- どうしたら、子育てをよりよく捉えていくことができるでしょうか。
- 実は、「つぶさない」という最低限のポイントを押さえることが重要です。
- なぜなら、子どもは自ら伸びるからです。一方、その環境を作るかが欠かせないのです。
- 本書は、よりよい子育てのスタンスを見出す1冊です。
- 本書を通じて、子どもとの関係性をもう一度検討する視点を得ることができます。

子どもは自律をめざすひとりの人!?
大切なこと、それは、「伸ばすことを考えるよりも、まずは、いかにつぶさないか」を考えることです。
人はそもそも狙うように育ってくれるものではありません。それはお父さん、お母さんだって、自分自身を振り返ってみると、「ああそうかもなぁ」と思ってしまうことってあるのではないでしょうか。
子どもは(大人も含む)は、実は自ら育つ機能を有しているのです。
その機能を大切にして、邪魔しないこと、そして、その機能を活かせる環境をいかに用意してあげられるか?ということがとても重要な論点なのです。
これは、もちろん、諦めや放任主義ではありません。
子ども自身の成長する力を信じて欲しいのです。
そうした子どもの本来的な生き方を応援するためには、なにより重要なことがあります。
それが、世の中(世間)の基準に惑わされないという覚悟です。
大人が自分なりの哲学、ものごとの見立て、見方、軸、芯などなどそうした柔軟で確固たるものを持っていない限り、子どものより良い部分について、しっかり向き合うことは難しいのではないでしょうか。
なぜなら、何を信じればいいのかわからなくなってしまうためです。すると、世間や世の中の一般常識と照らして、「自分の子どもを攻撃するような」スタンスを取ってしまうことだってあります。
「だれだれと比べてこうだ」と思ってしまったが、最後、徹底的に子どもを他者と比較して、その子の持つ自ら育つ力を活かすことが難しくなってしまうのです。
子どもにも育つ環境が必要だとすれば、大人自身にも、子どもともに歩むための覚悟と、自分自身がよりよく育つ環境というものを求める姿勢が重要なのです。
「自分の幸せくらい、自分の心で決められる大人になれ」。
これが本書のメッセージです。
両親の「子育ての軸」があまりに漠然としていたり、世の中の基準を当たり前のように採用してしまっていると、子どもは困惑してしまいます。
自分自身の幸せの基準をよく考えて、子どもにもそういうことを検討してみることの楽しさ、未来を作っていくドキドキ感を共有できると良いですね。
最低基準をまず満たそう!?
本書が提案する「子育てのための軸」については、次の2点を参考として掲げます。
1.メシが食える大人
2.モテる人
人として生きていくための最低限の取り組みを行っていくためには、これらの特徴を有していることが欠かせません。
これら2つを満たしている人は、「将来、自律して幸せな生活を送れる人」のことです。
自分で変化の多い社会を乗りこなしていくためには、不確実性に前向きにトライし続ける工夫ができる視点とバイタリティと、かつ、自分一人だけではなく、みんなのチカラを活かしながら進んでいけることが重要になります。
2つの特徴を強化させていくためには、まず大切にしたいのは、子どもの「自己肯定感」と「没頭経験」を大切にするということです。
そのためには、声掛けひとつとっても重要です。
例えば、「さっさとやりなさい!」という声かけ、これNGです。というのも、「大人の基準」でしかないからです。さっさとできるのは大人の基準や都合であって、子どもからしたらもっと時間がかかることかもしれないし、あるいは、時間をかけて、手応えを得ていくアクションも重要なのです。
「子どもは、自分とはまったく違う習性を持っている」。そのような認識のもと、改めて子どもについて学び直すことが、つばぶさない子育てをするうえでは非常に重要です。
重要で欠かせない視点は、子どもを「所有物」ではなく、「ひとりの自律していく人」として付き合っていくということです。
ベースに持つべきは、子どもが自ら、そして家族とともに、幸せに暮らすために自分の力で考え、そして歩みを続けていけるかということです。
「その家族らしく(自分らしく)生きていくために必要な軸」です。
そうしたことを明確に自分の中で持てるかどうか、家族みんなで検討をしながら、子どもにもそうした生きるスタンスを身に着けられるような問いかけや気付きのアクションが欠かせないでしょう。

自信を持つということ?
あまり、子育てについて、テクニカルな問いかけや接し方などに集中するのもどうかな・・と思ってしまいますよね。
そうなんです。大切なのは、「無条件の愛を注ぐ」ということが、重要です。
なにより子どもにとって、この世界は、知らないことばかりです。そうしたいろいろなことがある世界を「信じていいものである」ということ、それに対して希望を持っていてよいということを、いかに持てるか、実はとっても大切です。
「自己肯定感」だけでなく、「世界肯定感」も持てるようになります。
世界肯定感とは、この世界は素晴らしい!良いことがたくさんある!捨てたもんじゃないね!ということを、実感をともなって、信じることができるという感覚です。
世界に対する安心感があれば、きっと絶え間ない行動や発想を見直していくようなそんな取り組みが継続的に可能になりそうです。
世界が良いものであるということが、見出されるためには、子どもにとっての世界、つまり、まずは、身近な家族やご近所関係において、信頼関係を見いだせるかどうかです。
具体的には、「詳しく・認める・全身で」愛を持って、接していくということにほかありません。
心理的安全性がキーです。それがあれば、自らの特性や特徴にあわせて、没頭の体験を安心して深堀りしていくことができるようになるでしょう。
自分が気になること、好きなこと、どうしても気になってしまうことについて、深堀りをしていくことで、「自分の人生という物語を生きる」ということにつながっていくのです。
没頭体験が、これからの「人生のコア」になる。
これらのことを俯瞰してみると、なにより「自信」なのかなと思います。
この場合の「自」は、自分自身でもありますし、自分が存在している世界かもしれませんし、自分の家族や友達などの人間関係かもしれないし、さらには、自分の未来ということかもしれません。
いずれにしても、そうした周囲の関係性も含めた自分を信じる気持ちを持てるかどうかが、本質的な学びには不可欠であるということなのでしょう。
試行錯誤に没頭できる環境を作ってあげることが、キーになります。
大人が設定するべきこと、じゃまをしないこと、その線引には、私たち大人が子どもといかに向き合うかどうかということが避けて通れない道になるでしょう。
子どもに何かを実施してもらいたい!そういうふうに考えた時に、重要なのは、まず大人がそういうことを習慣にすることです。
例えば、勉強や読書。
大人が楽しんでやっている姿を見せてあげれば、子どもだって気になります。
結局は、大人の姿勢や習慣が子どもに受け継がれていくということですね。
子育てについては、こちらの1冊「【「叱る」から人は、まったく学ばない!?】〈叱る依存〉がとまらない|村中直人」も大変興味深い内容です。ぜひご覧ください。

まとめ
- 子どもは自律をめざすひとりの人!?――子どもをひとりの人としてフラットな関係性を見出しましょう。
- 最低基準をまず満たそう!?――人として人生を立ち上げていくために2つの論点を重視しましょう。
- 自信を持つということ?――子どもが自信を持てるように、大人も自分の習慣を見直しましょう。
