【才能を解放するには!?】2032年、日本がスタートアップのハブになる|フィル・ウィックハム

2032年、日本がスタートアップのハブになる
  • 日本を再興する論点はどこにあるでしょうか?
  • 実は、日本は世界でも有数のポテンシャルを秘めた国かもしれません。
  • なぜなら、日本はあらゆる種類の創造性にあふれているためです。
  • 本書は、日本の底力をもう一度考える1冊です。
  • 本書を通じて、改めて社会にとってどのような視点がスタートアップにとって欠かせないものかを知ります。

日本を再認識する?

日本は世界的に、稀に見る資源を有する国です。

最高レベルのQOLがあり、ディープテックに対する高い関心もあり、世界3位の経済規模、そしてきわめて優れた交通インフラがあるのです。

日本のビジネスの意思決定の約80%が東京で行われており、この都市の中を少し電車で移動すれば他のイノベーターや意思決定者にすぐに会いにいくことも可能なのです。

たしかに、コロナ禍以降オンラインで仕事ができるようになりましたが、それでもやはりフィジカルな空間を通じた人同士の心のやりとりの優位性は変わらないものがあります。

あるいは捉え方によっては、オンラインでの繋がりが一般化する中で、多くの人がフィジカルな空間での人と人の繋がりをより意味をもって感じている可能性があります。

パートナーシップを検討しようとする際に、多くの重要な企業や大学や人々にすぐにリアルで会うことができる交通機関の利便性はとても大切なインフラになります。

日本のイノベーション革命の最大の課題は、「外」に目を向け、シリコンバレーの「神々」を崇拝するのをやめることです。

もっと「内」の声に耳を傾けるべきであると著者フィル・ウィックハムさんは語ります。

「内なる呼びかけの追求」をしていくには、大切な考え方があります。それは、イノベーションは困難であり、最初の試みではほとんどが「うまくいかない」という事実です。

これまでの成長経済や、その後も、日本の社会は、一定程度成功するものであるということに慣れすぎています。イノベーションと既存“業務”を同じものとして認識しないことです。

人間は「確実性」を好みます。

高い目標を掲げる意志を守り、育てていくためには、果敢に挑戦していくための支援のあり方を過去の延長線上で考えるのではなく、時系列の考え方も含めて、可能性を信じる視点を見つめていきましょう。

日本の可能性とは?

これまで、日本はこれまでソニーや任天堂といったビジネス、伝統文化、ポップカルチャーなどの分野で多くの天才を輩出してきました。世界を魅了するビジネスやコンテンツ、あるいはライフスタイルを作り続けることができてきたのです。

これは唯一無二の潜在的な魅力・価値を作り続ける国であることは間違いありません。

グーグル出身のAI研究者が新たなサカナAI(Sakana AI)を展開する企業を日本で設立されました。200億円の資金を調達した本企業は、世界中から注目を集めています。また、オープンAI(Open AI)もアジア初の拠点を東京に開設しました。

これらの企業が評価しているのは、「人材」への期待があります。日本人の技術面と創造面における才能の高さに言及しています。

創業者のライオン・ジョーンズ氏は次のように述べています。
「日本で会社を立ち上げると言うと、アメリカなどから人材を連れてくるのは難しいと話す人もいましたが、実際には、すでに多くの人たちが、海外からわたしたちに仕事を求めるメールを送ってきたいます。日本は、私たちが雇いたいようなコンピューターサイエンスのオタク的な人たちに、特に愛される国なのです」

日本は、自らのバリューを再認識するべきなのかも知れません。それは、観光資源という側面だけではなく、世界を変えるための技術や文化や社会の融合拠点としてのあり方としてです。

オープンAIのサム・アルトマン氏は、東京オフィス開設の理由を次のように述べました。

「日本には、人とテクノロジーが共通の利益のために協力し合う豊かな歴史があります。私たちは、AIが日本の人々の創造性と生産性をさらに高め、テクノロジーとイノベーションにおける日本のリーダーシップによって、世界の進歩への貢献をさらに推進すると信じています」

自己認識の問題なのかも知れません。日本人にとってあまりに当たり前のように感じているポイントに、大きな優位性があります。

何が日本を変えるか?

多くの日本人が、創造性は「日本的ではない」と考えています。この現象は皮肉です。

著者フィル・ウィックハムさんは次のように語ります。

私の意見では、平均的な日本人は、平均的なアメリカ人よりも遥かに創造的です。

私たちの周囲の多くの人は、自分にとって最も大切な活動や信念に情熱を持っています。社会貢献や旅行、歴史、芸術、そして音楽への愛など、一種の「スーパーヒーロー」のようなもう1つの人生を持っています。

日本では人々の外見は似ていても、内面は非常に異なり、多様性に満ちています。

自己認識がいかに大切か、そして一人ひとりが自分自身に対して自信を持ち、新しい挑戦をしていくことができるかというところに論点がありそうに思います。

これらのことはトップダウンで進めるような施策だけではいけないということも示唆されます。例えば、省庁が旗振りをする支援施策“だけ”に期待しないということです。

社会を変えるイノベーションというのは、慎重に選ばれた少数のイノベーターが道を示し、より大胆な想像力の躍進を促すプロセスを通じて生まれなければならないのです。

これは一夜にして起こることではなく、時間がかかります。忍耐が必要です。

高いレベルのつ確実性とも快適に共存できるようなスペシャリスト人材がのびのびと活躍できるフィールドをいかに作るか?そのためには、それを応援できる人(フォロワーシップ)を自分たちが育てていくというマインドセットも欠かせません。

日本は変わり者の天才を愛することを学ぶ必要があります。

変革を実現するという強い意志をもって、変化を歓迎していく意識を強く持ち続けながら行動をしていくことがキーになるでしょう。

スタートアップ関連では、こんな1冊「【Connecting the dots!?】100話で心折れるスタートアップ|えい,佐々木真」もおすすめです。いかに仲間が大切なのかについて、4コマという「いまの連続」を通して触れることができます。

まとめ

  • 日本を再認識する?――もっともっと“日本の力”を見つめましょう。
  • 日本の可能性とは?――文化、技術、社会のきわめて水準の高い交差点としてのあり方です。
  • 何が日本を変えるか?――一人ひとりの自己認識です。
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