- 人格の理想像とはどんなものでしょうか?
- 実は、“いい男”をキーワードに見えてくる特徴が良いかも。
- なぜなら、「我慢ができる」「人間の本質」「思いやり」の3要素によって構成されるものなのです。
- 本書は、“いい男”を起点に人の評判を考える1冊です。
- 本書を通じて、“いい男”の生き様から自分を俯瞰してみる機会を得ることができます。
“いい男”論とは?
本書の著者・永松茂久さんは、“いい男”論として、その条件を説きます。
「我慢ができる男」「人間の本質を知っている男」「他を思いやる優しさを持っている男」として、“いい男”を定義します。
- 自分を土台にしても、人の幸せを優先することができる男。
- 相手の立場を考えることができる男。
- 自分のあり方や立ち居振る舞いを、自分でコントロールできる男。
- 夢を実現するために歯を食いしばって努力する男。
- 大切な人を守るという気概を持っている男。
- 土壇場から逃げない男。
- ・・・などなど。
これらの要素を考えていくことは、自分自身がいかに人生を歩んでいきたいかを考えることに繋がります。ある種のモデルケースと現在の自分を比較することで、自分のいまを知り、これからどうなっていきたいかを考えるヒントを得ることができるからです。
また、“いい男”として、男性が主体のように見えますが、本書は、男女ともに共通した生き様についても読むことができ、ジェンダーレスな論点でもあると思います。
本書では、ココ・シャネルの言葉を取り上げてくださっていることが印象的です。
実際にどう生きたかということは、
大した問題ではないのです。
大切なのは、
どんな人生を夢見たかということだけ。
なぜって、夢は、
その人が死んだ後も生き続けるのですから。
ココ・シャネル(フランスのデザイナー)
“いい男”の周りには、“いい男”がやはり集まってきます。
男は高い志を持って、その旗を高々とあげた瞬間から、突如それに呼応した似た男たちとの出会いが必ずやってくる。
“いい男”というのは、台風のようなものです。風がどんどん流れ込んできて、さらにそのことで、勢力を増していく。でも中心には、無風状態の台風の目があります。そこでは、冷静になって、ものごとや世界を見つめることができて、結果的に自分のビジョンも晴れわたっています。
“いい男”が集まれば、互いがよりよい刺激を与え合うことができるので、勝手に上へ上へと押し上げる作用を働かせていきます。
義理を重んじる?
“いい男”の一つの基準として、「友の成功を心から喜べるか?」という論点があります。
“いい男”というのは、大切な仲間のために男を張ることができます。大切な友人が助けを求めているとき、病気になったとき、その人の周りから不運にも人が離れてしまったとき・・・そんな時こそ、手を差し伸べることができるかどうかです。
慶弔ごとは、「義理ごと」とも言われます。
人と人の社会での繋がりがこれまでのようにない世界だからこそ、義理を大切にすることも忘れてはならないのだと思います。
おいしいときだけは人を押しのけてでも参加して、都合が悪くなると逃げていく。あなたには、こんな卑しい人間にだけは、絶対にならないでほしい。
この論点は、自分の価値観がいかにあるかということを突き詰めてきます。
金、名声、評判、権威、立場、そうしたものに対して、自分の価値観のウエイトがあまりに多くなっていると、“いい男”的な判断は鈍るのかも知れません。
かえって、縁、愛、生きがい、成長、などに対して自分が大切にするウエイトが高まれば高まるほど、“いい男”的な生き方を自然に求めることができるのだと思います。
日頃から、自分はどのような価値観を持っていて、それとどう向き合っているのか?ということを本書に数多く登場する“いい男”は、絶えず突きつけてきます。
人との関係性を見出す?
人との関係性を考えることは、とても重要です。
人を喜ばすってのは、もちろんすごいことだけど、その前にもっと大切なことがある。それは人の痛みを知ることだ。
- 過酷な下積み時代を経た人。
- 極貧生活を味わった人。
- 修羅場をくぐってきた人。
- 挫折を乗り越えてきた人。
これらの人々に共通するのは、人の痛みを実感を伴って知る人です。自分の経験を通じて、痛み、悲しみ、切なさを具体的に知っています。
だから、人にやさしくすることができます。
そして、優しさとは、具体的に言葉にしてみたり、態度や、行動にしてみて、相手にはじめて伝わることであるというのも忘れてはなりません。
自分の気持ちを「言葉」なり「行動」なりで示せば、そのときの相手の状況なりに何らかのリアクションはある。
その時、結果がマイナスであれば、いさぎよく引けばよいのです。
それよりも“いい男”はあれこれ考えずに、さっさと相手を助けるための行動を起こします。そこにいちいちのもっともらしい理屈などは必要としません。
利他という視点も“いい男”の条件としてとても大切です。こちらの1冊「思いがけず利他|中島岳志」もぜひご覧いただきながら、“いい男”について考えてみるきっかけを得てみましょう。
まとめ
- “いい男”論とは?――「我慢ができる男」「人間の本質を知っている男」「他を思いやる優しさを持っている男」の3要素を満たします。
- 義理を重んじる?――そのために自分の価値観を自覚して、磨きましょう。
- 人との関係性を見出す?――人といかにあるかを絶えず考えるかもとても大切なことです。