- 変化する時代にいかに対応することが、ポイントでしょうか。
- 実は、インサイトを掴み、活かすことです。
- なぜなら、インサイトとは固有のものごとの見立てであるためです。
- 本書は、インサイトを基軸に、事業の立ち上げ、改善のヒントを得られる1冊です。
- 本書を通じて、自社の能力について、再定義する視点を獲得することができるでしょう。
変化を導くためには?
昨日の投稿「【本当のインサイトの話とは?】インサイト中心の成長戦略|中村陽二」に続き、今回も本書『インサイト中心の成長戦略 上場企業創業者から学ぶ事業創出の実践論』のレビューを続けてみたいと思います。
不確実な時代において、絶えず新しい挑戦を行いながら自己変革、自己変容を進めていくことが大切です。変化する外部環境に適応するためには、結局のところ絶え間ない変化が最良の作戦となります。
新たに進出する方向性を見つけるためには、次の4つのルート、あるいは複合が考えられるでしょう。
1)儲かっている先行者の情報
2)情熱を持てるもの
3)構造変化
4)実務を通じたインサイト
とくに儲かっている先行者の情報は、大きな刺激になります。
儲かるという現象から、何を見るかが大切です。その時に、事例を抽象的にとらえて、世の中の普遍的なニーズや流れについて着眼点を持っておく必要性があるでしょう。
例えば、ウーバーやエアービーアンドビー、アマゾンなどがビジネスを伸長させているという情報を掴んだとしましょう。大切なのは、その読み解きです。ポイントは、これらに共通する仕組みや人間のペイン、あるいはそれを求める社会課題などについて視点をずらしたり、俯瞰したりする中で、ビジネスのコンセプトを見出すことができます。
これらに共通するのは、売り手と買い手のマッチングを適切に行うマルチサイドプラットフォームの側面と、さらにその過程で、集まってくるデータを元手に、最適化のビジネスコンサルテーションのポジションを獲得できるということが、ポイントになりそうです。
情報がデバイス、ネットワーク環境が整ったことにより、多くの人がそうしたプラットフォームにアクセスできることが追い風になりました。
ものごとの内実に触れながら、抽象的なレイヤーにまで想いを連鎖させることがビジネス分析のキーになります。
自社でゼロからサービスを考え、実験し、機能する商品を発見することは非常にコストが高く、不確実であり、時間もかかるからである。
先行者がどのような狙いを持って、どのようなアクションを取ろうとしているのかについて、意識的に情報にあたってみることが、よりよい変化を自社に持ち込むことになるでしょう。
強みを自覚せよ?
外部に想いをはせることも大切ですが、同時に大切なのが、自社は何が得意なのか、強みなのか、という内省です。
これがなければ、何ができるかがわからないし、何が得意なのかもわからないので、チャンスがあってもそれを掴み取っていいものなのかを、具体的に判断することができません。
自社が持つ能力は哲学的な議論や特定の技術・特許ではなく、既存事業がなぜ儲かっているのか?を問うことで答えを見出せる。
なぜなら、必要とされており、他社にはないものが、利益の源泉となるためです。他社でもできる能力ばかりで事業を続けていては利益率は下がっていくばかりです。
こうした問いかけを、自ら、あるいはチームに投げかけていくことによって、自社が新規領域、あるいは変化のために元手にできるような自己能力に意識的になるように働きかけをしてみるのが良いです。
強みや能力をざっくりとした領域ごとにまとめると、以下のような記述になります。
- 営業・マーケティング=他社より売る能力が強い
- 製品企画・開発=他社より優れた製品を企画・デザインできる
- 製造・サービス提供=他社より安定的かつ大規模にサービス・商品を製造し提供し続けられる
- マネジメント=他社より大規模かつ効率的な組織を形成し運用できる
キーは、新しいことよりも「慣れていること」に対して、いかに自覚的になれるか?ということです。
自社は当然のようにやっているが、他社から見ると難しいという「慣れ」に注目してみよう。
また、自社の能力を「点」として捉えるだけではなく、多くが組み合わせであることを意識して、「線」や「面」として認識することも欠かせない視点となるでしょう。
インサイトを見つけるには?
インサイトを見つけて、新しい取り組みを進めていくためには、実験をしながら下積み期間が不可欠になります。
その時に大切なのが、「大成功はしづらいが確実な売上を期待できるビジネスモデル」に、まず張ってみるということです。例えば営業代行、マーケティング代行、BPO、製作、仲介などです。
これらのビジネスモデルは一定品質の労力を投下すれば、比較的安定して売上を作ることができます。
大切なのは、そうして売上を獲得できたところで、必ず何かを得ようとする心構えです。
やってお終い!ではなく、そこでどのような能力(マインドセット、スキルセット、人脈、情報、インサイト等)を掴むことができたのか?を評価し、言語化することで、新しい取り組みのための視点を得ることになります。
本書におけるインサイトの定義は次のようなものです。
本書が定義するインサイトとは「背景知識に基づいた現象解釈による戦略」を指す。
これに対して、マーケティングの文脈におけるインサイトは、「明示的には言われていない、人間が行動する急所」として定義することができるので、本書は、もっと自社の能力開発の視点を含んでいるものであると言えるでしょう。
インサイトを掴むための最も有効な手段は、やってみる!ということです。
自分自身で、企画・開発・販売を行うことを通じて、顧客と接点を持つことで、相手が困っていること、あるいは相手が求めていることを察知することができます。
それは、とても貴重なインサイト。
そのインサイトを起点に、さらに商品やサービスをブラッシュアップすることができれば、自らのビジネスを軌道に乗せていくことも可能になるでしょう。
まとめ
- 変化を導くためには?――4つのルートを知り、新しい一歩を踏みだしてみましょう。
- 強みを自覚せよ?――儲かっていること、慣れていることにヒントがあります。
- インサイトを見つけるには?――何より、自ら行動してみることが大切です。