【脅威ではなく、機会!?】ホワイトカラー消滅 私たちは働き方をどう変えるべきか|冨山和彦

ホワイトカラー消滅 私たちは働き方をどう変えるべきか
  • これからの変化を見立てる大きな動きは何でしょうか!?
  • 実は、社会の中心を占めていた「ホワイトカラー」の存在意義がなくなっていることかも。
  • なぜなら、デジタル化が、彼らの業務を代替し始めているからです。
  • 本書は、人口減少を希望に変える1冊です。
  • 本書を通じて、どのようなキャリア選択が理想的かについて考える機会を得ます。

大きな転換期を迎えている?

日本は、大きな転換期を迎えています。明治以来右肩上がりで増加してきた人口(若年層先行型)がいよいよ減少フェーズに突入し始めています。深刻な人手不足が問題として顕在化し始めています。

また、こうした状況に追い打ちを架けるように、厚生労働省の残業問題対策(2024問題)などによって、経営の舵取りもいよいよ難しい状況です。

大きな変化の中で、「ホワイトカラーサラリーマン階級」の瓦解も示唆されています。これまで情報分野において人力で支えられていた分野が技術革新やAIの登場によって、デジタルに置き換えられようとしています。

これからの日本は、少子高齢化による深刻な人手不足と、デジタル化の進展による急激なホワイトカラーサラリーマンの減少と人余りが同時に起こる社会に突入する。人手不足はローカル産業で生じ、人余りはグローバル産業で顕著に起こる。

これを放置していると、ローカル産業が成り立たず、人々の生活を支えるサービスが停滞する恐れがあります。

また、それだけではなく、日本の競争力の源となるグローバル産業の競争力が極端に落ち込み、他国から“経済植民地化”される恐れもあります。

こうした変化において、私たちや私たちの企業がどのように舵取りをしていくことが理想であるのかを解像度高く考えるのが本書です。

そして、結論としては、ローカルかつフィジカルを活用するエッセンシャルワーカーとして、ホワイトカラーをアップデートして、より豊かで幸せな暮らしを志向していくように、転換していくのはどうか、というのが本書の大きな論点となっています。

経営かもしくは、別の路線か?

日本の企業(特に大企業)における終身雇用制のせいで、仕事もなく成果も上げていない「漫然とホワイトカラー」、さらには、肩書も給料もインフレの「なんちゃって中間管理職」がなかなか減らないと、本書著者である冨山和彦さんは指摘します。

今後デジタル化とAIの活用により急速に置き換わっていきます。資料作成や、デジタルデータの取り回し、分析など人が行っていたが、AIができる仕事は多岐にわたります。

その代わり、ホワイトカラーに残される仕事は、一貫してマネジメント業務になります。これはいわゆる中間管理職がになっている管理業務ではなく、事業や企業の運営方針を打ち立て、現状を見極め、あるべき姿のギャップを提示し続ける本当の「経営」業務です。

残念ながら、「問いのある仕事」「正解が求められる仕事」において、圧倒的な知識量、論理力、スピード、昼夜働く力を持つAIに人間は太刀打ちできません。

いや、勝負を挑むのではなく、その特性を十分に発揮しながら、よりよい仕事を創造する経営業務に邁進するべきという方が良いかも知れません。

すなわち、企業の人材育成としては、数少ない「真のボス」ポストを目指して真剣勝負をしてもらうか、もしくは部下ホワイトカラーとしてAIの圧力で相対的に下がる賃金に耐えてもらうかの2つの路線を提示し続けるよりは、ほかがなくなるというのが正直なところかも知れません。

そして、AIの代替が起きにくい「ノンデスクワーカー技能職」の存在感が、にわかに脚光を浴びてくるようになります。

冷たいようだが、長い目では厳しい現実を伝えないほうが不誠実だ。鬼手仏心で臨むべし。

「問いを立て」「答えを探索し」「決断する」これが、新しいホワイトカラー像(=「経営」)の機能として必要となるマインドセットと素質です。

そのためには、世の中の森羅万象に好奇心を持ちながら、目の前の現象からその背景にある根源的なメカニズム、根本原因(route cause)を探索する思考傾向を持つことにあるでしょう。

今後の変化する社会の中で生きていくためには、「スキル」の定義が重要になるということです。

多くのホワイトカラーにとって、「スキル」とは、所属する企業固有の“処世術”である可能性が高いです。そうではなく、社会全般で通用するような価値を生み出すための「スキル」の定義がキーです。

自分を絶えず進化していけるか?

企業カルチャーに紐づくような、暗黙の了解や目に見えないような手順をいくら自慢しても、それだけで外の世界で生きていくことはできません。

そして内部ではどうかと言うと、AIによる技術的な圧力により、(同じことを行っているだけでは)給料水準は下がる一方でしょう。

そうしたことが目に見えているいま、何もしないことではなく、変化を知り、その変化に対応するための行動を作り続けていくことが大切なのです。

必要なのは「もらっている給料分の付加価値を出しているか」である。

自分の給料相当分の売上や粗利益を顧客からもらえるような仕事ぶりをしているか、どうか、そういう厳しいが当たり前の視点で自分の仕事を見つめてみる行為が大切になるでしょう。

会社からみて、自分に給料を払って有り余る価値を提供できているのか?突き詰めるところ、自分は経済的に貢献できているのかが、とても大切な自身に課すべき問いかけになります。

どうしたらそうした問いかけが継続して行うことができるでしょうか。大切なのは、視点です。

答えは明確だ。雇う側の立場に身を置いてみることに尽きる。

メタ認知の問題と捉えられるでしょう。ちなみに、メタ認知についてはこちらの1冊「【頭がいいは、視点で決まる!?】メタ思考~「頭のいい人」の思考法を身につける|澤円」もぜひご覧ください。

最小の経営単位とは、「自分自身」であるというマインドセットで、自分のバリューを見つめていきましょう。

そんな視点を養うためには、こちらの1冊「【自分で自分を営もう!?】「自営型」で働く時代――ジョブ型雇用はもう古い!|太田肇」もおすすめです。

自らを絶え間なくアップデートしていくか、その中で、経営を磨くか、あるいは、リスキリングを図りながら、ローカルかつフィジカルな仕事に身を転じていくのか、という2つの論点を提示してくれる本書は、未来洞察に関して俯瞰した視点を提供してくれます。おすすめです。

先進国の中でもトップ国の半分に過ぎない日本の付加価値労働生産性の伸びしろは、間違いなく大きいのです。

まだまだ、伸びる。でも、伸ばし方が大切だ。そんな見立てが必要なんだと思います。

まとめ

  • 大きな転換期を迎えている?――いま、人材大流動時代の前夜です。
  • 経営かもしくは、別の路線か?――ホワイトカラーの役割は2分していくかも知れません。
  • 自分を絶えず進化していけるか?――状況を見つめて、自分の価値を俯瞰しましょう。
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