- AIとの協働を考える時、どのような論点が重要でしょうか?
- 実は、AIと人をひとつのチームとして捉えることです。
- なぜなら、そのほうが互いの長所を引き出しやすくなるからです。
- 本書は、AIとのより良い協働を考える1冊です。
- 本書を通じて、人の仕事の本質に迫るヒントを得ることができます。
AIを知ろう?
AIの長所と短所について知っておく必要があるでしょう。
AIの長所
- 多量のデータの蓄積と処理
- 単純作業に対する正確性・効率性
- 披露しないため長時間労働が可能
AIの短所
- 新しいアイデアを生み出す創造性
- 人と人の信頼関係を築くコミュニケーション
- 相手を思いやる共感力
これらの前提を理解しながら、人の仕事とは何かを意識的に考えていく必要があります。
人がより軸足を移すべきは、新しいアイデアを生み出し、創造性を発揮することです。さらには、そのために、なぜ人は生きるのか?あるいは、なぜ社会はあるのか、などの哲学的な問いに対して絶えず考え、行動していくというスタンスがより大切になってくるのかも知れません。
AIが代替するような作業に邁進する時代は終わり、自分のための時間を確保しやすくなるはずです。その時間をいかに豊かなものにできるかどうかは、存在意義・意味について考え続ける態度から生み出されてきます。
人間側を軸として、高いパフォーマンスを発揮する上で必要となる能力・知識をかけ合わせた結果として、AI思考は次の5つの要素によって構成されます。
本書で取り扱うAI思考とは、次の5つを指します。
1)論理的思考・・AIがない状態でも、論理的思考を人間が行い、AIの判断の妥当性を確認する必要があります。
2)AIに関する知識・理解・・AIを使いこなすための知識や体験に基づく理解が必要になります。
3)業界・ビジネスや人間関係等の知識・・少なくとも自分の得意領域については、AI回答の真偽をフィードバックできるようにするべきでしょう。
4)適応力・・AIの回答に対して俯瞰的・直感的に捉えて次の1歩を考えられる適応力は不可欠です。
5)倫理・・AIはデータの処理に長けていますが、処理内容が人間の倫理観にあっているかどうかについて、人がジャッジする必要があります。その判断に必要な背景、関係する人や文化などさまざまな情報に触れておく必要があるでしょう。
これら5つの力やスタンスを養うことで、AIとの協働をより良いものにすることができます。もっというと、人としての教育のあり方について、これらの項目に従って再検討が必要になっているんが、現代社会であるとも言えそうです。
創造性のタガを外す?
AIの立ち位置や存在意義を改めて規定してみることも重要でしょう。
AIは私たちの脳をさらに拡張させるものです。なぜなら、脳がより定型的な仕事にウェイトを割くことの必要性を最小限にしながら、創造的な発想にかける時間を増やすことができるためです。
AI思考を一言で表現すると、「脳のレバレッジ化」です。
多面的にものごとを分析し、処理スピードがきわめて早くなることで、創造的な仕事に対するインプットも増大することになり、アイデア創発のポジティブなスパイラルを手に入れることができるでしょう。
AI思考の実践を習慣化することで、えられる長期的なパフォーマンスは非常に良好なものになっていきます。
重要なポイントとしてあげられるのが、思考のパターンです。
人は、バイアスによって、同じものを好みます。これは過去の経験や法則性などを意識して、それまでと同じようにやっていることが、生存に寄与するものだという無意識のうちの判断によるものです。
しかし、現実では、それだけでは、ものごとの見立てや可能性を十分に引き出すことができるかと言うと、疑問が残ります。世界は変化し続けているからです。
AIは、この人間らしいバイアスを排除するパートナーであると表現しても良いかも知れません。
AIを使うことで、自身の思考パターンとは異なる観点の回答や文献が見つかることがあります。
この発見によって、自らの思考の断片の重要性に気づいたり、あるいは思考同士がつながるという効果も得ることができます。データを調査して裏付けを取る過程で、知識や思考の幅を広げられることも期待することができるようになるでしょう。
対話パートナーとしてのAI?
そう考えて見ると、AIというのは、人間の思考の可能性について拡張性をもたらすための道具なのです。人が衝動的に発想したなにかを再度検討し、つなぎ合わあせて、点をひとつの線にして文脈を作ることを支援してくれます。
それらは、可能性に満ち溢れた共同作業であると言えるようになるでしょう。
人が無意識のうちに無視してしまった可能性、消し去ってしまった論点、しまい込んでいた文脈、などなど、それらに光を当てて、マージする引込線をAIはそれとなく提供します。
まさにこれは創造的な作業であると捉えることができます。
AIと人間の対話を通じ、AIが収集・生成する膨大な情報の中から、人間が新しいアイデアの発想を得る方法です。
AIには、意志がないため、一見文脈に見えるものも、過去の人の文章の蓄積にほかありません。これらについては、著作権などのケアも必要になりますが、十分にそれらを考慮したうえで、自らの発想を豊かにする可能性を引き出しながら、活用することが理想でしょう。
AIは人と違い、いつでも、どこでも、必ず相手をしてくれることもとても重要な機能です。人が絶えず、対話できるパートナーをえたようなものです。
対話とは互いの認知や認識の外へ踏み出すとても素晴らしい活動です。これを日常的に行えるようになったというのが、最大の恩恵かも知れません。
思考というのは、頭の中にあるだけでは、手に取ることができません。大切なのはそれを言語化してみること。そして、言語化にあたっては言語を取り扱うことに非常に長けているAIの活用が非常に有効なのです。
対話の可能性については、こちらの1冊「【深い対話とは、自分を変えるものである?】ゼロからはじめる哲学対話|河野哲也」もぜひご覧ください。
まとめ
- AIを知ろう?――長所を活かし、短所をフォローしてあげましょう。
- 創造性のタガを外す?――アハをもたらす相手としてAIを活かしてみましょう。
- 対話パートナーとしてのAI?――いつでもどこでも言語化のお手伝いをしてくれます。