【航海は、まず帆を張ることから?】迷いを断つためのストア哲学|マッシモ・ピリウーチ,月沢李歌子

迷いを断つためのストア哲学
  • 自分の力を最大限発揮するにはどうしたらいいでしょうか!?
  • 実は、ストア派に多くの学びがあるかも。
  • なぜなら、限りある人生を、しっかり限りあるものと捉えているからです。
  • 本書は、死を正しく見つめるストア派の教えを説く1冊です。
  • 本書を通じて、いかに生きていくのかについてヒントを得ることができます。
マッシモ・ピリウーチ,月沢李歌子
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何がコントロールできる?

ストア派は、コントロールできものと、できないものについて、まずしっかりとした視点をもつことを促します。

コントロールできものに注力し、コントロールできないものに対しては、抵抗しないことを勧めます。

そして、大切なのは、善行を重ね、可能な限り世界に適応し、その一方ですべての行為が道理にかなうように注意を払うことです。ストア派は論理的な教えについて考えることを促しています。

わたしがストア哲学を信奉するようになった最後の理由は、死が必然であり、それにいかに備えるかについて、ストア哲学がもっとも直接的に、説得力をもって論じているからだ。

死が必然であるということを私たちは、日常生活の中で忘れがちになっています。でも、私たちは平等に死を迎える運命にあります。そうして、死を身近に感じることで、いまを大切に生きる原動力を見出すべきだと、ストア派は説きます。

認識するべきは、そうした限られた人生をいかに自分の感性を育てながら、社会と関わり合いを適切に持つことができるか?という論点です。

自らの人間性を育み、他者を(そして自然を)慈しむこと、そして世俗的な富に対しては、極端ではなく適度な距離を置くのがまっとうな生き方がということだ。

生きるための哲学として、ストア派の教えを絶えず実践していきましょう。実践、探求、学びはすべてつながっています。改善するべき点を見つけて、志を同じくする同士を見つけて、人生をより良い方向へ向けるように、人と協力しあいながら方向舵を操作するのです。

3つの重要性とは?

ストア派は、3つの学問の重要性をケアしています。

1)欲求と回避の意志です。求めるものを獲得しそこなわないように、回避しようとするものに陥らないようにするための鍛錬をしないといけません。
2)行動するかしないかという衝動に関する問題です。「何が適切な行動か?」ということを意識して、秩序正しく、十分な考慮と配慮のうえに行動することが前提となります。
3)騙されないこと、また、その場しのぎの判断をしないことです。何を受け入れるかという寛容性にも関する問題をしっかりと取り扱うことです。何を受け入れるかがキーです。

これらの意識を絶えず高めながら、自らの判断や、思考、そして行動を一貫して作っていく心構えが大切です。

そして、その一貫した行動を行っていく際に、「どうしようもないこと」に出会うことがあります。でもそうしたことに嘆き悲しみ、ぐちを言っていては、執着心から逃れられず、さらに苦しみを生みます。

ストア派の教えの原点に立ち返り、自分のコントロールできることとできないことについて知ることがキーです。

それはまるで帆船による船旅を彷彿とさせるのかも知れません。嵐が来るかも知れないし、順風が吹くかも知れない。でも、帆を張るものにしか、そうした外部の風を捉えることは到底不可能なことです。

コントロールできるものとできないもの、というストア哲学の二分法は、わたしたちが世界にどのような影響を及ぼすことができるかを、3つに分けて述べている。

1つ目は、選択です。目的(船旅)と、それを達成するための最良の手段(例えば、経験豊富な船員など)と思われるものを選びます。
2つ目は、選択をしただけでは、残念ながら期待の成果を生み出すかがわからないということです。船員が病気になるかも知れないし、予算内でリクルートできないかも知れません。
3つ目は、風の方向や強さこれらの外部要因についてまったくコントロールができません。

そう言えば、こうした考え方は、SWOT分析にも現れるのかも知れません。内部要因をコントロールできるものとして、外部要因をコントロールできないものとして、正しく見定めることから、企業の理想の戦略オプションを見つけるための下地が整うのですね。

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心の訓練を大切に?

心の訓練を、ストア派は重んじます。

たとえば、あなたが愛するべきもの。何でも良いですが、ガラスのコップとしてみましょう。そのコップに愛着を抱く時は、たとえそれが壊れても取り乱す必要はないと忘れないことです。

人間に対してもそうです。その人や関係がなくなろうとも、そこに執着せずに、ありのままを見つめることです。

まるで死者を愛するように、ただ、愛しても自分自身のものになるわけではないということに、意識を向けて、ただただいまを一生懸命に生きるという考え方を強化し続けるべきです。

そのものや彼らへの愛という気持ちは、一時的に与えられたものであり、永遠に手に入れられたわけでもないし、ずっと手元において置けるようにされているものではないということです。

世の中や社会は絶えず流動しています。流動しているからこそ成り立っているといっても過言ではないかも知れません。

それはまるで、波が波として存在しているからこそ、波として認識されるようなことなのかもしれません。

私たち一人ひとりの人間だって、森羅万象の一部として絶えず揺らいでいます。その揺らぎは、すなわち変化でもあるのです。変化が摂理だとした場合、それを認めないことは、事実誤認を生んでしまうのです。

ストア派が目指すことは、自然に自然と従えばよいのであるという、とても、論理的なアプローチです。

賢人ゼノンも次のように語りました。

私たちは「自然に従って」生きるべきだ

ストア哲学者は、実践的な知恵、勇気、節制、公正さという4つの美徳を取り入れながら、人格を見つめ続けることをすすめます。

実はストア派が大切にしていることは、多くの宗教でも理念として掲げられている視点があります。

  • 勇気──外的、内的な抵抗に直面しながらも目的を達成しようとする意志の強さ。勇敢、忍耐、真正性(誠実さ)など。
  • 公正さ──健全な地域生活の基礎となる市民としての強さ。公平性、リーダーシップ、市民権、チームワークなど。
  • 慈悲心──他者を「気にかけたり、助けたり」する対人能力の強さ。愛情、親切心など。
  • 節制──過剰なことから身を守る強さ。寛容、謙虚、思慮深さ、自制心など。
  • 知恵──知識の習得や活用に伴う認知能力の強さ。創造性、好奇心、判断力、大局観(他人に助言をする)など。
  • 超越性──森羅万象につながりを見出し、それに意味を持たせる強さ。謝意、希望、精神性など。

これら6つの中核は、キャスリン・ダルスガード、クリストファー・ピーターソン、マーティン・セリグマンによる研究によるものです。仏教、キリスト教、儒教、ヒンドゥー教、ユダヤ教、道教、アテネの哲学において美徳がどのように記さてているかを調べ、一致点を記載しています。

特にストア派との一致は、「知恵」「勇気」「公正さ」「節制」という4つの論点で強く見出されました。

人はそもそも世界との繋がりの中で、多くのことを感じ、考え、どうして生きていくべきかについて絶えず考えてきたのです。それは今に始まったことではなく、これまで積み重ねてきた人類の叡智の蓄積があります。

私たちは、その叡智に触れ、それを日常生活の中で、解釈し、実践へと向かう時間を積み重ねていくことを目指していくことが、よりよい人生を立ち上げていくことにつながっていくのかも知れません。

ストア派の教えに関してはこちらの1冊「【世界の定義は、自分にある!?】エンキリディオン(ストア派哲学の手引書)|エピクテトス,湊凛太朗」もぜひご覧下さい。

まとめ

  • 何がコントロールできる?――二分法を見誤らないように。
  • 3つの重要性とは?――意志と行動、そして、判断に関する基軸を持ちましょう。
  • 心の訓練を大切に?――ストア派の教えに沿いながら、絶えず自分の心と向き合いましょう。
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