- どうしたらものごとのとらえかたを上手に行って、人生をうまく運営していくことができるでしょうか。
- 実は、古代ストア派の思想にヒントがあるかも。
- なぜなら、人生のあり方に示唆深い視点を数多くお持ち合わせていたためです。
- 本書は、究極のメンタルフィットネスとも言える1冊です。
- 本書を通じて、自分の人生を自ら切り拓く精神を養うことができます。

ストア派は現実を見つめる?
前回の投稿「【2000年前に分かっていた人生の秘密?】心穏やかに生きる哲学|ブリジッド・ディレイニー,鶴見紀子」でもストア派の思想をご紹介してみました。今回も、続いて、ストア哲学に関する1冊を取り上げさせていただきたいと思います。
前回の1冊が、ストア派とはなにか、その教えの骨子はどのようなところにあるのかを知る1冊であったとすれば、今回のこちらの1冊『ストイック・チャレンジ:逆境を「最高の喜び」に変える心の技法』は、実践編という色合いが強いかも知れません。
ストア派の教えについては、下記をご覧ください。こちらは、前回の投稿「【2000年前に分かっていた人生の秘密?】心穏やかに生きる哲学|ブリジッド・ディレイニー,鶴見紀子」からです!!
1.人生で起きることの大半は、自分にはコントロールできないこととして認識します。
2.世界をどのように捉えるか次第で、自分の感情も変わってきます。
3.悪いことは時に起きるべくして起こり、誰にでも同じようにあるものです。
4.自分を、切り離された個人ではなく、大きな全体の一部として捉えることです。
5.自分が持っているものはすべて、ただ借りているだけと認識し、いつか返す日が来るもんだと考えます。
このような思想を持つ、ストア派は、「逆境」に対する見立ても鋭いです。自分の思い通りにいかなかったときに、苛立ったり、憤ったりするのは多くの人にとって、自然な反応です。
しかし、ストア派は、そうした反応をしてしまうことに否を唱えます。
なぜなら、心の平穏をキープするのが、人にとって一番ラクだ!というスタンスを取るからです。
では、「逆境(と捉えられてしまうような事態)」に出会ったときどうすればいいのか・・それは、その「逆境」の捉え方を変えてみるのです。
- 逆境と決めつけているのは、自分自身。
- ネガティブなことは誰にでも起きうるべくして起きる。
- 逆境と決めつけないで、成長の機会と捉えてみる。
- 自分自身の回復力や創意工夫を試されているのである。
- いかに、「感情のコスト」を減らさずに乗り越えていけるかを考えてみるべきである。
このように考えてみて、リフレーミングしてみることがポイントです。
さらに深いところで、逆境は、自分の心理の写し鏡かも知れません。
逆境は欲望と関係がある。なにが逆境は、となるかは、なにを望んでいるかで決まり、その逆境がどれほど深刻になるかは、どれだけ強く望んでいるかによる。
「先見の明」も大切です。あらかじめ人生を見通しておくことで、逆境と捉えてしまうような事態を防ぐことができます。逆境と捉えてしまうのは、自分の準備不足も原因として考えられるためです。
なによりも大きなコストは、逆境によって生じる不安や苦境だとわかる。だとすれば、感情への影響を減らす方法を身につけるべきだろう。
いかに、感情を平穏におさめていくか、それをストア派は重視します。
感情の起伏をケアせよ?
特に、「怒り」については細心の注意が必要です。
ストア派は、怒りについて次のような見立てをします。
- 怒りと幸福は両立しない。
- 過去に経験した怒りは再燃する。
- マイナスの感情への共感は、事態を悪化させる。
- まずは怒りの感情を避けるべきだ。
残念ながら、「怒り」を抱くと、喜びが感じにくくなります。そのため、逆境に怒りをもって反応し続けていくと、事態は悪化の一途を辿ってしまうのです。
まずは怒りの感情を「避ける」ことです。そうすれば、怒りに対処したり、怒りを表したり、抑えたりする必要もなくなるからです。
怒りは、自分自身に害を及ぼします。例えば、テレビで写った政治家に向かって怒鳴る行為。これは、向こうにこちらの声が聞こえないので、怒りを自分自身の中に溜め込んでしまいます。そうして、結局その怒りを抱えたまま暮らしてしまって、そういう自分自身に対しても怒りを覚えてしまうのです。いつの間にか、自分に対して自分の怒りの矛先が向いている状態を作ってしまいます。
直面する日々の逆境に対して腹を立てないようにすることを学べば、対処しなければならない怒りはずっと少なくなる。
また、この裏側で持っておくべきスタンスとしては、「コントロールできること・できないこと」に関する見立てです。
- 人生に何が起こるかはコントロールできない。
- 起こったことにどう立ち向かうかはコントロールできる。
- 選択肢が限られているとき、くよくよと思い悩むのは愚かだ。
- やり方を変えればたいていのことはできるようになる。
できないことは実際には、それほどないし、やり方を変えれば、大抵のことはできるようになっていきます。

主体性をいかに持つか?
ストア派は、自分の人生に主体性を持つことができます。自分のコントロール領域を把握しているため、その中で最善を尽くす考え方や行動をすることができます。
回復力を持つ人は、犠牲者の役を演じようとはしない。犠牲者の役を演じれば憐れみを誘うが、回復力を持つ人は自分を哀れだと思っていない。強く、有能なのだ。
自分自身の思考の仕組みを理解しておく必要があります。人間の意識には、2つあります。顕在意識と潜在意識です。
なかでも厄介なのがが、潜在意識についてです。
潜在意識は、逆境を不当な苦難だととらえがちだ。
どうしてもそのような反応をしてしまう自分の心を理解することによって、逆境に関する精神コントロールを可能にします。
逆境という酸っぱいレモンをレモネードに、さらにはレモン・メレンゲ・パイに変える方法を見つけたことになる。
潜在意識に向き合っていくためには、「最悪の事態」を事前に想像してみることかも知れません。
そうすることによって、「最悪の事態」に比べて、いま自分がある程度健やかに、ある程度豊かに暮らしていることに気づくことができます。そうすれば、冷静さを取り戻しながら、ものごとに対処していくことができます。
なにかを失ったらどんなにつらいかを考えるのではなく、そのなにかがはじめからなかったらどうだったかを想像してみよう。
人は完全に合理的な捉え方ができるわけではありません。潜在意識の選択は、選択肢の枠組みにコントロールされます。自らが枠組み=フレーミングを上手にコントロールすることによって、マイナスの感情を避けながら、自分の言動をコントロールしていくことが可能になります。
逆境にむしろ感謝の念を抱きながら、前向きに捉えていくために、以下のマインドセットを試してみましょう。
- 感情のコントロールに取り組むのは、早ければ早いほうがいい。
- 逆境に直面したら、5秒以内にストイック・テストだと断定しよう。
- ストイック・テストはわたしたちの回復力と創意工夫を試す。
- 逆境を挑戦として楽しもう。
まとめ
- ストア派は現実を見つめる?――非常に合理的にものごとを捉えるアプローチです。
- 感情の起伏をケアせよ?――どうしたら凪が続くのかを検討するべきです。
- 主体性をいかに持つか?――自分がコントロールできることに、フォーカスすることです。
