【“強さ”ד温かさ”が、大事!?】人の心は一瞬でつかめる|ジョン・ネフィンジャー他

人の心は一瞬でつかめる
  • 人とともにあることを考えることで、大切なポイントは何でしょうか。
  • 実は、人の評価の軸を知ることかも知れません。
  • なぜなら、その軸で自分を俯瞰することができるようになるからです。
  • 本書は、「強さ」と「温かさ」という人の評価軸について考える1冊です。
  • 本書を通じて、どのように自分ブランディングをしていけばよいかヒントを得られます。
ジョン・ネフィンジャー,マシュー・コフート,熊谷小百合
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大切な評価軸とは?

特にビジネスシーンで重視される人の評価軸とはどんな物があるでしょうか!?本書の著者であるジョン・ネフィンジャーさんらは、「強さ」と「温かさ」であるといいます。

「強さ」と「温かさ」は、そのどちらかだけを備えていても、魅力に欠けてしまいます。

両者のバランスが、実は人を惹きつけるポイントです。そして、この2つを両立して同時に発揮している人には、なかなかお目にかかれないのも事実です。これら2つの軸は、ともすると相反しがちな捉え方をしてしまうものであり、その結果、行動に一貫性を担保し続けるためには、どちらか一方に流れてしまいがちだからです。

本書の論点は、「強さ」と「温かさ」の両方をバランスよく体現していくためには、どうしたらいいのか?に対して考えるヒントを提供してくれます。

人の「評価」は、ほんの一瞬で決まってしまいます。

しかし、その意味合いは、非常に大きく、人生のあらゆる場面で、状況や関係性を大きく左右すると言っても過言ではないでしょう。

残念なことに、その評価を作るのは、常に他者であるということを忘れてはなりません。いくら自分が自己認識として「強さ」や「温かさ」をバランスよくマインドセットとして持ち、そしてそれを体現する言動をしていると認識していても、他者がそのように思ってくれていない場合は、意味をなさないのです。

まず「強さ」と「温かさ」についての解像度を上げるところからスタートしてみましょう。

「強い人」とはどういう人のことを言うのでしょうか。強さとは、世界を動かすための「能力」と「意志の力」の掛け算から成り立っています。意志の力は筋肉のようなものです。鍛えることもできるし、酷使すると消耗してしまいます。

一方で、「温かな人」とは、「愛情」に強く結びついています。そして「温かさ」を相手に感じさせるのは、3つの要素、「共感」「親しみ」「愛」によります。

共感とは、その人の身になって考えるということ。親しみとは、未知のものとして恐れずに、近づける雰囲気を持つことができること。そして、愛とは溢れんばかりの温かい感情によって、包みこまれるような感覚を持てることです。

互いに影響する?

究極の「強さ」というのは、恐怖を呼び起こします。しかし、究極の「温かさ」は愛を持って、呼び起こされるのです。これが2つの軸が相反するという所以です。

また、これら2つは一見、相反し合いながらも、実は互いによって生み出される関係性も持っています。

とある起業家の並外れた「強さ」によって新しい事業が生み出されて、多くの人を幸せにしながら、仲間を強く引き付けチームがどんどん大きくなるような状態には、究極の「強さ」が求心力となり「温かな」環境がその場に生み出されることも期待できます。

一方で、圧倒的な「温かさ」を発揮することで、無視することができないほどの求心力を備え、そしてそれらが「強さ」として見られるようなことだってあります。

本書では、アーティストになぞらえて説明してくれています。「究極の強さが、温かさを引き出した」事例として小説家アイン・ランドさん、一方で「究極の温かさが、強さを引き出した」事例としてザ・ビートルズを取り上げています。

アイン・ランドさんについては、日本ではあまり有名ではないかも知れませんが、アップル創業者のスティーブ・ジョブズさんも愛読していたという記事が東洋経済オンラインのコンテンツにありますので、こちら「日本人が知らないアメリカ起業哲学の源流」をぜひあわせてご覧ください。

これらの偉大なるアーティストにならなくとも、日常生活の中で、こうした2つの軸が影響し合う瞬間に立ち会うことはしばしばあります。

有能で知られる人物が職場にいた場合、「自分もあんなふうになりたいな!」とあこがれを抱くかも知れません。つまり、その人の「強さ」は「温かさ」を生み出します。

同じように、会議室であれ、バーであっても、手強い相手に囲まれた場合には、「強さ」を見せつけることで、彼らの仲間に入れてもらえたり、あるいは敬意を持ってもらえる可能性もあります。これも「強さ」が連帯という「温かさ」を生み出している事例です。

また、職場の同僚から日頃から愛されている人は、誰かと意見の対立が見られる時に、大勢の「温かな」味方によって、「強さ」を纏うことができるかも知れません。「温かさ」を発揮する能力こそが「強さ」をもたらす事例もよく見られます。

もっとも魅力的な顔は「強さ」と「温かさ」のバランスが良い。

本書の論点は、「強さ」と「温かさ」のバランス感覚です。ちなみに本書では、クリント・イーストウッドさんの表情がこのバランスが絶妙!であると評価しています。

両立に関する論点については、こちらの1冊「【私たちは、二者択一にとらわれている!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス」もぜひご覧ください。おすすめです。

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本当に大事なこととは?

結局私たちは、第一印象としてその人から何を受け取るかをとても重視しています。

メラビアン教授らの実験によると、人と人とのコミュニケーションにおいて、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%のウェイトで影響を与えるという報告がされ、それが「メラビアンの法則」として知られるようになりました。

人々は「発話内容」、つまり「うれしい」という言葉よりも「非言語シグナル」=しかめっ面の表情を信用することがわかりました。

非言語コミュニケーションは、相手に対する「信頼感」と強く結びついています。そうした態度や雰囲気によって、人の信頼は左右されることを知れば知るほど、その瞬間瞬間に、自分がまとう「強さ」と「温かさ」について、どのようなニュアンスがあるのか知っておきたい気持ちになります。

「強さ」に満ちた人は尊敬を集め、「温かさ」に満ちた人は共感を得ることができます。この2つが組み合わさったときには、単なる「足し算」以上の力を発揮することができます。

本書の中では、具体的に「強さ」や「温かさ」を感じさせる表情、姿勢などの外見的な特徴や、話し方や行動などの実際の行為についても触れられており、他者を観察しながらフィードバックしていくような観察眼を養わせてくれるヒントを提供してくれています。

また、なにより大切なのは、あくまでこれらはテクニック論ではないということかも知れません。なぜなら、「強さ」も「温かさ」ももともとそれ単体でもとても素晴らしい特徴だからです。

肝心なのは、その「強さ」や「温かさ」を感じさせてくれる人がどのような想いであるのか、そうした背景を含みながら私たちは「強さ」や「温かさ」のベクトルと文脈を知るのです。

愛を持った厳しい強さ、不屈の精神に養われた温かさに、私たちは、感銘と刺激を受け取るのです。

まとめ

  • 大切な評価軸とは?――「強さ」と「温かさ」です。
  • 互いに影響する?――一方が究極的に高まることで、結果としてもう一つの軸を強化することもあります。
  • 本当に大事なこととは?――バランスと、そして背景情報にる文脈化が他者の感情に触れます。
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