過ごす、感動的な音楽を聴く、心を揺さぶられるような芸術を鑑賞するなどなど。心を磨くアクションは、身近な体験によって培われ、そして、脳の機能を解放することに繋がります。

コントロールできるかどうかについては、ストア派の思想が、そして畏怖の念については、自然体験に関する1冊がおすすめです。ぜひこちらの1冊「【航海は、まず帆を張ることから?】迷いを断つためのストア哲学|マッシモ・ピリウーチ,月沢李歌子」やこちら「自然で、自分を再起動!?『NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる』フローレンス・ウィリアムズ」もあわせてご覧ください。

変化をポジティブに捉えられるためのいくつかの方策を参考にしてみると良いでしょう。

1.非二元論を身につける・・世の中には、白黒はっきりついているものばかりではありません。自分の行動やものごとの見立てだって白黒はっきりついているものばかりではないのであるということを前提に、あいまいの中でバランシングしていくことも重要ではないか?と気づいてみましょう。

2.存在思考でいく・・所有志向とは持っているもので自分を定義するということです。ではなく、いまここに存在している自分を素直に認めてみましょう。何をまとっているかではなく、自分の心の情報を素直にキャッチしてあげるのす。キーフレーズは、こちら。「わたしは、Xを持っている人間だ」ではなく、「私は、Xをやる人間だ」。

3.現実にあわせて「期待」をアップデートする・・人間の脳は案外高性能な予測マシンです。現実と予測がマッチしているかどうかで自分の行動を見定めています。予想よりもわずかでもよりよい結果が得られれば、気分が良くなりパフォーマンスがUPします。だから、常に適度な「期待(予測)」を持つように心がけて、自分の期待値調整をしながら、進んでいきましょう。

4.混乱期こそルーティンを!・・周りが混乱しているときこそ、その逆張りをしている人に中長期の神様は微笑んでくれるものです。ルーティンは魔法のように働きかけてくれます。ルーティンのおかげで、意志や動機に頼らなくても機会的に自分自身の行動を創っていくことができるからです。そうした継続性こそが自信になり、変化を歓迎するマインドセットを育てることになります。

5.無理やり意味や成長を求める必要はありません。淡々と日々の行動を自ら創り出しながら、待つということも忘れずに。でも、そうした中でも、絶対に自分を信じること(自分を大切にしてあげること)も忘れずに。

まとめ

  • 人は変化するもの?――そもそもわたしたち自身が絶えず変化をしている生き物です。
  • ワクワク回路全開で!――自主性を大切にドーパミンを燃料として、ワクワク回路をフルスロットルで生きましょう。
  • ストア派と自然を見方に?――自分の価値観を育てていきましょう。
ブラッド・スタルバーグ,福井久美子
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