【自己変容をもたらす知性とは?】なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践|ロバート・キーガン他

なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践
  • なぜ変革の必要性は認識されているのに、変革という実態を伴わないのでしょうか。
  • 実は、自らの知性のレベルの問題があるかも知れません。
  • なぜなら、知性のレベルに応じて、人は情報の感度とアウトプットが異なるためです。
  • 本書は、知性を軸に人と組織を見つめる1冊です。
  • 本書を通じて、自らと周囲に変化を生み出すためのヒントを得ることができます。
ロバート・キーガン,リサ・ラスコウ・レイヒー
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人の変化を阻むものとは?

本日の1冊『なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践』はこちらをご紹介していきたいと思います。本書の著者である、ロバート・キーガンさんは、ハーバード大学教育学大学院教授(成人学習・職業発達論)です。30 年あまりの研究・執筆活動を通じて、人が成人以降も心理面で成長し続けることは可能であり、現代社会のニーズにこたえるためにもそれが不可欠であるという認識を広めてこられました。

また、共著者のリサ・ラスコウ・レイヒーさんは、ハーバード大学教育学大学院「変革リーダーシップ・グループ」研究責任者です。専門は発達心理学であり、教育者としての経験も長く、大人の意味体系の評価法として世界中で用いられている発達診断法を開発した研究チームのリーダーも務められました。

なぜ人や組織は変わりづらいのでしょうか。最近の研究によると、食生活をあらためてたり、もっと運動したり、喫煙をやめたりしなければ、確実に死んじゃいますよ!という医者の忠告があったとしても、習慣を変えることができるのは、7人に1人という結果があるそうです。でも、生活習慣を変えない6人だって、長く生きたという希望はあるわけです。

では、なぜ、これほどまでに人は変わりづらいのでしょうか。

いくつかの理由があります。

1)変わらないといけないが、何が変革を妨げているのかを十分に理解できていない。
2)どうせ自分(や他人も含む)は変わらないと思ってしまっている。
3)これまでの延長線上で日常の習慣を積み上げているから、結局変わることができない。

こうした足かせを取り除くことができなければ、人やその集合体である組織には変化をもたらすことは難しいのです。

人間は何歳になっても世界を認識する方法を変えられるという可能性だ。

大切なのは、世界というのは、認識次第で、いろいろな捉え方をすることができるということです。例えば、コップに半分の水が入っている状態を想像して、「半分しかない」ということもできるかも知れないし、「半分もある」と捉えることだってできるし。「半分も減ってしまった」と見立てることもできるし、「半分にまで満ちてきた」と捉えることだってできます。

人は自分が持っているフレームに従って世界を認知しして、その世界観の中で、行動を積み上げています。人を導く真のリーダーには、この世界観を柔軟に捉える力が備わっていると想像できます。こうして捉えることができれば、世界の中で柔軟に生き続けることができるかも知れない、と、意識をして、それを周囲の人にも広げることができるかどうかが、変革の第一歩になります。

3つの知性を捉えると?

人は成長するにつれて、脳が萎縮すると言われています。20歳前後をピークとして、脳細胞が減少していくという発表もありこれは事実でしょう。しかし、脳細胞が減少したとしても、思考や上記のような世界の捉え方を柔軟にする視点を失うことはありません。

大人の知能には、3つの段階があります。いくら年齢を重ねたとしても、上位のレイヤーに自分自身を導くことは可能です。それは、脳の作用ではなく、世界をいかに捉えるかによってもたらされるにすぎない、視点の転換を伴うものであるからです。

大人の知性には3つの段階がある。

1)環境順応型知性
2)自己主導型知性
3)自己変容型知性

環境順応型知性とは、周囲からどのように見られて、どういう役割を期待されているのかによって、自己が形成される段階です。帰属意識をいだく対象にしたがって、その対象に忠実に行動することを通じて、ひとつの自我を形成します。順応する対象は、おもに他の人間や、もしくは、価値観の流派や、その両方であることが言われます。

自己主導型知性とは、周囲の環境を客観的にみることにより、内面できな判断基準(自分自身の価値観)を確立し、それに基づいて、まわりの期待について判断して、選択を行える知性です。自分自身の価値観やイデオロギー、行動規範に従って、自律的に行動し、自分の立場を鮮明にし、自分がなにかを決め、自分の価値観に基づいて自戒の範囲を設定し、これを管理します。こうした一連の活動によって、より強固な自己にイメージを形成していきます。

最終段階の自己変容型知性とは、自分自身のイデオロギーと行動基準を客観的に見て、その限界を認知することができます。あらゆるシステムや秩序が断片的、ないし、不完全なものだと理解しています。環境順応型や自己主導型知性の持ち主にくらべて、矛盾や反対を受け入れることができます。
さらには、ひとつのシステムをすべての場面に適用せずに、複数のシステムを保持しようとします。対立しがちないくつかの概念を統合することを通じて、自分の自我を形成していきます。

これらの知性の段階に応じて、情報の処理、つまり世界の認識の仕方が、異なります。さらに情報をアウトプットするベクトルも異なるのです。

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仲間とともに変化を受け入れよう?

自己変容型知性になれば、ものごとを認識するフィルターと自分自身のアイデンティティが一体化していません。フィルターを通じてものごとを見るだけではなく、フィルターと距離を置いて、フィルターそのものを見てみたり、疑ってみたりできるようになります。

なぜ、そうした行動がとれるのか?それは、自己変容型知性の持ち主は、ある特定の姿勢や分析、目標を大切にするのと同時に、同じくらいの警戒感を抱くからです。

どんなに協力な方針や計画も完璧ではないことを知っている。

時間が経過して世界が変化すれば、いまは有効なやり方が明日は効力を失う可能性があるということを、十分に理解することができているため、「確固たる何か」の存在を大切にしながらも、それに対して、柔軟に向き合うという態度を保ち続けることが可能なのです。

自己変容型知性の持ち主は、ほかの人とコミュニケーションを取るとき、自分の目標や計画を前進させることだけを考えない。それを修正したり改善したりする余地をもっている。

ここに、変革のヒントが隠されています。確固たる自分自身を過剰に持つことなく、変化する状況や社会の環境にあわせて、自分の目標や計画を絶え間なく修正することができる、その積み重ねが、自分自身を変えていく原動力になるのです。

自分を認識(フィルター)の奴隷にしないことです。「世界はこうあるべき」という先入観から逃れて、距離を取る中で、自分自身を宙に浮いた状態を我慢してみるのです。計画や思考というのは、生きているうちに何度変わっても良いものだということ、でも、一度決めたことはとりあえずは全力で取り組んでみようという意志を持つこと。そうした、マインドセットとそこから生み出される行動を歓迎してみましょう。

働き手には、これまでより高い次元の知性を身につけ、それに基づいて自分自身とまわりの世界を理解することが求められるようになった。

変化に対してポジティブなイメージを抱き、周囲の変化を自らに引き入れながら、自分をアップデートさせていきましょう。人は、変化自体に脅威を覚えるのではありません。変化にあたって難しい課題に挑むことを要求されても、必ずしもそこに強い不安の原点があるわけではないのです。

人に不安を感じさせるもの、それは、先に待ち受けている脅威の前に無防備で放り出されるという感覚だ。

この感覚によって刺激されるのが、著者が言う、“変革をはばむ免疫機能”です。これを克服することができたとき、人は変革を受け入れながら、自分を高みに向けて前進させることが可能となります。

いくら目標達成の意欲が高くても、思考と感情を変えるだけでは、免疫機能を克服できるとは限りません。

哲学者のイマヌエル・カントは、次のように言っています。

「思考をともなわない知覚は、盲目であることと変わらない」

まさに行動を伴わない思考は、機能マヒに陥ってしまうことを示唆する言葉です。計画や認識を新たにしながら、ひたすらに身体を使って行動をしながら、ものごとの世界観を広げていくこと、絶えずそうした環境に身を置きながら、変革を歓迎していく行為が、自らや周囲によりよい環境をもたらしていくれるのです。

自分が変わるということについては、周囲の力を借りることは不可欠です。

周囲の人たちの力を借りられないと、自分のすべての側面を知ることはきわめて難しい。

人との関係の中で、自分の存在に気づき、自分のフィルター(認知)を知り、自分という存在を俯瞰する視点を得られるのです。視野を広く保たせてくれる他者という存在を通じて、自分を変えていく過程を持つことに積極的になってみましょう。

学習のプロセスに周囲の人たちが関われば、自己変革モードから脱線せず、前に進み続けることが格段に容易になる。

自分が持つ目標をみんなに知ってもらいながら、共にその目標を意識しながら、関係を保ち続けていくチームこそが、変革を実現する組織でもあり、また、そのメンバーこそが変革者になりえるのです。

変化については、こちらの1冊「【真の「成長」とは!?】トランジション ――人生の転機を活かすために|ウィリアム・ブリッジズ」もぜひご覧ください。おすすめです。

まとめ

  • 人の変化を阻むものとは?――それまでの習慣によって培われた知性です。
  • 3つの知性を捉えると?――3つの段階の知性を登ることは、どんな年齢になっても可能です。
  • 仲間とともに変化を受け入れよう?――周囲の人を巻き込みながらだと自己変革が容易になります。
ロバート・キーガン,リサ・ラスコウ・レイヒー
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