- よりよい人生のために、なにが大切でしょうか!?
- 実は、パッション(情熱)のマネジメントかも。
- なぜなら、パッション(情熱)は良くも、悪くも、機能するからです。
- 本書は、情熱の実態を知り、活かす1冊です。
- 本書を通じて、情熱の異なる側面に触れ、多くの示唆を得ることができます。
情熱の重要性と危険性とは?
たしかに、世の中で成功者と言われるような活躍をした人の原動力を見つめていくと、押し留めようのない、情熱、ハングリー精神、情熱に思い至ることがあります。
たしかに、情熱は、人生をより良くするために不可欠な原動力です。それに間違いはありません。
高い成果をあげるための行動だけに着目していると、決定的に重要な要素を見落としてしまう。
実は、情熱が強すぎると、人生がめちゃくちゃになり、燃え尽き状態に陥る危険性もあるのです。
しっかりとした自己認識を持てない人は、この傾向がとくに顕著に現れてると、著者らは語ります。
この点については、こちらの1冊「【大切なのは、“パーパス”のすり合わせ?】成果が出るチームをつくる方法|知念くにこ」で紹介されたサンタクララ大学リービー経営大学院のリーダーシップ論の教授ジェームズ・M・クーゼスさんの研究成果にリンクしますので、ぜひあわせてご覧ください。
大切なのは、自己認識なのかもしれません。
何かを得ようと奮闘している時、それ以外のことはすべてどうでもよく思えてくる瞬間があります。でも、それが好ましい結果につながればOKなのですが、そういかないこともあります。
うまく行かなかった場合、情熱は仇となります。
ものごとに熟達し、大きな成功を収められるのは、情熱をもっている人たちだ。しかし、慎重に注意深く向き合わなければ、情熱はたちまち災厄の原因になりかねない。弊害が恩恵を大きく凌駕する場合もあるのだ。
本来的に恩恵と、弊害は、自分で選ぶことができるはずです。
自分が何を目指していて、それにたいしてどのくらい情熱を燃やそうとしているのか、そして、その結果どのような世界観を作りたいのか、そのために社会や他者との関係性がどのようになっていくのかを、見いだせる場合、きっと上手にコントロールすることが出いるのです。
情熱のリスクとは?
情熱には潜在的なリスクがあります。以下の4つです。
- 目に見える結果と外的な評価の奴隷になる。
- 情熱の追求以外にいっさい関心が向かなくなる。
- 燃え尽きる。
- 喜びを感じられなくなる。
つまり、情熱も「持ち方」が大切であるということになるでしょう。
何のための情熱か?そして、それはどのようなベクトルを持っているのかを検討して置くこと、すなわち自己認識が間違いなく大切です。
最初のリスク「目に見える結果と外的な評価の奴隷になる」ということは、自分でコントロールすることができることと、できないことを見誤ることで起こります。
結果と、評価は、残念ながら自分でコントロール不可能なことです。でもそれらの、例えば、金銭、名誉、処遇、待遇、地位などが、情熱の源泉となっている場合、泥試合が待っています。
常に、自分が評価されるなど、だれも決めることができないからです。
大切なのは、自分がコントロールできることで、情熱を燃やすことです。それは自分のマインドセットや、行動、そして、視野視座などの論点です。
これらについていち早く気づき、情熱の燃やし方を知ることで、最悪の結果を避けることができます。
もしかすると、この発想を磨くためには、コントロールできることとそうでないことを見分けることの重要性を説いたストア派に教えを請うことが良いかもしれません。
こちらの1冊「【ストイックは、生きやすい?】ストア派哲学入門 ──成功者が魅了される思考術|ライアン・ホリデイ」をぜひご覧ください。シリコンバレーでストア派が、注目されている理由がよくわかります。
情熱は自由に放任するものではなく、計画と意図をもってコントロールすべきものであることも指摘したい。(中略)自分の情熱を見つけろと誰もが言うけれど、見つけ方を教えてくれる人はほとんどいない。情熱とのつき合い方を説く人はもっと少ない。
情熱が仇となるような経過は次のように、観察されることが多くあります。
- あなたは大好きな趣味を職業にできました!(「楽しみ!」)
↓ - しかし、すぐに楽しい趣味が、「仕事」に思え始める(「あれ、なんだかおかしいぞ!」)
↓ - 大好きだったことが、退屈に感じ始める(「どうしてこうなった?」)
↓ - 情熱の対象に、恐怖心を感じ始める(「どうしたらいいのかわからない」)
情熱を燃やすだけ、それは自分の不安や恐怖を増大させるジレンマに陥り、そこから抜け出せなくなります。
情熱を毒に変えないために?
情熱には、依存性があることも知る必要があります。
人間は生物学上、現状に満足するようにできていない。
情熱に拍車をかけるのは、「ドーパミン」という神経伝達物質です。魅力的なご褒美を獲得しようとして行動すればするほど、そしてその結果(たまたまかもしれないのに)見事な報酬にありついた場合、人はその行動をさらに強化しようとします。大量のドーパミンが、とてつもない学習効果を提供するからです。
快感を得ることと、情熱が混同された時、私たちは、すぐにジレンマに陥ることになります。ますます目標に向けて邁進してしまうのに、そこに、約束はないからです。
何かを達成することに対して、情熱を燃やすことは、自分にとって困難な状況をもたらすことを知るべきです。
達成ではなく、過程がなにより大切です。
その過程こそに情熱の源泉と、対象があることを感じましょう。
大切なのは、次のポイントです。
自分が情熱に関してどのような思考様式をもっているか考えてみよう。
あなたは「フィット思考」を持っていませんか?
実は研究によると78%の人が、フィット思考を持っていると言います。これは、最初から、情熱を持てる「趣味や仕事を見つけること」が幸せにつながると考えているということです。
でも、趣味や仕事は、自分の情熱の手段でしかなく、目的ではないのです。あるいは、もっというと、その趣味や仕事も本当にそれが自分にとって最適かはわからないのです。
例えば、コンサルティングと一言でいっても、その業務内容や価値はさまざまです。既存の仕事や趣味で自分を縛ることはないのです。
自らの情熱を言語化し、自覚的になることで、自分が主体的に仕事を作ったり、趣味を作ったりすることから始めることができます。
そうすると、その過程に情熱が向きやすくなるため、達成志向に陥ることなく、情熱を上手に運用することができるでしょう。
大切なことは、つまり情熱とは固有のものであり、他者と比べてみたり、社会の枠組みとして捉えてみたりできないものであるということを、知っておくかということになるでしょう。
情熱は少しずつゆっくり育むのが賢明だ。
安全で安定した仕事から情熱を燃やせる活動へと、少しずつ軸足と比重をコントロールしていきましょう。
情熱と共に歩むことを選ぶのであれば、少しずつでも確実に前進するスタイルを身につけることが大切です。
いずれ、情熱の追求に専念すべきか判断しなくてはならない時期が来る。もしそうした道を選ぶなら、思い切った決断が求められる。忘れてはならない。この決断をするために必要なのは、単なる予感や直感ではなく、実践を通じて育まれる自信だ。
あらためて本書『パッション・パラドックス 情熱をマネジメントして最高の仕事と人生を手に入れる』に触れていると、本当にいろいろな気づきがあります。次回もレビューを続けてみましょう。
まとめ
- 情熱の重要性と危険性とは?――燃やす対象によって、報われないことがあります。
- 情熱のリスクとは?――情熱のリスク4つを肝に銘じて、行動しましょう。
- 情熱を毒に変えないために?――自己認識を正しく、頻繁に行うことです。