- 書くということは、どういうことでしょうか。
- 実は、社会の言葉と、自分の言葉では、全くことなる行為かもしれません。
- なぜなら、多くは社会の言葉を意識して、私たちは書いており、そして、本当の感情とは言葉で書けない内容かもしれません。
- 本書は、書くという行為の解像度を上げる1冊です。
- 本書を通じて、自然に行っている書くについて、新しい視点を得ることができます。
昼間の自分と夜間の自分?
書くことは、言語を知っていれば誰もが行うことができます。しかし、私たちは、言葉で十分にわたし自身のことを表現することができているでしょうか。
私たちが普段書いている言葉のことを、本書の著者である高橋源一郎さんは、「昼間」の言葉であるといいます。
この「昼間」の言葉というのは、社会の検閲を受けたものです。常識や当たり前などの言葉で言い換えることもできるかも知れません。
私たちは「昼間」の世界において、外の世界、社会や世界に向けて何やら情報を発信ていく必要があります。その中で使われる言葉は、相手が「あ~そうだよね」という了解を得ている必要があります。了解が得られていないような言葉を使うことは、スピードや効率を低下させて、共通のビジネスや学習という行為を阻害しかねないものとして捉えれてしまいます。
このように「昼間」のことを捉えているのは、一方で「夜間」の自分であると言えます。
「昼間」の当たり前や常識について客観的に改めて見つめています。
世の中のことを置いておいて、自分が考えるモヤモヤや発想、そして「本当に思っていること」などを伝えるのはとても難しいことではないかと思います。
「夜間」に感じていることを、誰かに伝えることができるでしょうか。
「ほんとうのほんとうに考えていること」を、取り出して、誰かに手渡すことができますか?
わたしは不可能だと思っています。
このように人を捉えてみると、「夜間」はあたかもわかり会えたような自分と相手も、実は本当のところ「何が」「わかりあえたのか」謎だったということもありそうです。
「わかるわかる~」(え、本当に?)という感じ。
昼間のノリに惑わされないように?
それでも私たちは、「夜間」の自分になって、言葉を書き出すことができます。
わたしの中に、「書かれたいなにか」、「外に出てみたいなにか」がありました。
著者・高橋源一郎さんは、小説家として、自分の「夜間」のモードとして、「書くこと」を体験しました。
そして、それは、「考えずに書くこと」でした。
考えずにものをひたすら書くという行為は、日頃隠れている「夜間」モードの自分の声によるものでした。社会の中で、何年も、何十年も吸収してきた、社会的なノリに影響されない自分の本当の言葉を見出す機会を得ることもできたということでしょう。
考えずに書くということは、「頭の中」ではなく、「紙の上」あるいは「ディスプレイ」の上で行われるものかも知れません。ただひたすらに自分の中の言葉が目の前に現れてくるさまは、自分の中にあった考えがただひたすらに表に出てくる行為です。
だから、考えるということを経るのではなく、ただ、表に出てくるという感覚に近いといいます。
言葉には限界がある?
ただ、そうやって「考えずに書く」ことができたとしても、社会が決めた言葉を使って書いている以上、もしかすると、ほんとうの自分の声は書けていないのかも知れません。
みんなが使う言葉を使うだけで、知らず知らずのうちにわたしたちは、いつの間にか社会による思考の検閲を受けていると捉えても良いかも知れません。
いくら自由に考えようとしても、どうしても言葉を使う必要があります。
そうした前提に生きている以上、私たちは、どうしても社会の接点を離れて自由に考えることは困難なのかも知れないし、それを表現しようとして「書く」ということも難しいことなのかも知れません。
ほんとうは、「書けないこと」ばかりで、「書く」ことができることなんて、少しだけなのかもしれないって。
案外、言葉ってそういう使い勝手がいいと思われているけど、それは、相手の了解の範囲内であって、それを超える大半のものごとや考え、感じ方については、とうてい表現することなどできないものなのかも知れません。
でも、それでも毎日何かの言葉は生まれては、記録されたり、誰かの目や耳を通り抜けたりします。そうして、何かが分かったような気がして、人の行動がや考え方が変わることもあるというのも事実です。
考えれば考えるほど、言葉というのは、そして書くということは不思議なものです。
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まとめ
- 昼間の自分と夜間の自分?――自分の中にはふたりのわたしがあります。
- 昼間のノリに惑わされないように?――社会と調和する自分だけが自分ではありません。
- 言葉には限界がある?――言葉で表現できないことをどのように扱えばいいでしょうか?