- オリジナリティを大切にした生き方のためには、何が大切でしょうか。
- 実は、アイデアを作ることではなく、選ぶことのほうが重要かもしれません。
- なぜなら、適切なものをうまく選び取ることで、個性や特性が反映されるからです。
- 本書は、個性を活かす働き方を目指すための1冊です。
- 本書を通じて、自分を再認識する機会を得ることができます。

アイデアは、選定しだい?
昨日の投稿「【自分に素直に?】ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代|アダム・グラント他」に続き、本日もこちらの1冊『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』のご紹介をさせていただきたいと思います。
私たちは誰もが「独創性」を持っています。
しかし、その価値に気づかず、他者との比較の中で自分を見失ってしまうことが少なくありません。
前回の投稿では、この「独創性」について3つの重要な視点を探りました。
1)まず、ビジョンは個性から育まれるということ。自分が「どうしても気になってしまうこと」や「モヤモヤしてしまうもの」こそが、独自の視点を育む土壌となります。
2)次に、「ブ・ジャ・デ」の概念。既知のものを新たな視点で見つめ直すことで、思わぬ洞察が得られるという気づきです。
3)そして最後に、リスクへの向き合い方。独創的な人々は無謀にリスクを取るのではなく、むしろ特定分野での挑戦と他分野での慎重さをバランスよく組み合わせる「リスク・ポートフォリオ」を実践しているのです。
本書が示唆するのは、独創性とは決して生まれつきの才能だけではないということ。
それは日々の選択と実践を通じて、絶えずアップデートされていくものなのです。今回は、その具体的なプロセスについてさらに深く掘り下げていきましょう。独創性を育む実践的なアプローチと、それを現実の成功へと結びつける方法について、考えていきたいと思います。
アイデアが一人ひとりにないわけではありません。それに気づき、適切に選ぶことができているか?とい点が実は重要だったりします。
ある調査分析では、200人以上の被験者が1000件以上の新しい企画や製品のアイデアを考えたところ、そのうちの87%は、ほかに類を見ない独特なものだったといいます。
オリジナリティを阻む最大の生涯はアイデアの「創出」ではない――アイデアの「選定」なのだ。
つまり、斬新なアイデアは、ありふれている可能性があります。大切なのは、そこから自分の特性にあわせて、うまく選び出せるかどうか?ということなのです。
放置も大事?
そして、良いアイデアというのは、生まれた瞬間だけではなく、それを放置することで育つことだってあります。
先延ばしは「生産性の敵」かもしれないが、「創造性の源」にはなる。
戦略的に先延ばしをしながら、さまざまな可能性をまとっていくことで、アイデアの可能性を広げていくことが可能になります。
だから、アイデアを選び取ってみても、それを十分な時間をかけて、絶えずアップデートして、改良させ続けてみることが大切なのです。
人間の意識の9割以上は無意識領域であるということが言われています。無意識はその名の通り、意識することがしづらいため、なかなか自分で認識することは困難なのですが、確かに存在すると見てよいでしょう。
アイデアを思いついても、まずは寝かせることで、無意識領域においてそのアイデアや周辺の情報が結びつくことによって、内容や方向性を知らず知らずに磨き込むことができるかもしれません。
そういう見えない意識に期待して、じっくりものごとを進めてみるのもよいでしょう。
ちなみに、無意識領域については、こちらの1冊「【脳は、YES!?】意思決定が9割よくなる 無意識の鍛え方|茂木健一郎」もぜひご覧ください。

必ずしも、オリジナルであるためには、先駆者になる必要はないということを意識することも大切でしょう。
オリジナルであるということは、早い・1番目に生まれている、ということではないのです。むしろ、ほかとはどうしても異なってしまっている、そして、ほかよりも結果的に優れているという意味が大きいです。
だから、最初に行動を起こしたかどうかでジャッジされるべきものではないのです。最初に行動をおこしたからといってそのプロジェクトがうまくいく確立は高くなるわけではないし、市場が不安定な場合や不明な場合においては、何がものごとの追い風となるか、誰もわからないような瞬間も確かに存在するのです。

重要なのは、出発点?
オリジナリティを大切にするということを目指した場合、大切なのは、出発点です。
これには、ディズニーの名作『ライオンキング』がいかに生み出されたのかを知ることが、参考になるでしょう。
シカの代わりにライオンが主人公の「アフリカ版『バンビ』」だとみなされて、初期の脚本がボツになりました。5人の脚本家は集まって、再考を迫られました。
経営会議の中で、本作を『ハムレット』の類似点を指摘される瞬間がありました。おじが父親を殺して、息子がかたきをとらなくてはならなくなった、そういう「ライオン版の『ハムレット』」なのであるという解釈がされてから、映画にGOサインが出されたのです。
よかったのは、出発点です。
最初から『ハムレット』ではなく、「ライオン」をスタートにしていた点。
ライオンが背負っている“王者”としての宿命にフォーカスしながら、改めて深い印象を提供する作品として立ち上げること、それがまさしく、当作品のオリジナリティとなったのです。
発想の出発点は、画家がキャンバスに描く最初の一筆と同じようなもの
最初の一筆によって、その後の作品の全体が決められます。
どこから始めるのかがいかに重要か。次の事例も見ていきましょう。
スタンフォード大学ジャスティン・バーグ教授は、ある実験で大学生がうまく就職の面接で使えるような新製品の設計を被験者に指示しました。
まず3穴バインダーのような馴染のあるアイデアから始めてみましたが、出される最終的なアイデアはごくふつうのものになりました。しかし、一部の被験者に奇抜な出発点(例えば、「ローラースケート」)を提供したところ、ありきたりなアイデアにとらわれることなく、オリジナリティの側面において多くの評価を獲得できるものが仕上げられたと言います。
奇抜なものを出発点とし、それに親しみやすさを加えたものがもっとも確実なアイデアである。
これは、人にとっても同じことが言えるかもしれません。
場合やものごととの組み合わせが奇抜な出発点を、私たちが固有に見つけることができるか?そのことによって、その先のアイデア、つまり、生き方のアイデアをどのように方向づけていけるかが決まっていきます。
これまで、自分が積み重ねてきたことを振り返っていくのがいいかもしれません。多くの人は、ひとつのテーマではなく、多くの横断したテーマに触れながら人生を生きているはずです。
そして、その人生の時間は非常に固有性の高いものであるはずです。その再評価からはじめてみましょう。
- 好奇心の強さ
- まわりに同調しない視点
- 反抗的
それらをたまには大切にしながら、自分を大切にしてみることです。
まとめ
- アイデアは、選定しだい?――それを生み出すことではなく、選定にフォーカスしましょう。
- 放置も大事?――アイデアを放置してみることで、よりよい方向へと育つこともあります。
- 重要なのは、出発点?――大切なのは、ものごとの最初の一歩です。
