- いかに生きるべきか・・
- 実は、ストア哲学に触れることで、その答えがおぼろげながら見えてくるかも。
- なぜなら、2000年も前にすでに、私たちの生きづらさに対する答えは見出されているのです。
- 本書は、ストア哲学の思想に触れる贅沢な1冊です。
- 本書を通じて、本当の“ストイック”の意味について理解をすることができます。
ストア派とは?
古代ローマの偉大な哲学の教えとして結実し、その後も多くの偉人や賢人に愛されてきた考え方、それがストア哲学です。2000年という時の試練をくぐり抜けながら、現代にもその叡智が受け継がれています。
かの有名なアルトゥール・ショーペンハウアーは、ときにストア哲学を批判しながらも、それでも「人間がまったく理性の力だけを用いて到達し得る最高の地点」であるとたたえています。
ストア哲学を養った、ストア派と呼ばれる哲学一派は、紀元前3世紀前半にゼノンという人物がアテネで興したものであるとされています。ゼノンが初めて弟子たちに講義をした場所が「柱廊(ギリシア語で「ストア」)」だったことから、ストア派と呼ばれるようになりました。
ストア派の根幹となる教えは「徳」という言葉で説明できます。
「徳」(おもに自制、勇気、正義、知恵の4つ)こそが幸福の鍵であり、悩み苦しみの多くは物事そのものより物事の捉え方に原因がある、と考える。
そして、私たちがコントロールできるものを知り、コントロールできることに集中し真心を注ぐことで、平穏は心持ちを維持しながら、世界と関わることができる、と、説きます。
きわめて、「理性的な」考え方を持つ哲学派閥であると言えるでしょう。
内なる理性を働かせて、外の世界のものごとについて分別をつけ、反応し、それに合わせて自分を変えていくという力を養うことができます。
重要な3つの原則とは?
ストア派は、以下の3つの原則について、考えを説きます。
1.ものの見方について:周りの世界をどのように見て、受け止めるか。
2.行動:何のために、どのような決断を下し、どのような行動をとるか。
3.意志:自分の力では変えられないものごとに、どのように対処すれば曇りのない、納得いく判断を下すことができるか。・・・そして、世界における自分の立ち位置を正しく理解できるか?
ものの見方を整えることで、澄み切った目でありのままの世界を見ることができるようになります。行動をきちんと適切な方向に向けていれば、期待した成果を得ることができます。さらに、意志の力を正しく運用することができれば、どんな困難にも対処できる知恵とバランス感覚を身につけることができるでしょう。
これら3つの原則は互いに関わり合っています。
まず、自分がコントロールできるものはなにか?という見方をします。それは自分の行動や意志のベクトルを定めることができます。自分が制御不能なことについて、いくら努力したり悩んでもそれは、無駄であるといさぎよく切り捨てます。大切なのは、自分ができることを、しっかりとコントロールできるものに対してのみ向けるという判断です。
ストア哲学で最も重要な原則は、変えられるものとそうでないものを区別することだ。自分のちからが及ぶものとそうでないものを区別すること。
これらの3つの原則を磨き、そして実践することがストア派の志です。そして、その実践の過程において、彼らは、同朋の人生の喜びも含めて自分の人生の喜びとして捉えるという、素晴らしい生き方のコンセプトを見つけてくれています。
ストア派にとって自由とは、学びです。
教えの成果とは、真の知恵を得ることであり、そして真の知恵をえたものは、心穏やかに、何も恐れることなく、自由に暮らしていくことができるのです。
大切なのは、自由だから知恵をえられるということではなく、知恵を得るために視点や実践を制御しているからこそ、自由が伴ってくるという感覚を持つことです。
自分を知ることから始めよう?
ストア派の原則にそって、常に自分自身の視点・視野・視座について、考え続けてみることが大切です。
自分は何を見て、何を感じているのか?もしモヤモヤとした気持ちがあるのであれば、それはコントロールできるものに対するものか、そうでないか?自分は何のために、何をかんがえようとしているのか?などについて、常に自分を内省することで、考えるベクトルを正しい方向に向けることができます。
正しいと思った道へ向かって歩むという経験の積み重ねが、自分の自信につながり、心が穏やかになっていく機会を得ます。
ストア派を代表する哲学者であるセネカも、次のような言葉を残しています。
揺るぎない不動の判断を身につけた者だけが、心の平静を得ることができる。その域に達しない者は、何を決めるにしても絶えず揺らぎ、ぐらつき、物事を受け入れたかと思えば拒絶する、その繰り返しだ。なぜそんなに落ち着かないのか?確かなものが何かを知らず、最も不確かな指針――世の中の常識をあてにしているからだ。
――セネカ『論理書簡集』
世の中の常識や当たり前こそ、揺らぎ続けるものはありません。すぐに、そうしたまやかしの軸に自分の身を投げてしまうのではなく、むしろ常識や当たり前を自分の中につくり出していくということを大切にするべきなのです。
そして、その心構えこそが、哲学の始まりの1歩です。
自分を導く原則が何かをはっきりと悟ることは、まさに哲学の出発点である。
――エピクテトス『語録』
自分をまず知り、そして、自分の原則を立ち上げてみましょう。そこから初めて、世界をしる基準を成します。
その先は、常に行動をしながら、外の世界の変化を感じ、ものごととの関係性の中から、自分の原則を育て、そして心穏やかな道をひたすらと歩んでいくと良いでしょう。
明日も引き続き本書について、触れてストア派の教えにさらに深く触れていきたいと思います。
ストア派についてはこちらの1冊「【2000年前に分かっていた人生の秘密?】心穏やかに生きる哲学|ブリジッド・ディレイニー,鶴見紀子」やこちら「【世界の定義は、自分にある!?】エンキリディオン(ストア派哲学の手引書)|エピクテトス,湊凛太朗」もぜひご覧下さい。
まとめ
- ストア派とは?――「徳」の研鑽による、幸福を唱える哲学派閥です。
- 重要な3つの原則とは?――ものの見方、行動、意志に関する捉え方にあります。
- 自分を知ることから始めよう?――自分自身に軸がなければ、一貫した“正しい”判断ができません。