【自己投資が超・大事!?】シナモロールの『エチカ』 感情に支配されないヒント|朝日文庫編集部

シナモロールの『エチカ』 感情に支配されないヒント
  • よりよく生きていくには、どうしたらいいでしょう。
  • 実は、神というコンセプトが不在になった時代にヒントを見出すのもいいかも。
  • なぜなら、自分という存在を再認識する機会を提供してくれるから。
  • 本書は、スピノザ『エチカ』の概要をシナモロールちゃんが案内してくれる1冊です。
  • 本書を通じて、時を超えた概念を通じて自分の考えを点検する機会を得られます。

小さな野心を持とう?

スピノザの主著『エチカ』は、17世紀オランダで執筆された哲学書です。幾何学的方法を用いて、神、精神、感情、人間の隷属と自由について論じています。本書は5部構成で、「神について」から始まり、「精神の本性と起源について」「感情の起源と本性について」「人間の隷属について」そして「知性の力、すなわち人間の自由について」と展開していきます。

スピノザは、神と自然を同一視する汎神論的世界観を展開し、全ては必然的な因果関係によって結ばれていると説きます。人間の感情や欲望も自然の一部として捉え、それらを理性的に理解することで、真の自由に至ると主張しています。

宗教改革後の混乱と科学革命の進展により、中世以来の教会の権威は大きく揺らいでいました。

特にオランダは、当時のヨーロッパで最も寛容で世俗的な社会を形成しており、様々な宗派や思想が共存していました。デカルトの合理主義哲学の影響も強く、理性的な思考による真理の探求が重視されていました。

ガリレオの地動説やデカルトの機械論的自然観は、聖書の記述と科学的発見との間に深刻な矛盾があることを示していました。知識人たちの間では、伝統的な神学的世界観への懐疑が広がっていました。また、三十年戦争による混乱は、宗教対立がもたらす悲惨さを人々に痛感させました。

このような時代状況の中で、スピノザは新しい神概念を提示しました。それは、人格神ではなく、理性的に理解可能な必然的法則として神を捉え直すものでした。これは、当時の知的エリートたちが直面していた信仰の危機に対する、一つの哲学的な解答だったと言えるでしょう。

この著作は出版後、無神論的であるとして激しい非難を受けましたが、後世の思想家たちに大きな影響を与え、現代でも重要な哲学書として評価されています。理性による感情の理解と克服、そして至福に至る道筋を示した本書は、現代人の生き方にも示唆を与え続けています。

本書は難しい哲学の概念をサンリオキャラクターのシナモロールちゃんが、優しく案内してくれます。

人の役に立ちたい、
誰かに褒められたい、
そんな小さな「野心」を持とう。

エチカには、こうあります。「人々が喜んで見てくれると想像されるあらゆることを、われわれもみずからなそうと努力するであろう」。

自分のためだけでは、行動しづらくても、それが地続きになって他者のためになるようなことでは、案外重い腰も上がるものです。自分自身の解釈を、自分自身だけに閉じてしまうのではなく、他者と繋がり合っている自分をイメージしてみるのです。

実際に私たちは自分だけで生活しているのではありません。他者と繋がりあいながら、社会を構成してその中で、自分自身を生かしていると言ってよいでしょう。

つまり、仮に純粋な気持ちで、自分自身のためだけに何かものごとを突き詰めていくということは、そもそも自然なことではないとも言えるかもしれません。

正解はひとつじゃない。
自分のやり方を見つけよう。

同じことでも、簡単にできる人もあるかもしれないし、そうでないかもしれない。

でも、そうしたことにいちいちくよくよすることはありません。

人には特性があります。一人ひとり当然のように違った特性を持ち、そして、固有の過去の遍歴を持ちます。そうした個別性にもっとフォーカスしてみても良いです。

他人と比較することなく、自分のペースで、自分の信じることに対して一歩ずつ前進してみましょう。

いまここに集中?

喜びと欲望が行動を起こすきっかけ、エネルギーになることを信じてみましょう。

はたらきをなすかぎりの精神に関する感情はすべて、喜びかあるいは欲望に関係する感情だけである。

楽しいことやほしいな!と思えることなら、やっかいなことでも人はやすやすと乗り越えていけるようにできているものです。だから、まずは、そうした自分が求めることに対して素直になってみることです。

自分が楽しくなれること、いいなぁと思えることを知りながら一生懸命に、挑戦をしてみましょう。

挑戦をすることは勇気がいるかも知れませんが、何か楽しいことや喜びにつながっていると直感的にわかっていれば、人は、本当の力を発揮することができるのです。

まず、自分を知ることです。

ただひたすらに行動をしてみることも大切です。

不安なときは、
結果を考えずに、
目の前のことに集中しよう。

結果にあまりに注目してしまうと、足がすくんでしまいます。

なぜなら、私たちは、直感的に結果がどうなるかがわかっていないからです。あらゆることについてもこれは共通しています。

コントロールできないことに対していくら、頑張っても見返りがないどころか、なぜ頑張るのかについてモチベーションが長続きしないかもしれません。

大切なのは、いまここにフォーカスして、集中することです。そうしたアクションの積み重ねがよりよく積み重ねっていった先に結果が、それこそ結果としてついてくるという心構えが大切です。

自分が定めた道をひたすらに歩んでいくことについても、意識を向けてみましょう。

もしかすると恐れや不安を感じることもあるかもしれません。でも、それは必然です。

人は、挑戦をしたり、これまでやったことがないことをする時に、そうしたネガティブな気持ちを抱くものです。

そんな時は、以下のように考えてみましょう。

「希望」には、
恐れや不安がつきもの。

エチカでも、希望とは、不安定な喜びであるという定説が語られています。

新しいことには不安になっても当然。でも、そうしたことを織り込み済みで、いまをひたすら淡々と行動してみることが大切なのです。感情的になってしまう時こそ、淡々とした行動を続ける、そのことが、未来をちょっとずつ切り拓く力となって、自分に蓄えられていくのです。

正しく投資しよう?

自ら行動することで、自分の満足感を自分で創り出すことができます。それが誰にとっても健全な姿です。

満足感は、他人からあたえらえれるものでなく
自分でつくりだすもの。

他者から満足感というのは与えられることはなく、期待してはいけません。他者のせいにしていたり、他者をいくら非難しようとしても、それは、お門違いというもの。

大切なのは、コントロールできる自分自身の行動や捉え方を変えていくというスタンスです。

そうした意識があれば、私たちは、正しいことに集中することができるし、結果的に、いまここを充実化させることができるでしょう。

いまここを楽しみながら、未来への投資をしていくことです。

未来の自分へたくさん投資しよう。

これは、読書かもしれないし、教養のインプットかもしれないし、何か自分が打ち込める趣味の時間かもしれないし、とにかく自分がこれだ!と思えることに時間という貴重な資源を投入して、自分を養っていくことです。

人は、緊急で大切なことをやっていることに案外、満足感を感じてしまうものです。ですが、それだけではなく、緊急性が低くて、大事なことにも十分に時間を使っていきましょう。

投資というのは、時間を見方にしたものが良い結果を導き出す可能性が高いです。

いまここに集中しながらも、よりよい未来像を想像しながら、中長期的に大切になることについても、時間を使って行くことです。きっと世界観が開けてくることがありますよ。

いま、目の前にある
小さな出来事が大きな幸せに
つながるかもしれない。

本当に自分自身にとって大切なことを見極めて、それを選択することを忘れないようにしましょう。

よりよく生きていくためには、こちらの1冊「【さらに、よく生きるには?】奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業|荻野弘之」もおすすめです。ぜひご覧ください。

自分に投資する感覚については、こちらの1冊「【長い目が何よりも大切!?】ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」資産10兆円の投資家は世界をどう見ているのか|桑原晃弥」もぜひご覧ください。

まとめ

  • 小さな野心を持とう?――それは自分と他者の関係性に向けられたものであるべきです。
  • いまここに集中?――熱中や集中は、いまここでしかありえません。
  • 正しく投資しよう?――時間という資産を自分にとって正しいことに投資し続けましょう。
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