【正しく自己認識せよ?】パッション・パラドックス|ブラッド・スタルバーグ他

パッション・パラドックス
  • どうしたら、自分の情熱と正しく向き合うことができるでしょうか。
  • 実は、キーポイントはプロセスにあります。
  • なぜなら、結果にいくらコミットしても成果が伴わないことがあるためです。
  • 本書は、情熱のポジネガ両側面を見つめる1冊です。
  • 本書を通じて、情熱を正しく運用していく視点を獲得をすることができます。
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強迫的情熱に注意せよ?

前回の投稿「【情熱は、取り扱い注意!?】パッション・パラドックス|ブラッド・スタルバーグ他」に続き、今回もこちらの1冊『パッション・パラドックス 情熱をマネジメントして最高の仕事と人生を手に入れる』のレビューを続けてみましょう。

前回の投稿で見えてきたのは、次のようなことです。

人生をよりよくするための重要な要素として「パッション(情熱)」があります。しかし、その情熱は諸刃の剣であり、適切なマネジメントが不可欠です。

情熱には主に4つのリスクがあります。目に見える結果や外的評価への執着、視野の狭窄化、バーンアウト、そして喜びの喪失です。特に自己認識が不十分な人は、これらのリスクに陥りやすいとされています。

情熱をコントロールする上で重要なのは、自分でコントロール可能なことと不可能なことを区別することです。多くの人は「フィット思考」(78%)を持っており、最初から情熱を持てる仕事や趣味を見つけることが幸せにつながると考えています。しかし、本当に大切なのは達成ではなく過程です。

情熱は少しずつ育むべきものであり、安全な基盤から徐々に軸足を移していくことが賢明です。そのためには、常に正しい自己認識を保ち、情熱の向け方を意識的にコントロールすることが重要となります。

情熱が暴走してしまった場合を考えてみましょう。暴走は不幸の始まりかもしれません。

というのも、情熱が暴走をしてしまうと、それ自体に自分の存在意義を見出すことになり、当初の目標を追求しようと思った内面的な動機を見失ってしまうのです。

すると、外的な報酬や評価に囚われていくようになり、結果的に自分でコントロールできないものに執着してしまいます。

  • もっと大きな成果がほしい!
  • もっとお金がほしい!
  • もっと名誉がほしい!
  • もっとソーシャルメディアのフォロワーがほしい!

こうした思いにかられてしまうと、出口が見えなくなってしまいます。

こうした状態を「強迫的情熱」といいます。

強迫的情熱とは、内面から沸き起こる満足感よりも、成果や外的な報酬がモチベーションの源になっているケースを言う。

ある活動そのものより、その活動がもたらす成果や結果にモチベーションの軸足がある場合に、注意が必要ということです。

調和的情熱を歓迎しよう?

「強迫的情熱」に対して、「調和的情熱」というものがあります。

これは、その活動そのものが楽しいという理由で、いだくことのできる情熱のことです。

調和的情熱の持ち主は、健康で、幸福感が高く、成果もあがり、人生全般に満足できる傾向がある。

調和的情熱は、ひとりでに生まれてくるものではなく、意識的に生み出していくものであるということにも注意が必要です。

大切なのは、比較の中に身を置くのではなく、自分自信の素直な感情や状態を歓迎するということから始めてみることです。

例えば、他者と比較して、定量的に見える成果(例えば、評価、収入、資産、名声等)にフォーカスしてしまうと、すぐに強迫的情熱に色が変わっていってしまいます。

そうではなくて、自分自身のありのままの姿(何をやっているときが一番楽しいか、幸福を感じるか等)に意識的に思いをはせて、その行動を続けるように周囲の環境設定をしていくことが大切です。

比べる先を変えて見ることです。他者などの外部の要素ではなく、過去の自分にしてみる。

すると、いまの自分がどれくらい努力をしているかが、自己評価の基準になっているという、ポジティブなスパイラルへといざないを得ることができます。これほど、完璧な競争環境はないでしょう。

外部から得られるような要因は、脇役に過ぎません。たしかに、そうした要素にどんな人でも左右されます。もちろん、「調和的情熱」に包まれている人でも、無関心ではいられないでしょう。

しかし大切なのは、それらが主役ではないということです。まず自分自身を大切にするべきで、調和的情熱はそうした、自己認識を正しくする人のもとに訪れます。

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まずは、自己認識せよ?

大切なのは、バランスを取ろう!とすることよりも、まずは、自分を認識することから始めてみるということです。

バランスを取ろうと苦闘するよりはるかに好ましいのは、自分の現状を正しく理解することだ。

中核的価値観、感情、情熱、行動、他人に及ぼす影響を主体的にチェックしてみて、それらを評価することから始めてみましょう。

自分の状況を絶えず確認して、その認識に基づいて生きていくのです。

絶えず必要な理由は、人の自我は時間を経るにつれて、変わっていくものだからです。

自己認識がしっかりしていれば、没頭して得られる目先の幸福感と、その活動を続けることで得られるような将来的な結果を区別して考えられるようになります。すると正しい習慣を身に着けて、自動的に自分を楽しい行動へといざない続けることで、結果的に大きな成果(時間を味方につけることができているので)を得る可能性も増大していきます。

自己認識を深めれば、バランスを欠いた情熱的な人生を送ることの代償を正しく認識できる。

自分を正しく認識するためには、仏教の古い教えにガイドをしてもらうのが良いかもしれません。

1.私はかならず老いる。
2.私は必ず病む。
3.私は必ず死ぬ。
4.私は大切に思っているものすべてと切り離される。
5.私の唯一の財産は自らの行動である。

自分の認識と行動の上に、私たちは立っているのです。

そこから正しく見える景色を忘れることなく、行動をただひたすらに行っていくことで、結果的に人生というものが現れてくるのでしょう。

情熱は、生きるためのエネルギーを生み明日素晴らしいものになる可能性がある半面、生きるエネルギーを吸い取る破壊的なものになる可能性もある。

情熱は、世界を前に進める力を持っているのです。使い方次第では、もしかすると人々に悲しみや苦しみを与えるものになるかもしれませんが、正しい自己認識の元、運用すれば、活力と喜びで満ちるものとして受け入れることができるのです。

まとめ

  • 強迫的情熱に注意せよ?――プロセスではなく、成果に情熱が向くことは、危険です。
  • 調和的情熱を歓迎しよう?――プロセス自体に幸福を覚えることを意識してみましょう。
  • まずは、自己認識せよ?――正しく、自分という存在を知ることから始めましょう。
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