- どうしたら人とのよりよいコミュニケーションを作っていくことができるでしょうか?
- 実は、まず聴くことが大切です。
- なぜなら、聴くことは誰に手もできるのに、相手がとても望んでいることだからです。
- 本書は、いかに聴くかに関する1冊です。
- 本書を通じて、改めて聴き方を考えるヒントをえられるでしょう。

聴くとは?
人間という言葉が表す通り、人は「間」を大切にするものです。とくに人同士の間をいかに繋ぐか、それを続けていくかということは、非常に重要な課題です。
なぜなら、社会というものこそ、そうした人と人の「間」に形成されていくものだからです。
そうした時に、コミュニケーションの役割とは非常に大きなものがあります。
世の中には、話し方に関するいろいろな本が溢れています。
プレゼンの仕方、伝わる技術、あるいは、説得の方法などに類似するテーマで多くの「話す」というアクションが助長されているようです。
実際に話すことを考えたり、トレーニングすることは、自分自身が成長実感をえられるために、読者や著者としても、好まれるのでしょう。
しかし、コミュニケーションにおいて、本当に重要なことには、「聴く」という行為も欠かせないのかもしれません。
なぜなら、いくら皆が話すことが上手になったとしても、聴く人がいなければ、社会は構成されないからです。
大事なことは、どんな聴き方をしているか?ということです。
そして聴き方を意識する時、3つのポイントを押さえてみることが重要です。
- 受容=相手の価値観や考え方を無条件に受け入れること
- 共感=相手の感情を想像して理解すること
- 自己一致=自分が自分のあるがままでいること。そして相手が「自分はこれでいい」と思えるようになること
これらのないようは、アメリカの心理学者であるカール・ロジャースさんが提唱した3つの原則に基づいています。カウンセリングとは、常に相手の心を開き、信頼関係を築くために不可欠なプロセスを意識するということです。
巧みな話術を身につけるより、少し聞き方を変えるほうが、はるかに効果があります。
聞く努力は、いつでも、誰にでもできます。
キーは、「どう話すか」ではなく、「どう話してもらうか」を意識し続けてみることです。
リラックスして、全力にならない?
相手の話をよく聴くということは、実は自分との向き合いでもあります。
相手の話の内容によって、自分の中に「こういう事も考えられるかもしれない」とか「こういうことを言ってあげたい」とか「こういうことを言いたい!」という思いがどんどん込み上げてくる経験がある人も少なくないでしょう。
でも、そうした思いをもっている限り、実は相手の話を聴くのではなく、自分の意見で頭の中がいっぱいになってしまいます。
すると、相手の言葉が入ってくることがなくなってしまうのです。
純粋に相手の話を聞いてあげるためにも、自分の考えを脇においておいて、純粋な気持ちで、相手に対して正対してみることが大切なのです。
話を聞いてくれる人がいる、ということは、悩んでいる人にとっての救いです。
実際に、相手の話をひたすらに聞いてあげるということだけで、相手が変わるということは多々あります。なぜなら、人は自分自身の言葉をよくきいてくれるからです。
だからこそ、無理に相手の話を聴くということに意識を傾けることも実は不要で、要所要所を押さえていくように、相手の話に耳を傾けてあげるという心構えで、リラックスして向かってあげることもよいのです。
実は、著者の山根洋士さんは、カウンセラーなのですが、必ずしも相手の言葉の「すべて」を聞いているわけではないといいます。ポイントは、相手の感情がのる瞬間を見逃さないこと。
その感情の高まりにこそ、相手の真意が隠れているといいます。
2割の努力で8割の成果を!ではないですが、実は聴くということについても同じようなことが言えそうですね。
何を言おうかとあれこれ考えるまでもなく「そうか」でいいのです。
単に受容するということも、聴く技法にとって欠かせない視点です。

自分の価値がわかる?
聴く人にとってのハードルは、もしかすると自己肯定感の低さが原因かもしれません。
なぜなら、ただひたすらに聴くということは、あるがままの自分を認め、そして自分自身に自身がなくては難しいのです。というのも、対話や会話というのは、形に残らないし、その上、何かを提供している感じも乏しくなってしまうのが事実だからです。
成果が見えづらいのが会話
でも、ひたすらに聴くことで、相手が感じていることや相手が受け取っていることは、確実に大きなものがあります。それを信じて、相手に興味関心を持ちながら、どんどん問いかけをしてみるとよいでしょう。
自分が気になったキーワードや、感情の高ぶりについて、具体的に掘り下げたり、あるいは、他のテーマに横断してみると、さらにいろいろなことが聴くことができて、結果的に信頼関係が育っていきます。
相手のことを決めつけない、わかったつもりにならないということも、実は心構えとしても大切です。
どんな事情があって、どんな想いを抱えているのか、そうしたことは、その人の成長や、外部環境で絶えず移ろっていくはずです。
だからこそ、知っている人であっても、しっかりと耳を傾けて、変化に興味関心を持ってみることが大切なのです。
聴く技法として、以下のポイントを実践してみましょう。
- 正論は会話を止めてしまうので、控える。
- 共感することであり、同感ではない。
- 聞き手は脇役で、話し手が主役であることを意識する。
- 真似するだけで会話がつながる、同じ言葉を使ってみる。
- 話しが止まりそうなら、5W1Hを駆使してみる。
- 常に相手の「心の中」に答えがあるものだと信じる。
- 沈黙はよい機会であるととらえて、最低5秒は待つ。
聞けるようになると自分の価値に気づく
聴くということは、相手のための時間となり、相手に感謝される機会でもあります。
最大限活用しながら、よりよい関係を作るために活用していきましょう。
聴くことについては、こちらの1冊「【自他尊重に突破口がある!?】アサーション入門――自分も相手も大切にする自己表現法|平木典子」もぜひご覧ください。

まとめ
- 聴くとは?――相手のための時間ときっかけを提供するとても素晴らしい行為です。
- リラックスして、全力にならない?――自然な気持ちで察知することが、聴く秘訣です。
- 自分の価値がわかる?――聴くことによって、自分の存在意義や価値を確認できます。
