【演繹という可能性捨ててない?】演繹革命 日本企業を根底から変えるシリコンバレー式思考法|校條浩

演繹革命 日本企業を根底から変えるシリコンバレー式思考法
  • いかに自分の意識をメタ認知して、経営判断を下していくことが可能でしょうか。
  • 実は、演繹と帰納の双方の可能性を見つめることです。
  • なぜなら、帰納優先の組織の中で、放って置くと、演繹的アプローチは排除させていくからです。
  • 本書は、演繹と帰納を横断して、意識するための視点を養う1冊です。
  • 本書を通じて、自らの判断軸に資する視点を得ることができるでしょう。

演繹と帰納の違いを振り返ると?

前回の投稿「【思考をメタ認知せよ?】演繹革命 日本企業を根底から変えるシリコンバレー式思考法|校條浩」でもこちらの1冊『演繹革命(えんえきかくめい)―日本企業を根底から変えるシリコンバレー式思考法』を取り上げさせていただきましたが、今回も引き続きレビューを進めさせていただきたいと思います。

帰納法と演繹法という2つの思考方法の特徴と、それらが組織運営にどう影響するかを解説しています。帰納法は個別の事例から一般的な法則を導き出す方法で、日本の組織で一般的な思考法です。

一方、演繹法は普遍的な法則や理論から個別の結論を導く方法です。

著者・校條浩さんは、戦後の日本企業に根付いた帰納的思考が、現代の変化の時代への対応を難しくしていると指摘します。特に事業計画において、帰納思考は過去の成功例を参考にするのに対し、演繹思考は「コンセプト」を重視し、新しい価値創造を目指します。

組織運営では、経営者が(おそらく日常業務においては)唯一演繹的アプローチを取りやすい(むしろ取ることを目指すべき存在)立場にあり、両方の思考法を理解し活用する「両利き」の経営が重要とされています。これからの時代は、帰納思考の組織の中で、いかに演繹思考を取り入れていくかが課題となっています。

演繹思考の人が、機能思考の大きな組織や社会を動かしていくためには、どのようなロジックが必要なのでしょうか。

大切なのはお金という基準を、上手に説明として使っていくことかもしれません。

1ドルは1ドル。これはもう世界共通です。世界中どこに行っても1ドルの価値は1ドルです。

例えば、ベンチャー企業がそのビジネスを他者(とくに帰納的アプローチを取りがちな大企業など)に説明する時、お金という基準が一つのキーになります。

夢や社会価値やビジョナリーも大切なのですが、そこでお金の話をエレガントに差し込むのです。

フォロー・ザ・マネーと言って、スタートラインは「お金の流れ」を見ることから始めます。

あれこれ言う前に、まずは何千社もあるようなスタートアップ企業と比較しながら、どのくらいの期間で、いくらお金が集まったのかを順を追って見てみることから、当社の帰納的な説明の基準を持つことができるようになります。

さらにはその過程において、累計だけが意味をなすのではなく、どういうアプローチやファクトが、お金を生み出したのかを見通すことができ、自社の戦略に対して、必要な視点や強化する視点を獲得する副次的な効果を得ることもできます。

逆に言えば、お金の流れを見ることによって、これからどんなものが動いていくのか、何が成功しつつあるのかという、未来のことも予測できるようになります。

精神論ではなく、どこまでもお金を基準に考えることは、想像以上に大事なことなんです。

フォロー・ザ・マネーという発想は、まだ事業として売上や収益が立っていないときにも意味ある指標だということを認識して、調達がどのようにされたのかを解像度高く追いかけておくことを意識しておきましょう。

問いを大切に?

そうした帰納的な説明ロジックを味方につけながら、演繹的なアプローチに磨きをかけていくことも大切でしょう。

演繹思考は、目の前の問題から学ぶわけではなく、普遍的な大きな流れを通じて自己学習を進めていくことが可能です。

例えば、企業の取引関係を考えることにおいても、次のような問いを立てることができるでしょう。

  • 自社と顧客企業との関わりの本質はそもそもどういうものなのか?
  • 顧客企業が求めていることは、本質的に何なのか?
  • 顧客企業の経営トップと現場でどう違うのか?
  • 将来の事情の変化により、本人たちも気がついていない彼ら自身の将来のニーズの変化は何か?

演繹思考は、こうした問いかけを通じて、より高次元で長期的な学習を志向します。

一方、今すぐ解決しなければならない今日の問題を解決するためには帰納思考の学習が基本です。どちらが正しい、というわけではなく、帰納思考、演繹思考の両方が必要なのです。

帰納思考は、いまの企業が大切にしているロジックなので、なんとなく日常の延長線上で学ぶことができると思われます。しかし、演繹思考はそういうわけにはいきません。

より本質的で、根源的な問いを持ち、それに対して、自ら答えを探索するように、他者を関わりを持つことより、他に解決の手段は見つけられないと推察されます。

今、目の前にあるものごとや問題点にフォーカスして、解決するのではなく、「そもそも」という視点を以下に養うかがイーになるのです。

そもそもそれは本当に問題なのかなど、本質的なことに疑問を持つことから始まります。

問いについてはこちらの1冊「【問いが、人を動かす原動力になる!?】問いかけが仕事を創る|野々村健一」もぜひご覧ください。

帰納に溺れないために?

帰納的、演繹的には、「変化」に対する見立てが異なります。

例えば、売上を加算するような帰納的思考にとって、「変化」は連続的なものです。日本企業が世界的に他る製品の高品質さは、帰納思考の価値観からきています。

品質維持のためには変化をなるべく最小にすること。

ものごとの連続性を重視するのです。連続性の中で、少しずつ内容を良くしていくアプローチをとります。連続性がハッキリ見えない場合については、プロコン表を作成して、徹底的に内実を洗い出していくことが求められるのも特徴でしょう。

プロコン表などで、あらゆる角度で、ものごとが検証された結果、連続性が担保されないと判断されたもの(多数の総意が得られない)については、その案やアイデアは、ストップとなります。

一方で、演繹的にものごとを進める場合については、A、B、Cを見て、πを夢想するように、そこからの変化は不連続のことがあります。

もっと言えば、いままでの課題の中で、解答を探すのが帰納思考だとすると、いままでの課題の外で新たな課題を創造するのが演繹思考とも言えます。

これらの違いを明確に理解しながら、日常の中でいかに意識することができるか、それを続けられるかがより豊かなジャッジや発想を実現させていくためには、大切なのだと思われます。

まとめ

  • 演繹と帰納の違いを振り返ると?――積み上げか、大きなコンセプトか、起点が異なります。
  • 問いを大切に?――問いを重視して、演繹アプローチも大切にしてみましょう。
  • 帰納に溺れないために?――絶えず自分をメタ認知して、判断軸を守りましょう。
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