- 父親って何でしょうか。
- 実は、なるものではなく、子どもと共に育っていくものかも。
- なぜなら、母親に比べれば、役割を自ら獲得せねばならないからです。
- 本書は、放送作家・鈴木おさむさんによる、育児・子育て記録です。
- 本書を通じて、作家さんの目線による父親になっていく様子を見つめてみましょう。
父勉(ちちべん)!?
本書『ママにはなれないパパ』は、放送作家の鈴木おさむさんが、妻である森三中の大島美幸さんとの間に生まれた息子・笑福(えふ)くんの誕生から3歳になるまでの育児体験を父親目線で綴ったエッセイ集です。
鈴木おさむさんは、息子の誕生を機に放送作家業をほぼ休業し、育児に専念することを選択しました。本書では、育児に向き合う中で感じた母親の偉大さや、自身の無力さ、育児の大変さと楽しさなど、父親としての気づきや経験がリアルに描かれています。
また、全53話のエッセイと「父の気づき」と題したコラムが収録されており、父親ならではの視点で育児の喜びや苦労が語られています。
そんな鈴木おさむさんは、「育休」という言葉に違和感を覚える一人だそうです。
僕は育休という言葉が個人的には好きじゃなく、父親になることを勉強するから「父勉(ちちべん)」という言葉を勝手に作って言っています。「父勉」のためにお休みをいただくと。
父親には、子どもが生まれたら、はい!父親です。というふうになれるものではなく、積極的に子どもに関わっていく中で、次第になっていくものです。
子育てしてると、意外なことで、夫婦で達成感を感じることができる。
子どもは生きるのに本当に必死です。まず自分の身体を生かすためになんとか、母乳を飲まないと行けないし、少し大きくなってきたら、自分が存在する世界の仕組みをがんばって知ろうとします。
それは、まるで自分という個性・特性、そして身体性をどうしたら活かすことができるのか考えているふうでもあり、そのまえに色々知らないといけないことがたくさんある!と言わんばかりに、活動的になります。
同じように、父親(男)というのも、そのくらい自分の存在というものを、みしみしと考え続けなくてはならない生き物もないでしょう。
結局は全力で子どもにぶつかり稽古していくよりほかないのですが、想像以上に“大人”であったはずの自分の知らない一面、未熟な一面、弱い一面と対面することになり、それはそれで、成長期なのです。
全力で向き合えば!?
鈴木おさむさんも43歳。43歳といえば、社会では、当然立派な大人と言われる年齢です。
しかし、子育てをする中で、奥さまの大島美幸さんと喧嘩したり、やり取りするなかで、自分の未熟さに打ちひしがれることも多々あったようです。
僕も日々生活していく中でもうちょい「確認」することを覚えようと胸に刻む。43歳になって、そういう人間の根本の部分を変えていくって難しいけど、でも、変えなきゃならない。43歳。日常生活で、もっといろんなこと「確認」します。
家族が増えたら、いままでのプライドをほとんど捨てて、自分自身をまず変えないといけない。
そうでなければ、本能のままに生きる人間と真正面から向き合うことなんて無理だってことに気づくのです。
親が子供を育てるのではなく、子供が親を育てるのだろう。
赤ちゃんから、子どもへ。小さな我が子が成長していく過程は、自分の弱点に気づける絶好の機会でもあるといえるでしょう。
想像以上にいっぱいいっぱいになってしまう自分を冷静に見つめて、向き合い、これまで当たり前だったことを一度崩壊させて、再構成、再構築していくような、そんな気持ちになります。
みんなで育つ!
家族の関係性というのも、同時に子どもといっしょに育っていきます。
これまでいなかった新しい人間が生まれ育つ過程で、当然のように家族の中での関係性もより豊かに強くなっていきます。
でも大切なのは、そうした関係性も意識していかなければ、より良い方向へいかないかもしれないということです。
とある日、鈴木おさむさんが帰宅すると、大島美幸さんとお子さんがお風呂タイムだったそうです。そこで、「お父さん、毎日頑張って新しいお仕事しているんだよ。もうちょっとで終わるから応援してあげようね」とお話されていたそうです。
なぜ、近頃、お父さんが家にいないのか、何をしているのか・・・そして、だからこそお子さんもお父さんとの信頼関係、絆を弱らせないで済んでいたのですね。
父親のことを理解してくれる子供。その陰に、妻の力あり。
これって、その家族の中で、誰がどういうことをしているのか、何のために活動しているのかを確認し合うのって、とても大切なんじゃないかって思いました。
もちろん、家族は家族で、父・母・子というふうに役割はなんだか所与のものとして決まってしまいがちなのですが、でもそれで関係性がより深く作れるということではないですね。
例えば会社だって、部長、課長、現場という肩書はあるかもしれませんが、本当に大切なのは、それぞれの人がどんな思想で、どのように会社に関わり合っているかということを、互いに理解し、共感ベースを作れるかどうかです。
もしかしたら、家族だってそうなのです。
役割ではなく、それぞれのメンバーの特性を互いに知り、また、絶えず成長していくから、その過程も共有しながら、ちょっとずつ関係性を変えて、ずらして、より強固にしていくのでしょう。
もちろん、母親は父親と同じ、いやまったく想像以上に別の次元で、自分自身を変え続けていく存在です。
子供のためなら、なんでもする。その気合が母親をどんどん強くしていく。
子どもという真剣な存在に向き合う中で、大人はとても良い影響を与えられるのです。
子供心は大人をワクワクさせる。自分はそれを忘れていないか?
子どもとともに、自分を振り返り、そしてさらに育てていくきっかけを得る。それは、単なる子育てではなく、自分育てでもあり、そしてその結果として、家族が育まれていくということなのです。
父親について考える時、こちらの1冊「【子育ては、子どもだけではなく、「自分自身」と向き合うこと!?】父と子の絆|島田潤一郎」もおすすめです!ぜひご覧ください。

まとめ
- 父勉(ちちべん)!?――自分の当たり前を否定し、再構築していくことができます。
- 全力で向き合えば!?――たくさんのものを得ることができます。
- みんなで育つ!――それが、子育てであり、自分を育む学びを得るということです。