- どうしたら、自分を認めながら生きることができるでしょうか。
- 実は、大切なのは自分の特性と個性を認めてあげることです。
- なぜなら、成功とは、他者との比較の中にあるのではなく、自分の関係性にあるためです。
- 本書は、アダム・グラントによる自分の個性・原点・根本ための1冊です。
- 本書を通じて、自分という存在を大切にする生き方について検討することができます。

ビジョンは個性に育まれる?
生まれてこの方、他者を気にしたことがない!という人はどれだけいるでしょうか。生まれつき独創的な人もいることは確かですが、でも、ほとんどの人は自分のオリジナリティ(独創性)に自信がないというのが、一般的な意見ではないでしょうか。
他者に対して、大きな影響力を持つ人も中にはいるかも知れませんが、大多数はそうではないかもしれません。
こうした葛藤は、子育てのシーンを想定すると、改めてわたしたちにつけられます。子どもの個性をいかに育んで上げるかということについて、具体的にどのようなアクションを取ってあげればいいのかについて、悩みます。
他者と比較することではなく、その人が本来的に持つ個性を大切にして、育て、そして開花させていくことがどうしたらできるでしょうか。
いま、時代はインクルーシブを求めています。
これは、どんな境遇であれ、その人の個性を受け入れて社会の一員として、求めるのであれば、同じように機会が提供され、所与の事実で冷遇されることなく、活躍する環境を互いが尊重しながら作り出していく世界観です。
なにもない(独創性なんてないと捉える)のではなく、いまあることにフォーカスしてみることが重要です。
オリジナルな人とは「みずからのビジョンを率先して実現していく人」である。
独創性について、こうした見立てをする時、私たちの視野・視点は軽やかになります。
いま、自分自身に、明確なビジョンがあり、それに基づく行動が取れているか?という論点でものごとを見つめるようになるからです。
ビジョンは、どのようにして育まれるのか?実は、そこに個性が影響しています。
ビジョンとは、どうしても気になることから見出されます。これについては、こちらの1冊「【本当のインサイトの話とは?】インサイト中心の成長戦略|中村陽二」もぜひご覧いただきたいのですが、ビジョンを育むためには、固有のものごとの見立てを大切にして、固有に得られた機会や体験のもと、さらに自分の見立てを進化させていくことから、育まれていくという論点を意識することができます。

自分がどうしても気になってしまうこと、モヤモヤしてしまうもの、ついつい手に取ってしまうことを大切にしてみることです。人とどう違うかとか、同じかどうかとか、そういうことは一切意識する必要がないはずです。自分の衝動を大切にしてみるという起点の先に、ビジョンが見えがかってくるのです。
ブ・ジャ・デを大切に?
自分を大切にするということは、自分の感じたことをないがしろにしないということかもしれません。
そういう感性を大切にできる人は、自ずと自分らしく行動することが得意になるでしょう。
そこに他者との比較や、現状維持などということはなく、純粋に自分の気持に従う自分自身があるはずです。
社会での成功を考えた時、次のような事実もあります。
それは、最低所得層は一貫して、最高所得層よりも、「現状を支持する傾向がある」という研究結果です。
現状による害をこうむっている人ほど、逆説的ながら、その状況に疑問をもったり意義を唱えたり、はねつけたり変えようとしないものである。
私たちが、自らを大切にして、個性を思う存分発揮できるような体験への道を歩むため、大切にしたいキーワードがあります。
それが、「デ・ジャ・ブ」と「ブ・ジャ・デ」です。
「デ・ジャ・ブ」というのは、はじめて見たはずなのに、前にも見たことがあるような感覚のことです。一方で、「ブ・ジャ・デ」は逆で、既知のもの目の前にしながら、新たな視点でそれを見つめ、古い問題から新たな洞察を得ることのことです。
「ブ・ジャ・デ」の視点を持って、古い問題から新たな洞察を得ることが、大切です。自分自身の当たり前だったこと、見過ごしていたことに、触れられるかです。

リスクの取り方?
アダム・グラントさんの研究によると、オリジナリティな人は、決してリスクを無謀にも冒すような人ばかりであるとは限らないとのことです。これは通説とは異なります。
オリジナリティには徹底的にリスクを冒すことが必要だという通説をくつがえし、オリジナルな人たちは私たちが思うよりもずっとふつうの人たちなのだ、ということ
オリジナルな人は、特定の分野で危険な行動をとろうとするのであれば、別の分野では慎重に行動することによって全体的なリスクのレベルを弱めようとするように動きます。
リスクのポートフォリオという概念を考えると、人生のある部分でオリジナルな行動をとりながら、その他の分野では標準的な域を出ない人が多いというのも納得できる。
キーは、バランスの取れたリスク・ポートフォリオを作ることができるか?そのためのジャッジをどれだけしているか?ということになるでしょう。
ある分野で安心感があれば、他の分野では挑戦的になれるということです。でも、これは最もなことだと思いませんか?
別の分野で自由を得るために、特定の分野では守りを固める。素直な発想で、自分の気持ちに答えていくことがキーなのです。これは、例えば、転職するのかどうか、ということについても大きな示唆を与えてくれることではないかと、考えることもできるでしょう。
血気盛んにリスクを取ろうとすると、想像してしまう起業家ですが、彼らほど、そういうステレオタイプな見立てから程遠い存在もないのかもしれません。というのも、起業家は、一般的な人たちよりもリスクを好むかと言うと、決してそんなことがないのです。
では何が違うのか。
「失敗することよりも、やってみないことのほうが後悔する」
彼らはそのことを、身をもってわかっている人たちなのである。
オリジナリティは不変の性質ではなく、絶えずアップデートされていくものです。
それは、具体的な行動によって。
次回も引き続き、本書『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』のレビューを続けてみましょう。
まとめ
- ビジョンは個性に育まれる?――固有の感性を大切にすることによって、自ずと見通しが効きます。
- ブ・ジャ・デを大切に?――すでに知っていると思っていたものについて、再考してみましょう。
- リスクの取り方?――自分ならではの「リスク・ポートフォリオ」を構築し、判断しましょう。
