- どうしたら、本質を見失わずに、人生を作り上げていくことができるでしょうか。
- 実は、合理性を忘れないことです。
- なぜなら、合理性は豊かな人生の基盤であり、そして忘れられがちなことだからです。
- 本書は、人生を整えるための考え方に関する1冊です。
- 本書を通じて、暗中模索ではなく、思考によって人生を切り拓くヒントを得ます。

資本がキー?
前回の投稿「【人生のルールを知っている!?】親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?|橘玲」に引き続き、今回もこちらの1冊『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?――人生という「リアルなゲーム」の攻略法』のレビューを続けてみたいと思います。
橘玲さんの著書「人生は攻略できる」のレビューの前半部分について、主要な論点を振り返ってみましょう。
本書の核心は「合理的に考える」ことの重要性です。これは単なる1+1=2という論理的思考だけ(この重要性はありつつも)でなく、感情や周囲の影響に流されずに最適な選択ができる能力を指します。
著者は「資源の有限性」という概念を軸に議論を展開します。例えば、100円でりんごとみかんを両方手に入れる方法を考えることで、限られた資源をどう活用するかという現実的な課題に向き合います。
また、人間関係について、「貨幣空間」「友情空間」「愛情空間」という3つの領域を提示してくださいました。これらの空間の理解が、より良い人間関係構築につながると説きます。
投資の観点では、「お金が投資によって働き、収益をもたらす」という考え方の早期理解を推奨。特に複利の効果や、知識習得における複利的な学習効果の重要性を強調しています。
さらに、仕事において「実績になる仕事をすること」「同じ仕事を長く続けること」「好きなこと、得意なことに資源を投入すること」という3つの原則を示し、長期的な視点での人生設計の重要性を説いています。
今回の投稿ではさらに発展的に、人生というゲームのロジックを見つめていく視点をキャッチアップしてみましょう。
そもそもなのですが、収入を得られるということはとても重要です。キャッシュインがなければ、資産を築くことはできず、そして、お金に働いてもらう活動を作ることができないからです。
収入を得るためには、お金(などの資本)に働いてもらうか、自分が働くか?ということになりますが、多くの方にとって、スタートラインは、自分が働くということになると思います。
そして、自分が働くということについて、報酬の上下が決まるのですが、それは、人的資本に比例します。人的資本とは、お金を稼ぐパワーのことと捉えられます。
人的資本とは、個人が持つ知識、スキル、経験、健康状態など、経済的価値を生み出すことができる人間の能力や特性の総体を指します。これは教育、訓練、経験を通じて蓄積され、個人の生産性を高める要素となります。
具体的には、以下のような要素が含まれます。
- 教育を通じて得られた知識や技能
- 職場での実務経験やトレーニングで培われたスキル
- 健康状態や体力
- 対人関係能力やコミュニケーション能力
- 創造性や問題解決能力
人的資本の特徴として、物的資本(機械や設備など)と異なり、個人に付随し分離できないこと、また時間をかけて形成・蓄積される必要があることが挙げられます。
個人にとっては、自身の人的資本を高めることで、より良い雇用機会や所得を得られる可能性が広がります。
自己啓発とは、自分を啓発して(より高いレベルに到達するよう努力して)、大きな人的資本を獲得することです。
この人的資本を高めるためには、自己啓発という取り組みが大切です。
チームを作ろう?
また、人的資本があれば、分業によって、さらに収入を大きくする余力を活用できます。
自己啓発が、自分自身の人的資本を大きくする活動とするならば、分業というのは、他者とともに資本を大きくする活動と捉えることができます。
人的資本を大きくしようと1人でがんばるより、みんなで分業して10分で終わらせたほうがずっといいでしょう。
この10分というのは、橘玲さんが、掃除の例で語ってくれているものです。
1時間かかっていた仕事を1人で頑張っても、せいぜい5分とかそのくらいの短縮にとどまるでしょう。
しかし、これをみんなで頑張ることができれば、10分で終わらせることができ、その結果、それぞれの個人が他のことに活動時間を振り分けることができるようになります。
ポイントは、掃除の時間自体が、協働の効率性によって短縮され効率化するという視点と、利活用できる時間を手に入れて、それを再投資することが可能になるという視点です。
ビジネスデザインは、分業のことです。ビジネスで成功できるかは、分業をどう成立させることができるかの設計に委ねられています。
そして、もうひとつ大切な事実は、「人的資本が大きいほど、分業のパワーを大きくすることができるということ」です。
なぜなら、仕事を一緒にしたい!と思える人は、楽しく仕事ができる人です。その楽しさというのは、本質的なものです。
真摯にものごとの大切なことを見極めて、高い叡智を発揮できる人と、みんな仕事をしたいと思ってもらえるはずです。
「上手に分業できる能力」つまり「仲間を集めて強力なチームをつくる能力」こそが、もっとも重要な人的資本なのです。
チームを作るためには、どうしたらいいでしょう?

常識を疑え?
キーは、「正しいシグナル」をいかに発信できるか?ということです。
1)私は安全ですよ。
2)私は魅力的ですよ。
最低限のこうした発信を自分自身がまずすることによって、人とともに関係性を築く土台とすることができます。
何事もトライアンドエラーが大切です。成功者を見ていると、ひとつのきっかけで成功者になったように思えることがあるのですが、実際はそういうことは極めて稀でしょう。
成功者ほど、小さな失敗を修正しながら、少しずつ成功の確率を上げたり、あるいは、成功の大きさを求めていったのです。大切なのはすべて過程=習慣にあります。
99%の習慣に従い、1%の習慣を疑え。
99%の習慣に従うのは、うまくいくことがわかっていることを、わざわざ自分で検証するのはムダであるということです。むしろ大切なのは、みんなが盲目的に行っている習慣です。
実はみんなが正しいことを実施できているかと言うとそれは疑問です。
1%の習慣を疑うということは、その本質をつくということです。本当は、こうしたほうがいいのに、本当は、こういうことが大切なのに、本当は、もっとうまいやり方があるのに、ということを探し出して、人と違うことを少しだけ取り入れてみる。
そのこと自体が、自分を有利なポジションへと押し上げるヒントになります。また、その活動自体が、自分自身の人的資本をさらに高めて、大きくしていく活動になっていくことでしょう。
本書を通じて、痛烈に意識せざるを得ないことは、みんなが必ずしも合理的にものごとを判断でき、その上で確かな行動をすることができていないのではないかということです。
人間は合理的ではないからこそ、合理性が大きな武器になる。
いかに合理性という武器を手に入れながら、その上で、人としての愛や感情をどのように大切にすることができるか、常に学び続けられるスパイラルへと自分自身を導けるようになっていけるとよいですね。
まとめ
- 資本がキー?――資本が収入を決めます。
- チームを作ろう?――真のチームは、資本を何倍にも増やしてくれます。
- 常識を疑え?――1%の本質的で、周りとは結果的に異なる習慣を見出しましょう。
