- いかに生きる道を見出すべきでしょうか。
- 実は、自分からのびていることを意識し続けることかも。
- なぜなら、自分のものごとも見方、そして、言動で、道は続いていくのです。
- 本書は、ストア哲学の教えを明快に説く1冊です。
- 本書を通じて、私たちの生き様を見つめるヒントをたくさん得ることができます。
ストア派の教えとは?
前回の投稿「【障害が道を示す?】苦境(ピンチ)を好機(チャンス)にかえる法則|ライアン・ホリデイ」に続き、今回もこちらの1冊『苦境(ピンチ)を好機(チャンス)にかえる法則』のレビューを続けてみたいと思います。
前回の投稿において、古代ローマの皇帝マルクス・アウレリウスの金言に触れながら、人生の障害をいかに好機へと転換できるか――この永遠のテーマについて、考え方のヒントを探ってきました。
彼は「活動が障害に阻まれることはあっても、意志や心構えまでも阻まれることはない」と説きました。これは単なる楽観的な考えではなく、現実に根ざした実践的でかつ、論理的な生き方をすすめます。
ものごとには常に複数の側面があります。私たちが苦境だと感じる状況も、見方を変えれば、自己成長の機会となり得るのです。
そのためには、【ものの見方】【行動】【意志】という3つの段階(=ストア派が重視する3要素)を意識的に実践することが重要です。
まず状況を客観的に見つめ、次に具体的な行動を起こし、そして強い意志でそれを持続させる――このプロセスを通じて、障害は次第に道しるべへと変わっていきます。
実際、道は何もないところにはできません。障害のあるところにこそ、新しい道は開かれるのです。
私たちに求められているのは、「これはそれほど悪くない」という消極的な認識ではなく、「これはチャンスに変えられる」という積極的な姿勢です。
そして、この姿勢は利己的なものであってはなりません。他者のためにいかにあることができるか――この「利他」の視点こそが、2000年前から変わらない姿勢にほかならないのです。
頭の動きに体もついてくる。
ものの見方が、正しい行動を生み出すのです。行動には、発言も含まれます。
特に言葉は大切にしたほうが良いです。なぜなら、自分から発せられる言葉を最もよく聞いているのは、何を隠そう、その本人だからです。
自分の声に触れていると、リフレイン効果によって、思考をさらに強化していくスパイラルを作ることができます。これは、ポジティブな方向にも振れていきますが、マインドセットを誤るとすぐにネガティブ方向にも振れていきます。
変えられるものと、変えられないもの?
マインドセットを整えるためには、ものごとの見立てに対してどのような視野、視点を持っているのかについて意識的になってみましょう。
- 自分の感情
- 自分の判断
- 自分のクリエイティビティ(創造性)
- 自分の態度
- 自分の認識
- 自分の望み
- 自分の決定
- 自分の決意
これらは、まず私たちが触れるべきフィールドです。自分自身がどのようなこころを持ち、上記の項目についてどのような言動を生み出すエネルギーを蓄えているのかを、知ることが最初の一歩になるでしょう。
自分自身にフォーカスするのは、とても重要なことです。なぜなら、ストア派は、「変えられること」と「変えられないこと」という2分法をとても大切にするからです。
私たちが陥りがちな罠は、自分では変えられないことを変えられると思いこむことだ。
自分では変えられないものの代表とは、次のようなものです。
- 天候や自然災害
- 他人の考えや行動
- 過去に起きた出来事
- 生まれた環境や時代
- 年齢や身体的特徴
- 社会や経済の大きな流れ
- などなど
一方で、変えられるものは、次のとおりです。
- 自分の考え方や価値観
- 自分の行動や態度
- 自分の努力の仕方
- 物事への反応や受け止め方
- 時間の使い方
- 習慣やライフスタイル
- などなど
「変えられるもの」にフォーカスすることで、私たちは、何に作用させればよいかを明確に知ることができます。その先に何をすればよいのかを考える大きな分岐をクリアすることになります。
そして、次のような態度で、ものごとを進めていく勇気を得ることができるのです。
- 急がない
- 不安にならない
- 絶望しない
- 途中でやめない
取り乱したり、落胆したり、混乱したりしてしまいそうなときにも、これらの考え方で、自分を貫くことが大切です。
正しいことをまっすぐに?
正しいことはうまくいく
WHAT’S RIGHT IS WHAT WORKS
自然の摂理に従うことが大切です。他者のために、利他精神を大切にしながら、自分の信念を曲げずに、外へ外へとOPENな心を保って行動を積み重ねていく――、その先に、必ずいいことが待っています。
目標は、次のような気持ちで、絶えずベストを尽くすということです。
×「これで構わない」
×「これでよかったのだと思おう」
○「最高だ」
ストア派が生まれたローマ帝国時代に、もう一度思いを馳せてみましょう。
マルクス・アウレリウス帝の治世に大きな反乱が起きました。175年、シリア総督のアヴィディウス・カッシウスが突如として帝位を簒奪する動きを見せたのです。
カッシウスは、アウレリウスの死亡誤報を契機に反乱を起こしました。当時、アウレリウスは北方遠征中で、この報を受けて急遽シリアへ向かうことになります。興味深いのは、アウレリウスの反応でした。
彼は著名なストア派の哲人皇帝として知られていましたが、その哲学的態度は政治の場面でも発揮されました。
アウレリウスは、カッシウスに対して寛容な処置を約束し、元老院でもカッシウスとその一族を許すよう訴えかけました。「過ちを犯した者を許し、友情を踏みにじった者を変わらず友人として扱い、信頼を破った者を信頼し続ける」という思いによるものでした。
しかし皮肉なことに、カッシウスは自身の部下によって殺害され、その首がアウレリウスのもとに届けられることになります。アウレリウスはこの結末を嘆き、「生かしておきたかった」と述べたとされています。
その後、カッシウスの家族に対しては比較的穏やかな処置がとられました。子供たちは追放刑に処されたものの、死刑は免れ、一部の家族には財産の半分が与えられました。
この事件は、権力者の寛容さと現実政治の厳しさが交錯する歴史的な一幕として記憶されていますし、さらには、ストア哲学の教えである「怒りや復讐心に任せず、理性的な判断を下す」という理念を、アウレリウスが実践しようとした具体例としても、これまで語り継がれてきました。
アウレリウスは、兵士たちにつぎのように語ったといいます。
望みもしないこの恐ろしい状況に何か救いがあるとすれば、「この事態をうまく処理し、全人類に、内乱でさえも正しく対処する道はあるということを示すことだ」
ストア哲学は、わたしたちに2000年間変わらぬ普遍的な生き方の可能性を常に示唆してくれます。大切なのは、これまでの賢人や成功者がそうであったように、いかに毎日の実践の中で、それらを解釈し、言動として表出させることができるか?ということでしょう。
まとめ
- ストア派の教えとは?――【ものの見方】【行動】【意志】に関わる見立てです。
- 変えられるものと、変えられないもの?――変えられるものにフォーカスしましょう。
- 正しいことをまっすぐに?――過去の賢人から学び、自分の信じる道をいきましょう。