【教育が変わることで、世界変化の加速度も増す!?】上司がAIになりました|橋爪大三郎

【教育が変わることで、世界変化の加速度も増す!?】上司がAIになりました|橋爪大三郎
  • AIが社会実装される中で、教育のあり方はどのように変化していくでしょうか?
  • 実は、個別最適化が進み、一人ひとりの特性に合わせた教育プログラムの可能性が見えてきます。
  • なぜなら、個人の特性・学習データと成長ファクトさえあれば、最適化が可能だからです。
  • 本書は、AIの可能性に触れながら、教育とは何かを考えるきっかけを提供してくれる1冊です。
  • 本書を通じて、これまでの教育とこれからの教育について思いを馳せてみましょう。

これまでの教育は?

前回の投稿「【自分の仕事の“定義”をアップデートしよう?】上司がAIになりました|橋爪大三郎」に続き、今回もこちらの1冊『上司がAIになりました 10年後の世界が見える未来社会学』をご紹介していきたいと思います。前回の投稿では、AIの登場により働き方や企業などの組織がどのように変化するのかを見てきました。

今回は、教育に着目してみましょう。

これまでの教育を冷静に見つめていくと、次のような特徴があることに気づきます。

1.子どもたちを、年齢ごとに、学年にまとめる。
2.子どもたちを、数十人ごとに、学級にまとめる。
3.子どもたちに、学年ごと、科目ごとの教科書を与える。
4.教員は、教科書に従って、学級の全員に同じ進度で授業を進める。
5.子どもたち一人ひとりが十分に理解したかは、考慮されない。

実はこのように、学校教育というのは、「ワンパターン」なのです。

それは、効率のためである。

限られた時間、限られた先生の中で、文部科学省が定める要件を満たし続ける必要があるためです。テックを活用しない前提では、誰に対しても同じような教育機会を提供する上で一斉授業のスタイルは、非常によいものでした。

しかし、AIの登場やデジタル環境でのコンテンツの配信、双方向性が担保される中で、授業のあり方もおそらく変わってけるのではないかと思われます。

1.子どもたちを、年齢ごとに、学年にまとめない(無学年)
2.子どもたちを、数十人ごとに、学級にまとめない(無学級)
3.子どもたちに、学年ではなく進度ごと、科目ごとの教科書を与える。
4.生成AIは、教科書に従って、子ども一人ひとりに応じた進度で教えていく。
5.子ども一人ひとりを中心に、十分に理解したかを考慮して教える。

これは、つまり、子どもの自発性を尊重し、一人ひとりの特性を伸ばすために大事な仕組みのことを指しています。一人ひとりがもともと持つ特性は異なるのですが、一斉授業では一人ひとりに個別化しているリソースを割くことはとても難しいことでした。しかし、AIやデジタル環境を上手に活用することで、個別の衝動や欲求を捉えて、進度を町史することができるようになります。

もちろん、学習指導要領がなくなることはないでしょうが、最低限満たしておくべき規定という色合いがますます強くなる中で、一人ひとりがどこを特に伸ばすのか?という論点で、教育が語られるようになるのではないかと予想されます。

新しい教育の当たり前は?

これまでの学習環境は、ある種社会とはかけ離れたものでした。でも、一人ひとりは最終的に社会に出て、自らの力で他者との関係をつくり、そして、活動をしていきます。そのため、学習環境も実社会に則した状況を用意しておくことが望ましいのです。

実社会とはどういうところでしょうか?

1.個人を尊重する。
2.法の支配に従う。
3.多様な人びとの役割分担と協力関係のなかで生きる。

もっと一人ひとりにフォーカスすることで、かえって、役割分担や協力関係を引き出すことができるようになるのが、理想です。そのためには、やはり、集団で画一的な学びを一方的に提供するだけでは、物足りないかもしれません。

大切なのは、一人ひとりが自分のやりたいこと、突き詰めたいことについて、知り、そしてその分野を深めていくという強い動機を覚えることです。

「無学年」という、例えば、江戸時代の寺子屋で運用されていたような、ファジーな教育のやり方が改めてフォーカスされても良いのかも知れません。

学校で学べば学ぶほど、元気がなくなってしまうこと。学ぶ動機を見失うことだ。日本の教育は、学生の学ぶ意欲を育てるのに敗北している。

そのように、著者の橋爪大三郎さんは、指摘します。

そもそも学びとはなにか?

学びとは、問いをもって、生きながら、新しい自分を得るために、活動を続けていくためです。変化がキーポイントです。そのために、AIや情報環境がどのように寄与していくのかという点について、手段として活用していくための解像度をあげていくことです。

教育の可能性については、こちらの1冊「【教育の意義・意味は、どこにあるか!?】教育投資の経済学|佐野晋平」についてもぜひご覧ください。

こちらの1冊では、データを元に教育を科学する内容をレビューしてくれています。

おそらく、データを上手く活用することが、生涯にわたる学びを加速させてくれる世界線が見えているのかも知れません。

「社会を変えなければならない」と言うより早く、社会はただちに変わり始める。

社会は変わり続けていきます。そこから見出される可能性について、自分自身、肌で感じながら、社会の変化に対してどのような行動を積み重ねていくことができるかどうかがキーでしょう。

まとめ

  • これまでの教育は?――画一的で一斉で、効率をポイントにしていました。
  • 新しい教育の当たり前は?――個を尊重することが論点になっていきます。
  • そもそも学びとはなにか?――自分が絶えず変わり続けていくことです。
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