重要視点は2つだけ!?『君は戦略を立てることができるか』音部大輔

君は戦略を立てることができるか
  • 戦略とは何でしょうか?
  • 実は、2つの要素で定義されるシンプルなものかも。
  • なぜなら、戦略とは本来実用的なものなのです。
  • 本書は、戦略をシンプルかつ明確に説く1冊です。
  • 本書を通じて、戦略とは何かを知り、それを使うためのヒントを得ます。

戦略とは?

戦略とは、2つの要素からなります。

まずは「目的」です。達成したい目的がなければ、戦略は必要ありません。

実は「目的」が戦略において最も重要なのですが、案外見落としがちなものです。

私たちの多くは、そもそも明確な目的を持ちえて生まれてきたわけではありません。目的を持つということは、意識的に設定しなくては、自然に湧き出てくるものではないのです。

生きるためには、必ずしも「目的」はいらないかもしれませんが、「目的」を持った

また、もう一つの要素として重要なのは、「資源」です。

使える「資源」が限られていない!ということを想定するほうが、案外難しいのではないでしょうか。多くの場合、私たちにとって、「資源」はつねに限られています。

企業で言えば、経営資源のヒト・モノ・カネ・情報かもしれないし、それらを組み合わせた、強み・ケイパビリティかもしれないし、何より、人生戦略を考えた場合は、トキというとても重要な資源が限られていることを知ります。

なぜ戦略が必要ですか――
達成すべき 目的 があり、
資源が 有限 だから。

戦略とは、そういう時にこそ、意識的に作っていく必要があるのですね。

もっというと、戦略とは、「目的達成のための資源利用の指針」であるとも捉えることができそうです。

戦略ステップとは?

重要なのは、「目的」と「資源」この2つに集中して見ることです。

明確な戦略が不足している場合は、この2つの要素についての吟味が足りていないことが多々あります。そもそも「目的」がない!とか、具体的に「資源」の利活用を特定できていないとか。

反対に言えば、この2つに影響を与えない要素は、無視してもOKということになります。「目的と資源」に関係しないことは、たとえ世間的に、社会的に大きな影響を及ぼすようなことであったとしても、自分の戦略には影響しないので、それは横目に見るだけで問題ないのです。

反対に、注目度が低い動きや環境の変化でも、自分の「目的」や「資源」に大きな影響を及ぼす可能性があるものについては、重要トピックスとして取り扱う必要があるということです。

実は、「目的」や「資源」について着目することで、戦略変更のタイミングも見えてきます。

例えば、従業員として社内で働くことを考えてみましょう。新しい組織ができたり、あるいは、新しい上司が着任したり、新商品が開発された時などには、新しい戦略を見出したくなることもちらつくかもしれません。

それは、会社の戦略かもしれないし、部門・部署単位の戦略かもしれないし、あるいは、もっというと個人の「人生戦略」についてかもしれません。

でも上述の通り、これらの変化が「目的」と「資源」に影響を与えない限り、戦略を変更する必要はありません。

戦略を変更するタイミングは、あくまで「目的と支援」に影響が及ぶときなのです。

戦略を作るときには、「目的」と「資源」について以下のステップで、順番に考えてみると良いでしょう。

1.目的を明示する
2.目的を再解釈する
3.資源を探索する
4.資源優位を確立する
5.文章に書く
6.組織に展開する

まず、「目的」というのは、明確に言葉で描き出す必要があります。

1)達成したい状況や成功の状態を明確に記述しましょう。
2)その成功が関係者全員の共通の理解として伝わるように工夫すること。

この2点を意識しながら、ステップを進めていくことをおすすめします。戦略とは、独りよがりのものではなく、組織全体と共有しながら、一貫性を持った行動を引き出すためにも機能するべきものなのですね。

目的を明確にして組織内で共有が進むと、組織全体が論理的になることがあります。

さらにステップ2の再解釈というのもポイントです。

目標達成の状態をさらに具体的に描き出すステップと言ってよいです。

例えば、以下のような問いの言い換えを試みます。

  • 「シェアが1位になったということは、どのような市場状況が生まれたのか?」
  • 「売り上げ目標を達成したということは、どのようなユーザーの支持を得て、どのような商品構成だったのか?」
  • 「私たちがその山に登頂できたということは、どのルートを通ったのか?」
  • 「志望校に合格したということは、どの科目で何点くらい取ったのか?」
  • 「30年後に、弊社が繁栄を続けていたということは、どのようなビジネスを中核としているのか?」

ポイントは、「うまくいくとしたら?」ではなく、「うまくいきました。何が起きたのでしょうか?」という問いの構文を使って、バックキャスティング(=未来をすでに実現した確かな事実として過去形で質問する)を促すということです。

資源優勢を確保せよ?

戦略策定において、企業の永続性、つまり収益性の確保について検討をする機会も多くあるでしょう。

その際には、「目的」の明確化にむけて、以下の場合分けも検討視点としてみると良いでしょう。

大目的 目的 解釈1 解釈2・要素に着目 活動例
収益性の改善 数量増加
(売り上げ増加)
購入者数の増加 カテゴリー新規者の増加 ニーズ認知、カテゴリー試用の提案、きっかけ提供
ブランド新規者・再試用者の増加 ベネフィット認知、選択理由の提案、試用きっかけ提供
再購入者の増加(脱落の抑止) 満足強化、再購入きっかけ提供、ルーチン化
購入者あたりの使用者数の増加 家庭内試用などの促進
使用頻度の増加 新しい使用機会/時間/場所などの提案、ライン拡張
1回あたり使用量の増加 正しい使用量の啓蒙・促進、大容量、家庭内在庫量、同時使用のライン拡張
利益率の改善 価格の上昇 販売単価の値上げ(e.g.1箱あたり) 改良・新商品、新機能、増量、課金方法変更(e.g.サブスク)、販路変更(e.g.D2C)
単位単価の値上げ(e.g.1㎡あたり) ㎡単価、期間単価、回数単価、満足単価などの増加
費用の削減 変動費の削減 新処方、材料変更、製造法変更、店頭販促
固定費の削減 チャネル、コミュニケーション、工場、研究開発・人件費

同時に、「資源」の全容を細かく把握することも重要です。

次のような視点を持って、確認していくようにしましょう。

  • 内部資源
    • ヒト資源
    • 目に見えない時間、経験や知識資源
    • ブランド関連の資源
    • 広告施策、製品などの資源
  • 外部資源
    • インフルエンサー
    • 競合の反発力

戦略の立案というと、とても複雑で難解なものを想像してしまうのですが、その構成要素を「目的」と「資源」の2点に絞り込むことができれば、簡潔に思考し、チームや組織にも明確に伝え、実効性が伴うようにデザインすることができるかもしれません。

シンプルですが、強靭な考え方です。

安定して勝利をしていくためには、「目的に対して投下可能な資源が優勢であること」が不可欠な視点となります。

特定の目的を設定して、「資源優勢」を探すことが大切です。

まとめましょう。戦略には、以下の3つの論点をシンプルに考えていくということです。

1)目的と資源
2)目的の再解釈
3)資源優勢

ちなみに人生戦略を考える場合、こちらの1冊「どうする人生!?『人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』山口周」がとても刺激的です。ぜひご覧ください。

まとめ

  • 戦略とは?――目的達成のための資源利用の指針です。
  • 戦略ステップとは?――目的の再解釈と、それに基づく資源投下を検討し、それを組織に共有します。
  • 資源優勢を確保せよ?――それが戦略を成功に導きます。
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