- どうしたら個を活かす時代において、自分を認識しブランディングしていくことができるでしょうか。
- 実は、服に真剣に向き合ってみることがポイントかも。
- なぜなら、服とは、自分と相手の境界線にあるものだからです。
- 本書は、パーソナル・スタイリスト政近準子さんによる自分らしさを考える1冊です。
- 本書を通じて、絶えず変化する状況に合わせた自分を考えるヒントを得ることができます。

似合うとはなにか?
人はみな、変化していきます。加齢は誰にでもつきまとうものです。そうした、ごく当たり前のことを、いかに自然に受け入れていくことができるか?ということが、パーソナル・ブランディングには欠かせません。
なぜなら、それは正しい自己認識につながるからです。
多くの大人の女性たちがファッション迷子になってしまう大きな理由のひとつは、「若い女性」ではなくなってしまったからです。
「もう、若くない」ということを認めるのは、辛いことかもしれません。なぜなら、それは変化を受け入れることになるからです。そして、人間は、変化に対して身構えてしまう性質がもともとあります。
なるべく変化が少ないようにしていくことが、人間の生き抜くプログラムにインストールされています。だから、誰もが変化を受け入れることをおざなりにしてしまう。
でも、実際は、異なります。自分も変わっていくし、なにより、周りの環境だって大きく変わっているはずです。その変化は、大きな時代という変化かもしれないし、1日1日、あるいは、一瞬という単位のものもあるかもしれません。
政近準子さんが変化をポジティブに受け入れていくために、提供してくれるのが、「相手の視点」です。
自分以外の視点を活用しましょう。
素敵であるということを決めるのは、実は相手です。
他人の目に写った自分を認識してみることで、自分の素敵=つまり、自然に似合っているかどうか?ということについて、意識を向ける多くのヒントを得ることができます。
自分を客観視することを意識することができれば、若い頃の自分というモデルケースにとらわれることなく、他者との関係をポジティブに考えながら、変化し続ける自分を作っていくことができるようになります。
おしゃれは誰のためか?
1つ、印象的なお言葉をご紹介します。
自分の気持ちにこだわりすぎて、おしゃれのチャンスを逃さないで。「装いはギフト」の意識も持ちましょう。
おしゃれということを考えた時に、どうしても自分がいかに満足するか?という論点に囚われます。これに対して、アンチテーゼを打ち込んでくださるとても素敵な言葉だと私は思います。
政近準子さんは、つまりおしゃれというのは、相手との関係性ありきであるということ、もっというと、自分と相手が置かれた環境にふさわしいかどうかも含めた、総合的で客観的なものであるということを、ご指摘されていらっしゃるのだと思います。
その観点から、大人であれば、特にTPO(時、場所、場合)だけではなく、それにプラスして、Person(相手)とSocial(社会)を意識してみることを提唱されています。
こうしたさらに俯瞰した視点をもって自分を認識しできることが、結果的に自分のおしゃれを楽しむということにつながっていくのですね。
大人という概念についても、学びを得ます。
大人になるということは、年齢を重ねた人ということではなく、その結果、自分と環境や社会(相手をも含む)との関係性について、意識を向けて、気遣いできるようになることなのだと。
自分に似合う服を着るということをすこし具体的に考えていく時、意外だと思ったのが次の論点です。
自分の個性を見つけ、活かす着こなしにしましょう。
弱点が案外長所です。
弱点が長所というのは、つまり次のような意識転換をしてみて、それに基づくおしゃれをチョイスしてみては?という考え方です。
- 「地味」→「堅実で清楚」
- 「アピールが弱い」→「穏やかな癒し系」
自分の短所を3つまずあげてみて、それをポジティブな言い回しにしてみたら、どうなるのかを考えてみてはいかがでしょうか。
実はその言い換えこそ、自分が気づいていなかった美点であるというのです。
このパラドクス、素敵ですよね。

大人であることとは?
いかに大人であるか、ということを意識した時、政近準子さんの論点からは、よりよい習慣が身についているか?についてもチェックしてみようというベクトルを知ります。
例えば、オフィシャルなパーティに、トレンチコートは避けるべきであると言います。理由は、トレンチコートは本来イギリスの軍用コートから派生したものであり、ふさわしさにかけるということです。こうした背景をよく理解したうえで、枠をあえてはみ出る美学というのは確かに存在しますが、まず理解しているかどうか、知識の問題であるということにフォーカスしてみることが重要です。
つまり、おしゃれに関する背景まで深く興味がわくような、自分の体質を作り上げられているか?ということに気づくことがよいのかもしれません。
また、「アクセサリー」に対する見立ても印象的です。
アクセサリーとは、あえてつけなくても良いものです。あるいは、由来からして、神秘的なものへの願掛けという側面もあります。これらを総合して考えて、自分の「魂がこもる」ものとして、ベストチョイスをしてみると、自分の意識が凛と代わりますし、その結果相手が感じ取れる印象も変わるものがあるでしょう。
さらには、洋服を選びにお店に出かけた時に、店員さんとのコミュニケーションについても、意識を向けてみましょう。ここで重要なのは、店員さんは、そのブランドが大好きで働いているという事実です。その方々のロジックは、販売・売上という目標達成ということだけではないことは明白です。
だから、試着をしてみたら、その人の言葉ではなく、態度や目を見て、本当にどう思っているかを確認してみることが重要であるというのです。
言葉によらないコミュニケーション、そして、相手を深く理解して、自分がどう映るかを確認しながら、おしゃれを楽しむ視点を提供してくれます。
これらのことを総じて見てみると、大人になるための習慣がいかに整っているか?ということが気になってきます。おしゃれに対する知識、人に対する興味関心、そして、出会いを大切にするという気持ち。
それらを総合して自分というものがどれだけ作られているのか?という絶え間ない確認が、おしゃれに、そして自己表現に結果的につながっていくのだと気づくことができました。
自分のワードローブを
きちんとコントロールできていないから。
この言葉は、Q)クローゼットに服はあるのに、「今日着ていく服がない」のはなぜ?という問いに対する政近準子さんの回答です。
自分を作る習慣をどれだけ磨くことができているか?気をつけてみても良いかもしれません。
自分のファッションについて「何かが違うなぁ」と思っている場合、そうしたモヤモヤは自分を認識するチャンスです。自分と他者という視点をもって、自分をさらに見つめて大切にしてみた場合、その先の「似合う」を得られる入口に立つのですね。
自分を認識することについては、こちらの1冊「【頭がいいは、視点で決まる!?】メタ思考~「頭のいい人」の思考法を身につける|澤円」もとてもおすすめです。ぜひご覧ください。

まとめ
- 似合うとはなにか?――自他の接点を理解しているということです。
- おしゃれは誰のためか?――相手のためであることが、結果的に自分のためになります。
- 大人であることとは?――嗜みのための習慣を身に着けられているかどうかです。
