- どうしたら自分とより良い形で向き合うことができるでしょうか?
- 実は、ムリをしないことかも知れません。
- なぜなら、人は行動とそのタイミングで、自己理解が深まるからです。
- 本書は、自分と向き合うヒントをえられる1冊です。
- 本書を通じて、自分という存在を俯瞰する視点を得ることができます。
「べき論」から少し身を置くには?
前回の投稿「【選択とは可能性拡張?】過去の握力 未来の浮力 あしたを生きる手引書|ジェーン・スー,桜林直子」ではジェーン・スーさんと、桜林直子さんの対話エッセイをご紹介させていただきました。これに続き、今回は桜林直子さんの1冊をご紹介していきたいと思います。
夢組と叶え組という不思議な、でも、何か惹かれるタイトルの1冊ですが、以下のような書き出しで始まります。
おとなになってからわかったことがいくつかあって、ひとつは、「これをするぞ」と決めてすすめる人と、すすみながら見つけていく人がいるということだ。
ゴールの設定を先に決めて、そこに向かって道をつくって進めていく人のことを夢組と本書では呼びます。
そして一方で、まだ見ぬ何かよりも、目の前にあるものに対して何を思うかで判断しながら、その都度いい感じの方向性へ進んでいく人を、叶え組としています。
どちらが良いということではなく、その2つがあるということを抱えて生きていくことで、「べき論」から少し身を引いて、素直な自分に向き合っていくことができるのではないか?ということを享受できるような気になります。
夢中になる能力があるやりたいことがある人を「夢組」だとしたら、やりたいことがない人は「叶え組」だ。
この二人は、チームになるとよいです。仕事でも、夫婦でもなんでも、自分にない能力を大切にできる関係は、互いにより良い部分を引き出す可能性を秘めています。
そしてそのためには、自分が果たして、夢組なのか、叶え組なのか、知っておくことが大切かも知れません。無理して違う何かになる必要はなく、自分の感性が働くことを見極めていけばいいのです。
桜林直子さんの人生の見立ては、論理的なところがあります。
極端なことを言うと、人生はただの時間だから、死ぬまでの時間を何に使うか、誰といるかがすべてだと思う。
時間の使い方の重要性を説く本はたくさんあるのですが、これほどまでにストレートに人生について語る方も珍しいのではないかなと思います。
そして、誰といるか?ということは特に重要な論点です。人は、一人だと寂しいし、だけど、気が合わない人といくらいても、互いに幸せを分け合うことは難しいものです。
やりたいことの時間割で言うと、仕事に限らずすべての時間を「気が合う人とすごす」になる。だから、相変わらず夢中になれるような「やりたいこと」は見つからないけど、「気が合う人に会えるかどうか」でやることを決めている。
桜林直子さんは、叶え組なんですね。
自分の原液を活かそう?
まず、自己認識が大切です。自分はどんな人間なのか、どういう夢や、あるいは感度を持って、毎日の生活を送っているのかについて、意識的になることが自分を拓いていくきっかけになります。
「自分を知る」とは、「原液」を知ること
原液というのは、桜林直子さんが、子育てをしているときによく連想した概念だそうです。子どもというのは、「自分と深く関係があるけど別の人格」です。
同じようなこともあるけれど、確実に違うこともある。
そのようなせっかくもって生まれてきた特性を活かして、人生を一人ひとりが歩むことができれば、そんなに幸せなことはありません。
自分を知ることでしか、自分を変えることはできない。
リスキリングや、アンラーニングなどの自分の見つめなおしの概念がすごく注目されています。今の時代は、自分がいかに生きるかを見直すことを全員(人も企業も)行っていくような空気感なんでしょう。
他人のことが気になってしまうときには、自分のやるべきことが決まっていない時です。自分で熱中するものが決まっていれば、そんなことに意識リソースを割いている時間はなくなるからです。
「暇」は最大の敵であり、これが結構な悪さをします。
他人と比較しない方法を考えるよりも、まずは自分を知り、そして自分が夢中になれる何かについて時間を使い続けられるマインドセットと環境を整えることが重要なのです。
夢中タイプと自分の距離をはかる?
桜林直子さんは、「夢中になれる人」には2つのタイプがあるといいます。「オタクタイプ」と「ヤンキータイプ」です。
「オタクタイプ」は、夢中になる対象が、人や作品や学問などのあらゆるジャンルの「コンテンツ」で、受け取る側の人もつくり出す側の人もいる。そのことについていくらでも語れるし、同じものを好きな人同士がコンテンツを通してつながることができる。
「ヤンキータイプ」は、夢中になる対象が、特定の人や地域との「結束」で、仲間と一緒に何かを達成したり、共感などの感情を通してつながったりすることができる。ヤンキーといっても暴力性の意味はここにはなく、「ウチら」という結束感や「仲間だからたすける(戦う)」というマインドのことを言っているのでご了承を。ワンピースタイプ(マンガの)とも言う。
この「夢中になれる人」のタイプ別に自分を俯瞰してみるのもよいでしょう。
桜林直子さんは、当初、叶え組だったのですが、とある時から、夢組に軸足が移っていったといいます。そのきっかけがとても印象的でした。
「自分とは関係ない」と思い込んで見ていなかった範囲が広くみえるようになって、「自分と関係ある」と思い込んで勝手に責任を負っていたものを、選び直すことで絞って身軽になったからだった。
自分という存在はそのままでも、どこまでを「自分」とするか、「自分」の範疇で引き受けるかということを考えることは、いつでも変えられるのです。
と、言うことは、夢や目標をもてない自分はそのままでも、「わたしは、叶え組だからやりたいことがなくていい」と考えを止めずに、考え続けたら見える景色もあるのですね。
自分を俯瞰するためには、こちらの1冊「【自分に還ることは、成長に不可欠!?】WILL 「キャリアの羅針盤」の見つけ方|大川陽介」もぜひご覧ください。
まとめ
- 「べき論」から少し身を置くには?――自分が何を行いたいかを感じることからはじめましょう。
- 自分の原液を活かそう?――薄くできない自分の特性を活かしてあげましょう。
- 夢中タイプと自分の距離をはかる?――自分を俯瞰するヒントをえましょう。